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6話 パラレルチェンジ

―教えてやるよ、パラレルチェンジについて、な

と、修は得意げに言った。

「そもそもパラレルチェンジってのは……」

と、修が説明しようとするので

「まず、俺から質問してもいいか?」

俺が修を止めて、先に聞きたいことを聞くことにした。

「そうだな、先に質問を聞こうか、何が知りたい?」

修が聞いてくれる。

「ここはどこなんだ?」

と、俺は素直に質問をぶつけた。

「ここはもともと康大……いや君がいた世界の平行世界。つまりパラレルワールドさ」

―って言われてもさっぱりわからんな……

「あの……そもそもパラレルワールドってなんだ?」

修が驚いたような顔をして

「知らないのか?」

と、修が聞いてくるので

「しらない」

と、俺は素直に答えた。

「じゃあまず、パラレルワールドについて、だな」

修が先生のように語り始めるので、

「お願いします、修先生」

と、俺は言った。

「先生はやめてくれよ?そうだな、例えばなんだが……康大、今日は朝なに食べた?」

―なにも食ってないんだが……

だが、ここで嘘をついても意味はないので正直に答えることにする。

「何も食ってない。遅刻しそうになったから」

そう言うと修は呆れた顔をして

「じゃあいつもはなに食ってんだ?」

と聞いてきた。

「パンがほとんどだけど昨日はご飯だったな」

と俺が答えると、

「じゃあそれでいくか」

修が得意げな顔をしてそう言う。

「修、関係なくないか?それ」

と、俺は疑問をぶつける。

「関係あるんだがな……おっともうこんな時間か」

修がそんなことを言うので時計を見るとあまり時間がなかった。

続きは放課後にすることにして、お互いに購買に行きパンを買い、ちょうど食べ終わるところで予鈴がなった。

「ほら、戻るぞ康大。」

「わりぃ」

―放課後。

「で、さっきの続きなんだが一昨日の朝は何食ったんだ?」

「パン」

「昨日は?」

「ご飯」

「なぜ?」

と、聞かれたので俺は記憶を掘り起こすと……

―そうだ、パンがなかったんだ……だから

「パンがなかったんだ」

と、答えた。

「何でなかったんだ?」

修が聞いてくる。

「買い忘れたんだよ、買い物の時に」

俺は事実を答える。

「そういえば一人暮らしだったな……ま、それだよ、康大。」

修がふっと笑いながら言う。

そして修が

「お前が買い忘れたパンを買い忘れなかったお前がいるんだ」

などと言う。

「どういうことだ?」

と、俺が問いかけると

「いいか、康大、パラレルワールドってのは、お前が辿らなかった世界のことだ。」

そう言われた。

だがまだよくわからなかったので、

「もうちょい詳しく」

修が難しそうな顔をして

「お前はパンを買い忘れた。だが買い忘れなかった可能性もあるだろ?」

と、言った。

「まぁ、あるにはあるな。」

そう、俺が答える。

「その可能性が生んだ世界のことだ。パラレルワールドってのは」

なんとなく分かった気がする。

ー気がするだけだが。

「んで?パラレルチェンジってのは?」

俺は問いかける。

「パラレルチェンジってのはそのパラレルワールドと自分自身が入れ替わってしまうことさ。まぁ、パラレルワールドかどうかは仮定ってだけで本当かはわからないけどな」

ーわからんのか……

「それで、何でそれを修が知ってんの?」

と、俺が聞く

「それは……」

修がそういい始めた時に、

時間が止まったような気がした。周りのものが突然色を失う。

色が、なくなる。

音が、聞こえない。

何も、聞こえない。

動けない。

動くことが、許されない。

ふと、気がつくと真っ白な空間にいて、そこには―

再び俺が立っていた―。


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