表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/206

再始動

「ただいまー」


「お帰り―」


またいつものやり取りが始まった。

月は変わって九月。

地獄のような暑さも多少は和らいで秋が近づいている。

まあ多少なのだが。


「どうよ久しぶりの学校は」


「みんな変わってなかったねー」


「まあ変わってたら怖いけど。隣の男が女になってたり」


「まさかそんな馬鹿なことが…ありましたね私たちに」


「なー」


当然夏休みも終わり、

学期が変わって学校も改めて始まっている。


「まあそれはともかく、テストどーよ」


「ま、まあまあ?」


「いつも通りですな」


「変わらずですね」


「茂光は」


「一緒に帰ってきたよ」


「それは見えた」


「見てたんですか」


「いや、階段掃除終わって一番上で休憩してたらお前ら帰ってくるの見えたんだもの」


「さいですか」


「学校でなんか言われなかった?他の奴らに」


「え、えーとそりゃまあ…」


「お、なんかあったか?」


顔赤くなる千夏。


「しげちゃんも私もすごくいじられたけど祝福されますた」


「ええやん」


「で、でも面と向かって祝われるとまだちょっとなんかむず痒いものあるね」


「まーまー。実際めでたいしよいではないか。でもどっから情報漏れたのやら。俺も佳苗も言ってないはずなんだけど。茂光が言うとは思えないし」


「女子たちに噂が広まるのは早いのですよ…一緒に手つないで歩いてたの見られてたらしいです…」


「にゃるほど。そりゃ言い逃れ不可避ですな」


「笑って回避は許されませんでしたよ…」


まあそりゃなんだかんだ言って校内でも比較的有名な千夏であるので、

その手の話題が流れたら広まるのも早いわけである。


「ん、まあとりあえず家戻るか」


「そうだねー」


まだまだ外は暑い。

つっ立って会話するにはまだ厳しいものがある。


「神社ではなんかあった?」


「特になんも。まあ良くも悪くもいつも通りやね」


「そーですか」


やっぱり休みが終わっても変わらなかった優美の生活パターンである。


「まあ、これでまた日常に戻るな生活パターンが」


「うん。また寝るの早くしないと」


「最近遅かったもんな―」


「4時過ぎ上等だったもんね」


「ひどい時は6時どころか7時になりそうだったし」


「昼夜逆転ってレベルじゃないね」


「そういう日は昼過ぎまで寝てるのが基本」


「ぐーたら巫女」


「だって眠いんだもの。掃除中に階段から転げ落ちても困るしな」


「人来たらどうするつもりなんです」


「来ない来ない」


「うわ適当」


「まあ先に連絡の一つでもありゃ起きてるけどさ」


まあ実際そんな日に、

わざわざ会う必要のある人物など来なかったが。


「ん。つか今日は予定ない感じ?」


「今日はフリーだよ」


「あ、そうなん。茂光に会ってるだろうからどっか行くかなとか思ってたけど」


「ちょっと前に行ったからまだいいです」


「そうすか。まーた家でお泊りパーティでもやってもええかもな。いっそのことどっかに旅行するか」


「まあそれやるなら冬休みかな次は」


「せやね。連休終わってすぐに次の大型連休の話を始める人たち」


「まあ予定を組んでおくことは悪いことじゃあないよたぶん」


そんなこんなでだらけつつ喋っていると、

懐かしいような騒がしさが

神社の境内に響き始める。


「お、なんか懐かしいな。まあ聞いてなかった期間そんなに長くないけども」


「小学生たちかな」


「たぶんな。まーここに遊びに来るやつなんて他にいないだろうよ」


小学校も始まったのだろう。

再び小学生たちが境内にやってき始めたようである。


「まーあれか。小学校でいついつに集合って約束してんのかもな」


「そうなのかな」


「わかんねーけどね」


優美はマンジョンの中庭で遊んでいることばかりだったので、

気が付かないうちに全員集合していたパターンがほとんどであった。


「久しぶりにちょっと遊んでくるー」


「怪我すんなや」


「大丈夫です」


「躓くなよ」


「それはちょっと怪しい」


「だめやん」


「大丈夫、こけるまではいかないから。よろけても耐えるから」


「まあ気をつけて」


「はいはーい」


「と言いつつ俺も外に向かう」


「珍しい。明日は雪ですか」


「いや、久しぶりだから気になるだけでござる。つーか最近言うほど俺引きこもって無くね?」


「まあ確かに一時に比べれば外に出てる?」


「疑問形かい」


というわけで外に出てみれば、

分かっていたことだが、

いつも見たような小学生集団がわちゃわちゃやっていた。

というか増えてる気がする。


「増えてね?」


「増えてるね。誰かがここ教えたのかな」


「それやばいな。そのうちこの神社の庭小学生でうまっちまうんじゃね」


「さすがにないんじゃないかな。無駄に広いしこの庭」


「まあな」


そう言いながら一旦境内の方に向かう優美。

参拝道で遊ばれるとさすがにちょっと邪魔なので誘導係である。


「…とりあえずいないかなー」


一応確認したが、

前からいた子がちゃんと連れて行っているのか、

声につられているのか不明だが、

誰もいないようである。


「…いかがわしいもんも落ちてねえなっと。帰るか」


一応そっちも確認してみる優美。

ごくごく偶にだが落ちていたりするのである。

さすがに神社の境内にそれがあるというのは見過ごせないので回収するのであるが。


「つーかああいうのって今時どこで拾ってくるんだ?謎だな。やっぱ川辺とかにあるのかね。前はここに落ちてたって聞いたけど実際どうなのやら…」


呟きつつ無駄に広い庭の方に戻ってくると、

さっそく千夏が遊びに参加していた。


「おお、やっとら。相変わらず大人気じゃのあいつ」


子供に紛れて遊んでいる千夏。

小学生にまで戻って遊んでいる感じである。


「…そういやここにゲームとか持ってきてやってるやつ見たことねえな。今時珍しいような気がしなくもねえや」


何かしら身につけていたりする子はいるが、

基本的に全員そろって騒ぎながら思いっきり走り回ってたりするのがほとんどだったりする。

まあ広くて人がいていくら騒いでも文句の一つも言われないので、

外で遊ぶ条件としては最高なのかもしれない。

偶に千夏とか優美も参戦してくるし。


「優美姉」


「お、翔也君」


当然小学生メンツが来てるということは

翔也も来ているわけである。


「学校始まった?」


「うん」


「そっか。どうよ学校。久しぶりに」


「久しぶりにみんなに会えたから楽しかったよ」


「ほうほう。そりゃよかった」


「なんか日焼けしてる友達多かったよ」


「あー…確かに。黒いねみんな」


目の前で走り回っている子供たちの半数くらいが黒くなっている。

一部なんてもはや真っ黒である。


「海とかプールとか行ってきたんだろうなーみんな」


「そうやって言ってた」


「やっぱり」


「優美姉も?」


「ん?え、ああ、やっぱ焦げてたか」


なんだかんだ言って、

結構焼けてる優美だったりする。


「まあね。海にもプールにも行ってきたしね。そういう君も黒いぞ?」


「おばあちゃんの家行った時に泳いできたからいっぱい」


「そっか。うんうん、健康体だね」


夏の思い出をちょっとだけ語り合う二人。


「さてと、見てるの飽きてきたし私も出るか」


ひょいっと縁側から降りる優美。


「ほらほら翔也君も」


「うん。今いく」


「あ、優美ちゃんが来たー」


「あいあいさー私も入れてちょーらいな」


結局暗くなるまで全員遊び続けたのであった。


「いー!しみる―!」


「こけるなって言ってた優美ちゃんがこけててどうするんですか…」


「不覚…いだー!」


結構盛大にずっこけた優美であった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ