9話 いれかわる
「ねむ……」
アラームに叩き起こされたのだがまだ眠気が覚めない
「今日も風見さんに話し聞かないとな……」
俺はそんなひとり事を言う。
朝ごはんを食べて準備をする。
「いってきます。」
一人でそんなことを言い、学校に向かう。
―学校。
「おはよう、修」
「お、おい……康大まずいかもしれない……」
「何が……?眠いんだけど」
「風見さんを見てみろよ……!」
言われるがまま歌葉を見ると……
そこには元気に会話をする、歌葉の姿があった。
「……は?」
思わず声を出してしまう、あまりの驚きに歌葉の方をじっくりと見てしまう。
声を出すと歌葉と目があってしまった。
すると歌葉がこっち歩いてきて来て
「昼、校舎裏、そこのやつも一緒に」
と、言われた。
それを言い終えると自分の席に戻っていく。
「康大何言われたんだ?」
修が聞いてくる。
「昼校舎裏に修と来い、だとさ。」
「俺もなのか……?」
「多分修も思った通りに向こうの風見さん、なんだと思う。だから何か知ってると思ったんじゃないかな」
「向こうの俺達と、仲良さそうだったんだろ?」
「ああ」
「俺は何も知らねぇのにな……」
修がめんどくさそうな顔をしている。
「修は原因とか知ってるだろ。」
「まぁ……な」
修は納得したように頷く。
「ほら、修ホームルーム始まるぞ。」
「お、おう、そうだな」
こうして午前の授業を終えて、昼となった。
―昼休み。
「遅い。」
歌葉がそんなことを言う。
「ご、ごめん」
とりあえず謝っておく。
「んで?風見さん俺達を呼んだ理由は?」
修が言う。
「この入れ替わりみたいなやつについてよ。」
かなり不機嫌そうにそう、歌葉が吐き捨てる。
「まぁ、そりゃそうだよねぇ。康大、教えてあげなよ。」
そんなことを言われてしまったのでしぶしぶ説明することにした。
この入れ替わりの名前や、原因
、パラレルチェンジする前兆。
など全てを話した。
「ふーん、心なんて揺らいだ気がしないんだけど。」
「まだ、完全に分かった訳じゃないからね」
俺が答える
「まぁ、大体分かったありがと」
「どういたしまして。」
「あと、最後に一つね?」
「なに?」
「この世界の歌葉はやめた方がいいと思うよ?何がいいの?あんな性格の女。それじゃ。」
と、わらいながら言って歌葉が走り去っていく
「大丈夫か?康大?」
修が声をかけてくる。
「大丈夫……だよ……」
「ま、辛いだろうけど、耐えるしかないわな。」
―だって性格反対なんだろ?
修がそう言ってくれる
「そう…だよな」
「さ、昼飯食おうぜ?」
そして他愛もない話をして昼休みを終えて、午後の授業を受けて放課後になり家に帰った。
―夜。
窓からコンコン、という音が聞こえた。
誰だ?と思って見ると…
そこには涙を流す、歌葉がいた―。
窓を開けて話を聞くことにする。「か、風見さん!?」
「あまはら……くん……」
歌葉が泣きながら俺の名前を呼ぶ
「大丈夫か!?」
「わ、わたし……わたしっ……!」
―くっそ……どうすれば……!
俺と歌葉の家は隣なので窓がかなり近く、飛びうつることもいけるかも知れない。
俺はその可能性に賭けることにした。
「いまから、そっちに行くから!!」
「あまはら君……!来て……?」
俺は思い切り飛んだ。果たして―俺は上手く歌葉の家に飛びうつることに成功して、歌葉の近くに行く。
「風見さん!!」
「雨原君……!」
歌葉が泣きながら抱きついてくる。
「どうしたの?向こうで何があったの?」
「わ、わたし……向こうで……!」
歌葉がさらに泣く。
「今は無理に話さなくてもいいよ……」
「ごめん、ごめんね……」
どれぐらい、時間がたっただろうか突然我にかえった歌葉が俺から離れて、
「ご、ごめんね……!」
と言ってくる
「もう大丈夫?風見さん。」
「う、うん……」
歌葉は申し訳なさそうな顔をしている
「何があったのか聞いてもいい?」
「うん、もう大丈夫……」
「じゃあ、何があったの?」
「わたし、色んな人にいじめられたの……『突然、どうしたの?』って言われて……私が『この世界の私と入れ替わったの』って言ったら……『きもちわる、入れ替わったなら別にどうなってもいいよね?だってあなたは歌葉じゃないから』って言われて……色んな人に殴られて……!」
「嘘……だろ?」
思わず俺は絶句してしまう
「それで私どうすればいいか分からなくて……」
再び歌葉が泣き出す。
「体に傷がないけど……」
と言うと歌葉がおもむろに上着を脱いでお腹の辺りを俺に見せてくる。
「か、風見さん!?」
「ここ……」
ひどい痣だった。壮絶、そんな言葉では言い表せないひどい痣であった。
「くっそ…!」
「でも……触っても何をしても全く痛く無くて……わたしには……」
―あれが現実か分からない。
歌葉はそう言った
「痛みが……無い……!?」
「うん……」
歌葉がうつむきながら頷く。
「なんで……なんで何の罪もない風見さんが!」
「ごめんね、雨原君……」
「何で風見さんが謝るの……?」
「きっと私が……!」
「何にもしてないじゃないか風見さんは!」
「でも……」
「風見さんは……歌葉は悪くないよ!!」
「雨原君……」
言った後に自分が歌葉を下の名前で呼んでしまったことに気がつく。
「ご、ごめん、歌葉何て言っちゃって」
「いいよ、歌葉で……」
恥ずかしながら歌葉が言う。
「え?」
俺が思わず聞き返す。
「歌葉で良いって言ったの……康大……くん」
「俺も康大でいいよ…」
歌葉がうつむきながら頷く。
「あ、あの私もう大丈夫だから、……」
「でも、歌葉は……!」
「大丈夫だから……早く寝た方がいいよ……?明日も学校なんだから……」
「そうだね、歌葉、おやすみ。」
「うん……おやすみ康大……」
俺は窓から自分の部屋に飛びうつった。
―大丈夫かな……
そんなことを思いながら、歌葉。と呼ばせてもらえる喜びを噛みしめて、眠るのであった。
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