異種族ご夫婦
「多分今の方はアラクネかと思われます」
アラクネ?
聞いたこと有るような無いような。
布の隙間から中に入る。
繭状って言うのかな、カラフルな布が木々の間に張り巡らされて居て、その布が光を通してとても綺麗だ。
でも、それより何より叫び出さなかった自分を褒めたい。
カラフル空間の中に居たのはアラクネ…巨大な蜘蛛に女性の上半身の付いた魔族だった。
「え?虫だよね、ゴブリンは虫にも進化するの?」
かなり大きい。
僕の腕より太い脚に胴体は小型バスくらいの大きさで、その上にカラフルな布を巻き付けた上半身。
黒いストレートのショートボブとか言うのかな?
ヘアスタイルの名前なんて知らないけど。
ちょっとつり目の美人さんが乗っている。
美人なだけにシュール。
上半身だけとは言え美人さんなんだから純血種なんだよね?
でも純(血)種?血って流れてないよね、虫は。
「アラクネは突然変異種ですね。
スライムやアラクネの様にゴブリンからの進化ではなく、最初からその種族で進化もしないと言われています。
他にも数種族いるそうですが詳しくは分かっていません」
虫だもんね。
虫って苦手だけど、黒くて素早い全人類の敵以外ならまだ我慢できるかな。
「お姉ちゃんご飯なの?」
シルジットとコソコソ話していると何処からか子供の声が聞こえてきた。
「ご飯じゃなかったわ、お客さんですって。
話があるそうよ」
「お話?
じゃあお話が終わったら食べていいの?」
おい!物騒な会話が聞こえるぞ!
「んー、やめた方がいいわよ。
だって人族って雑食だから臭みがあって美味しく無いから」
って食べた事あるんかい!
怖いから心の中だけで突っ込む。
「ふーん、そうなんだ。
やっぱりお姉ちゃんは物知りなんだね、えへへ」
「あーーーー!もうこの子ったら!」
身悶える蜘蛛…怖い…。
と言うか子持ち?
いや、お姉ちゃんと言うから家族?声の出所を探して見ると、アラクネの視線の先に花には詳しくない僕でも知ってるチューリップ。
その中に親指姫?
「これはまた珍しい、アルラウネですね」
親指姫ではなくアルラウネ?
えっと…アルラウネって何かのカードゲームで見た記憶が…、確か花の妖精みたいな?
下半身がバラとかラフレシアとか色んなバージョンがあったけど、この子はどう見ても親指姫でしょ?
しかしよくチューリップの細い茎が耐えられているなぁ。
残念女神がモデル系の美幼女ならこちらは儚げな癒し系美幼女?
でもお姉ちゃんって?
「ご姉妹なんですか?」
好奇心で聞いてみた。
「まさかー。
見てわからない?種族が違うじゃない」
デスヨネー。
「私達は見ての通り夫婦よ」
いや、わかんねーし!
てか女同士…は同性婚アリな世界だから問題ないとしても、種族より何よりサイズが!
「ご家族ではなくご夫婦なんですか?」
「ええそうよ、だって夫婦って一番好きな人とずっと一緒って約束の事なんでしょ?
だから私達は夫婦なの」
「えへへ、私お姉ちゃんだーーい好きなの」
うーんと、えーっと、幼稚園児が言ってるレベルなのかな?
実生活の夫婦とかではなく。
いや、これ以上突っ込むのはやめておこう。
本人達が夫婦って言うんだから夫婦ていいんだよね。
よし、話を変えよう。
そして疲れちゃった僕は説明をシルジットに丸投げした。




