11話 海と雪と騎士
——学校
「練習しろー」
もう適当じゃないかあの先生
「よし!歌葉、今日もやるか」
「うん……」
歌葉が心配している。
「大丈夫だ、今日は助っ人がいるからさ!」
「助っ人……?」
歌葉が不思議そうな顔をする。
すると向こうから助っ人——もとい、拓海と恋雪が歩いてくる。
「はぁ……何で私がこんなことをしないといけないの?拓海?」
恋雪がキレ気味で拓海に問いかけている。
「いやぁ、助けてって言われたからさぁ?断れないじゃん恋雪?」
「全く……どうしていつも私を巻き込むの?」
「毎回言ってるけど好きだからだよぉ?」
恋雪の顔が一気に赤くなる。
「な……!」
「悪いな康大。さ、やろうぜ?」
「あ、ああ」
ふと歌葉を見ると歌葉が俯いていてさらに顔が赤くなっている。
「あれ?康大と歌葉ちゃんって付き合ってないの?」
「付き合ってないよ!」
俺の顔が赤くなっていくのが分かる
「悪いねぇ、じゃあやろうか康大」
拓海が笑いながらいう
「ああ、やろう」
歌葉がまだ真っ赤だが気にしないことにして足に紐をくくりつける
すると歌葉が
「ひゃあ!!」
という声を出して驚いたので俺も「うわぁ!!」
という声を出して倒れてしまう。倒れるとふと、手に柔らかな感触が伝わってくる、なにかと、手に2、3度力を入れると、「えぇ……?い、いや……!」
と、歌葉が言うので手のほうを見ると、いい感じに歌葉の胸が収まっている。
「うぉわぁ!!」
と言葉にならない声を出してしまう。
「ほほぉ?白昼堂々とすごいですなぁ?そのままいっちゃうんですかぁ?大胆ですなぁ?俺も恋雪とやっちゃおうかな?」
「あんたは黙ってなさい。」
と恋雪が拓海を殴る。
「いって、わりぃわりぃ。つい、な?」
何がついなのだろうか。
「は、早く練習しよ……?」
歌葉が立ち上がって言う。
「そうだな。練習しようか」
俺も立ち上がる。
「さ、じゃあとりあえず二人で歩いてみてくんねぇか?」
「じゃあ行くぞ?歌葉……せーの」こける。
「ちょっとまて……歌葉ちゃん不思議なこけかたしたな……そうか……!」
すると歌葉が
「ごめんなさい……」
「だ、大丈夫だよ歌葉ちゃん、多分一歩目で両足動かしてるからこけるんだよ。」
「歌葉両足動かしてたのか!?」
「どっち先か分からなくて……」
「じゃあ歌葉は右足からな?」
「う、うん……」
ちなみに俺が右側に立っている。「じゃあ……せーの……!」
「や、やった……!」
歌葉が嬉しそうにこちらをみる。距離が近いので息がかかりそうだ。
「はいはーい、そこらへんでいいよ~康大、歌葉ちゃん~」
と拓海がいう。
「んじゃ俺達はこれで、恋雪いこうぜ~」
「はぁ、何で私があなたと……」
と言いながら恋雪が遠ざかっていく。
すると向こうから修が走りよってきて
「いや~人生で初めて100メートル走負けたよ。」
と笑いながら言う。
「嘘だろ?修に勝つやつがいるなんて……」
「ま、名前はわからんけどな」
「そうか……」
そんな話をしていると歌葉が俺の体操着の裾を引っ張って
「もう少しやろ……?」
というので修に別れを告げて練習をした。
そして昼になった。
―—昼休み。
「うたはー今日はナイトがいるのー!」
「え……!あのナイト君がいるの……?」
「ナイト?」
俺と修が声を揃えて言う。
するとスラリとした男が
「俺をナイトと呼ぶな。」
と、いった。
「えーいいじゃんー」
美癒がいう。
「良くない。」
「ナイト君……久しぶり……」
「だからナイトと呼ぶな」
「君は……?」
と修が聞く。
「俺は新田 陽太だよろしく」
「俺は赤山 修だ。んで、こいつが雨原 康大だ。」
「よろしく」
と、陽太がいう。
「おお!なかよしー!!ナイトお友達できてよかったねー!!」
「ナイト君よかったね……」
「うるさいぞそこの二人」
「陽太くんは何でナイトって呼ばれてんの?」
俺が聞く
「それはねー……」
何故か美癒が答えようとする
「ばっ…!」
それを陽太が止めさせようとしている。
「私をねぇ……」
「言わせない」
陽太が美癒の口を塞ぐ。
「おお……!」
何故か嬉しそうな歌葉。
「すげぇ」
何かに感心している修。
美癒は口を塞がれてモゴモゴ言っている。
「ぷはっ!」
美癒がやっと解放される。
「飯を食え。」
陽太が言う。
「ナイト学校きてないくせに!」
「つまんないからいいんだよ。」
「なら、私もいかないもん!」
「お前はバカなんだから行け 」
「私だってナイトと同じ学校だもん!」
「それはお前が完全記憶能力持ってるからだろ」
むー、と美癒が頬を膨らませる
。
「そ、そうだったのか?」
俺だけが知らないような感じだった……。
「まあ、よろしくな陽太」
と修が言う。
「ああ、よろしく修、康大」「私は歌葉と遊ぶからいいもん!!」
「ハイハイ、行ってこい」
適当にあしらう陽太
「うわ、こんな時間かよ、みんな早く食わないと遅れるぞ!」
「わかったよ!!」
修に美癒が元気よく返事をする。
「じゃあ俺は教室に帰るよ」
陽太がそう言うと
「おう」「じゃあ、また。」
と俺と修が返事をする。
その後何事もなく3週間を終えた
その間陽太は来なかったのだが恋雪と拓海は相変わらず二人で一緒に仲良くしていた。
こうして、体育祭の日を迎えるのであった―。