うちへおいでよ私のおうちへ
家の中には小さなテーブルと椅子が二つ、ベッドといくつかの棚が有る。
棚には服やアクセサリーの有る棚、怪しげな瓶が並んだ棚、食器棚は食器が二つずつ並んでいる。
…えっと一人暮らしだよね?
椅子も食器も二つずつって事は…。
「さあ、シルジット座って」
デスヨネー。
「いえ、今日はこちらのコウイチ様のお供ですから。
コウイチ様、どうぞ」
いやいや、シルジットさん、ここで勧めるのはやめようよ。
ほら、ハラミさんの視線が…。
「いや、僕馬車でずっと座ってて腰が痛いから、シルジットさん座って下さいよ」
「あら、フフフ。
ほら、話があるんでしょう?
座って話しましょう」
この二人って……いや勘ぐるのはやめておこう。
「それじゃあシルジットさん、説明お願いします」
シルジットさんに振るとハラミさんはまたフフフと笑って、組んだ手に顎を乗せてシルジットさんだけをじっと見つめる。
他の人は視界にも入れないわよ、って空気が…。
僕がアンズにした様な説明を聞いたハラミさんは予想通り、纏める者が居ると面倒ごとが減るのは歓迎だけど、自分がそこに住むかは分からないとこ事。
「だってそこにはシルジット居ないんでしょう?」
「そうですね。最終的には私は城に帰りますから」
「だったら私ここから動きたく無いわ。
こうして家も建てたんだし」
「そうですか。
まあこんなに立派な家を造られたんですものね。
ここは誰かと住まわれるのですか?」
おっと、シルジットさん、それ聞くの?
「フフフ、分かっていて惚けてるの?
それとも焦らしてるの?」
きっとこれが妖艶な微笑みと言うんだろう。
ちょっとゾッとする笑顔だ。
「こ、こ、は、貴方と私の愛の巣よ」
ズバリと言い切ったハラミさんにシルジットさんが答えるより先に動いたのが
「ちょっと待ちなさいよ!」
スケエリア?
え?もしかしてスケエリアってシルジットさんの事……、
「黙って聞いていれば勝手な事言って!
何がシルジットとの愛の巣よ!
シルジットはこの仕事が終わったら私と一緒になるのよ!」
ええええ…修羅場?
普通こういうのは異世界から来た勇者…じゃなかった、魔王になる為わざわざ呼ばれた僕が取り合いされるんじゃないの?
ええええええ………、
「フフフ、面白い事言うわね小娘。
シルジットが欲しいなら力尽くで奪いなさいよ」
「望むところよ!」
ちょっと落ち着こうよ、スケエリア。
貴女ヘナチョコでしょ?
女性とはいえ、元がオークの人になんてこの世界の人がかなうわけないじゃん!
「人族のくせにいい度胸ね。
いいわ、外に出なさい」
「ええ。私の代わりにこの方が戦いますから」
言いながら僕を押し出すスケエリア…ってなぜ僕が戦うの?
「人族は弱いからね、代理でも良いわよ。
私心が広いから」
「コウイチ様、よろしくお願いします!
この勘違い魔族に目にもの見せてやって下さい!」
「ええええええ…」
右腕をスケエリアに、左腕をハラミさんに掴まれて引きずられる。
両手に華だけど、シュチュエーションが違うよね?
何で他の男の修羅場に巻き込まれてるの、僕。
ああ…マジに帰りたいです




