探偵社
街にはいくつも探偵社が存在する。
その中でも多くの依頼を引き受けている探偵社がグレイという人物が社長を務めている探偵事務所である。
10人の探偵がそれぞれ違う依頼を引き受け、社員として働くものは探偵をサポートする立場にある。
そしてこの二人、
「暇だね〜」
「そうだなあ」
ブラックとホワイトもこの探偵社で働いていた。
二人はニコラスという者のサポート役だが、当の本人は
「今日はいらねえ」
さっさとでていってしまった。
だから余計なことはあまりせず、事務所の掃除やら過去の事件の資料が積まれた資料室の整理やらしていたため、疲れたのか机にぐったり突っ伏してしまった。
本当ならニコラスの助手として依頼を手伝ってあろうはずなのにこんなことをしているだけはつまらない。
だからとりあえず暇と言ってみる。
「暇だね〜」
「うん…」
ブラックは資料を読み漁り、ホワイトはまだ立ち直らなかった。
すると、資料の間からひらり、
木の葉のように一枚の紙が舞い降りた。
「なにそれ!?」
拾い上げるとそこには20年前の魔術師大量殺害事件についてびっしり書き連ねてあった。
当時、召喚術というのは魔術師の中でも高度な技術ゆえ、それを扱える者の周りからの評価は高かった。
その度に使われるのは魔本と呼ばれる12体の術霊が封印された本である。
もちろん、召喚できるのは一体だけであり、自身が望むものが出てくるては限らない。
術霊はそれぞれ色違いのコートを羽織っており、能力も違う。
色が寒色系になるほどあまり主には忠実ではないが馬が合えば主従関係は上手くいく可能性がある。
「たしか、この事件があったから一時期一般人が大騒ぎし出したとか。」
「そんなことあったかなあ」
「あったんだよ。殺されちまうて叫んでた人もいたみたい。」
「まあ、ひどい話だものね。」
ゼルレッチという魔術師が召喚術を成功させるため、
弟子を同士を何人も引き連れ儀式を開始した。
まさにそのときだったのだ。
一瞬のうちに倒れ始め、床の上にバタバタ折り重なっていく。
ゼルレッチはひどいことに数十カ所を刺され、息絶えた後も犯人は彼を刺し続けたことが伺える。
事件はまだ未解決だが疑問点があった。
犯人はゼルレッチ氏を恨んでいる?
本はどこへ消えたか。
一人、参加メンバーのはずなのに被害者リストに載っていない者がいる。
召喚は成功したか?したなら術霊はどこか。
様々な疑問は捜査をかく乱させた。
「ゼルレッチて人、恨まれてたのかなあ」
「さあ、そのゼルレッチて人が犯人にひどいことしたならそれはその人がわるいんでは?」
「どっちもどっちだよ」
資料を片付け、二人は事務室へ戻った。
「よう」
そこには二人がサポートすべきそして尊敬する探偵、ニコラスが戻ってきていた。
「おかえりなさい。」
「おつかれ。」
ニコラスの近くに駆け寄っていく。
彼は茶色の封筒から書類らしきものを取り出して見せた。
「これは。」
「依頼だ。よかったな、仕事だぞ。」
「おお、依頼だ!」
ホワイトは白のロングヘアをゆらしながらはしゃいでみせる。
「で、依頼内容は?」
ブラックの言葉を待ってましたと言わんとばかりに口を開いた。
「この人物についてだ。」
一枚の写真。
そこにはこちらににこやかな笑顔を向ける男性が写っていた。