##34 パポス様の推しってナニ?…んで、朝からどーしたのオリバー?
「イシャス、サスガニ キョウハ グッスリネテル。――パール、パールンチ イレテー」
イシャスの顔を覗き込んでいたウィ―ルはそのまま額の印を根の手で触り、言う。すると水の雫が少し角ばったような紋様が淡くひかり、ウィ―ルの薬草の体から出て来た緑色の小さい球体が吸い込まれた。
『いらっしゃ~い、ウィ―ル』
『オジャマ、シマス? ――――イシャスノ イウトオリ パールンチ キレイ! アト、パールノミズ スゴクスゴク オイシカッタ!』
『うっふふ! ありがとウィ―ル。まぁ、私の水はイシャスの水でもあるからウィ―ルにはぴったりよねー、栄養源として。――って、ウィ―ルあなた、緑の大精霊様の欠片から精霊の魂というか核になってるわよー?ウィ―ルって妖精になったのよね?』
『タブン セイチョウ シタノカモ。 ヨウセイッテ イウノ、ウゴク イレモノ…カラダ アルカラノ ヨビカタデ、ナカミ カワッテナイヨー』
『あ、そうなのね。妖精として変わったのかと思ってたわー』
『――ダカラ ウィ―ル、ダイセイレイサマト ツナガリ アルママデ…パールニ ダイセイレイサマガ ナンクセ?ツケテ ゴメンネ』
『あー、あれね。私も意味わからなかったけど、ウィ―ルが言ったわけでもないし、気にしなくていいのよー? それより格が上がったのね、おめでとう』
『パールノ ミズノ コウカデモ アルヨト オモウヨー。ソレデネー――――』『なになに~? そうなのー?じゃあ―――』と会話ははずむ。
水の精霊と緑の精霊は、基本的に相性が良いのだが、元イシャスに付いていたかけら同士だからか、名前の最後の文字を同じにしたイシャスの意を酌んでいるからか、緑の大精霊の横やりなどがあっても仲の良いままであった。
ちなみに、ウィ―ルに自我が芽生えたのは、色々な事が重なってではあるが主にパールと一緒に居たからなので、仲の良いなりにもウィ―ルの方がパールに懐いている感がある。―――イシャス曰くの、「ルシスに懐いてる」、とは全く違う普通の懐き方である。
そして、パールとウィ―ルは外の時刻で朝の一鐘まで、お互いの情報を教えあったり、人間でいうと世間話的な話をしたり、大精霊通信を通して会話に参加してきた父と話をしたりと喋り続けたのだが――――ウィ―ルは何故か最後まで、精霊の核の姿であるのに薬草の体の口調のままだった。
「ふわぁ~あ、あ~良くねたー。――…今日はパールんトコ行けなかったな。夕方行ったからか?」
「ンーウン、イシャスノ ノウガ ヤスメル ヨーニ、ダトオモウヨ」
「お、はよーウィ―ル。ってアレ? あっちに行ってんのオレの魂だから体はへーきなんじゃないのかー?」
「オハヨー イシャス。カラダハ ヤスメテル ケドネ、モドッテキタトキ ノウニ ブッコンデル?」
「――え? ああ、起きてるオレが魂の時の話し知ってるって事はそーゆーことかー。脳にブッコんでんのかー。そりゃー疲れて眠くもなるな」
「ソウ、ソレデ キョウハ…キノウノヨルハ?グッスリ ネテタヨー。 ダカラ ウィ―ルガ パールンチ イッテキタ。イシャスガ イッテタ トーリ、キレイダッタシ パールト ハナセテ タノシカッタ」
「楽しかった、かぁ…仲良くてよかったよ。ってウィ―ルも行けるのかー」
「ウン。――ソレデネ? イシャスガ スルースル コトガ ナンコカ オキタ。パールハ オモシロガッテタ ケド…イシャス、ジブン カンテイ シテミル」
「――――鑑定しなきゃダメか?」
「オソカレ ハヤカレ ダヨー」
「はぁ、そーだな。んじゃ~見るか。んー?称号の数が増えて――――……創造神様の推し…ってナニ? 称号なのか? どんな称号だっつーのー!?」
「キヒヒッ! パールガ イッテタ。イシャス、アイドルミタイ ダッテー」
「ああなんか薄っすら推しって、思い出したけど…アイドルとは限らないよーな?」
「ソンナカンジ ダッタヨ。ア、アイドルッテ イミデネ」
「――――深く考えない方がいい事もあるっつーか、考えちゃダメなやつだよなコレ。 さーて、朝の支度するかなー」
「サスガ イシャス。アンテイノ スルーッテ パールモ イッテソウ。ソレニ、ソーユートコガ ……アイドル?」
「なんだそれー」「キヒッ」と、いつものように緩く会話をしながらイシャスは朝の行動を開始しようとしたところで、4回のノック音と「おはようございます、イシャス様」という家令のオリバーの声がした。
「朝からどーしたのオリバー? 離れくんのも初めてだよねー…ってああ、オレのレベル上げ計画とか?」
「勿論それもございますが、私、ファメール家の家令を辞してイシャス様の執事兼家庭教師兼お側付き兼じいやになる事に成功いたしました。――いえ、なりましたので、これからよろしくお願い致します」
「――え? や、まって待ってまって~、一気に言われてよくわかんなかったってゆーか、家令やめちゃたのー!?」「サスガ ジイヤ?」「ウィ―ル様におほめ頂き光栄でございます」「ウィ―ルデ イイヨ?」「緑妖精様を呼び捨てなど――」「――って、いやいやいや、ウィ―ルと話進んじゃってるけど、そーじゃなくて――」と、イシャスの一日は朝から賑やかな始まりであった。




