5話 はじまり
―ゆめのなか
「よぉ」
ふと、気がつくと白い部屋の中にいて目の前には自分自身がいた。
「な……⁉︎」
「まぁ覚えてないのものも無理はないわな」
と、もう一人の俺に言われる。
「お前はだれなんだ?」
と、俺は問いかける
「俺はな……お前そのものだよ、俺は雨原 康大そのものさ」
もう一人の俺が言う。
「違う俺はここに……!」
あいつはなにを言っているのか俺には理解ができない。
「ああ、そうだなお前はそこにいる。ま、細かいことはあとで修にでも聞くんだな。」
もう一人の俺がそんなことを言う。
「お、おいまてよ!」
「頼むからヘマだけは、するなよ?あとはそっちで、な」
俺が呼び止めるがもう一人の俺は聞いてくれない。
「まてって!」
その声はもう一人の俺には届かず眩しい光で視界が照らされた。
―現実世界
目を開けるとそこはいつもの部屋であった。
「変な夢をみたな……」
ふと、時計に目をやると表示されている時刻は8時。
「やっべ!」
俺は大急ぎで家をでて学校へ向かう。
―学校
「よ、おはよう康大」
「おはよう修」
「遅刻ギリギリじゃねえかよ」
修がわらいながら言う。
「変な夢をみてさ」
「ふーん?」
修が怪しげな目を向けてくる。
「そんな事より風見さん来たぞ、お前と一緒で遅刻ギリギリだな」
修がからかうようにこちらを向いて言ってくる
「一緒にしたら風見さんが可哀想だろ……」
そう言うと修が不思議そうな顔をするそして、
「あれ?お前どうした?」
などと言う。
「は?なにが?」
「……なんでもないよ」
修が気になる言葉の切り方をする。
そのことを気にかけていると歌葉がこちらに近づいてきて……
「おはよう、康大。」
「え?」
歌葉が何故か俺の事を「康大」と呼んでいる。
「どうかした?」
と、歌葉が聞いてくる。
「い、いやなんでもない…」
―どういうことだ?
「おい、ホームルーム始まるぞ座っとけ」
修が言う。
「そうだな……」
―昼休み。
「おい、康大。ちょっと」
「俺も聞きたいことが……」
「お前まさか……」
―入れ替わったのか?この世界の康大と。
と、告げられた。
「入れ替わるって何言ってんだよそんなこと……」
「前にもあったんだよいれ替わりが」
―何を言っているのか。入れ替わる?何が?
「教えてやるよ俺が」
修が得意げに言う。
「何言ってんだよ?」
ー何を言っているのだろうか……?
「俺達が名付けたパラレルチェンジについて、な」