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自己責任

「ついに来てしまいましたね…」


「あれ?乗り気じゃないの?」


「いんや、そんなことはねえけども」


今優美たちいつもの四人組が出没しているのは市民プールである。

余りの暑さに耐えかねて行くことにした。


「じゃあまあとりま着替えに行きますかねえ」


「そうだね。じゃあしげちゃんまたあとで」


「はい、千夏さん」


とりあえずまずは着替えないと始まらない。

なので更衣室行きである。


「…こっち側来るのは初だな」


「あれ?二人ともプール来たことない?」


「いや、そういうわけじゃあないけど…ねえ?」


「だよねえ…」


「?」


プール自体には何度も行ったことが当然ある二人だが、

当然普段いく方向は更衣室の方向は逆側。

即ち男側であったので。


「…子供多いなあ」


「まあ近所の子供ってだいたいみんなここ来るからね。近いから―って理由でさ」


「…知り合いに鉢合わせしそうだな」


「だねえ…」


正直知り合いにはあんまり会いたくはない二人である。

今の体に慣れてきているとは言えど、

水着状態のを見られるのはなんか色々まだ恥ずかしいものがある。


「ここでいっか。よーし着替えよ着替えよ!」


「はいはい」


というわけで着替えることにした三人。


「むふふ…優美ちゃん可愛い」


「川口。顔がやばいぞ。あとあんまり見るな、恥ずい」


優美が持ってきた水着はワンピースタイプの物である。

実を言うと、

家には最初から何故かスクール水着っぽいのが置いてあったのだが、

どうせならわざわざ買ったやつということでこっちを持ってきたのである。


「…」


「なんだ、何故だまる」


「いや…優美ちゃん…」


「…がん見するな。分かってるますので…」


「…なんかごめん」


優美は貧乳、

というかはっきりいってまな板である。

なので水着を着てもない。

全くない。


「まあ俺の分の胸は全部千夏が吸収してったから」


「ちょ、優美ちゃん何言ってるの!」


「あーでも確かにでかい。ちなっちの胸」


「つーかお前早く着替えろよ。喋ってる間に俺も川口も着替え終わっちまったぞ」


「あ、うん…」


「なんだ、どうした」


「いや…ちょっとね…これがね…」


なんだか煮え切らない千夏の手元を見ると水着がある。

ただし種類がビキニである。

しかもホルタ―ネック。


「うわーお。いつの間にそんなものを」


「いや…この前買ったんだよ。なんかその時はいいかなーって思ったんだけど…」


「だけど?」


「今になって強烈に後悔し始めてる…あぁー」


「なんでさ。ちなっちスタイルいいから似合うっしょ?」


「そういう問題じゃないんだよなぁ…」


「だがしかし、それを着ないと外に出れぬぞ」


「そうなんだよねえ…どうしよ」


悩む千夏。


「とりあえずここくそ狭いから外で待ってるぞ。早くこいやー」


「早くするんだぞーちなっちー」


「はーい…」


というわけで一時退散。


「あ、いたいた。あれ?千夏さんは?」


「お取込み中。待ってれば来ると思うけど」


それから数分。


「お待たせ―」


「遅かったな…っておい!」


「え?」


「なんで上に着てるんだよ!水着で来いよ!」


最終的に千夏がとった行動はとりあえず水着の上に一枚着る、

ということであった。

羞恥に耐えかねたらしい。


「だ、だって恥ずかしいし…」


「俺だっておんなじだわっ!俺の方がおかしいんか!?」


「だって優美ちゃんビキニじゃないし…」


「選んだのお前だろうがよ…」


「まあまあ二人ともー、とりあえずここ暑いしプールに行きましょう!」


というわけでさすがに暑いのでプールに向かう。

とりあえず向かった先は流れるプールである。


「えーっと…千夏さん、泳がないんですか?」


「え!え、えーっとね。か、考え中…」


「そ、そうですか」


後ろの方で会話する二人。


「全く、茂光の奴も素直に言えば良い物を。千夏の水着姿どうせ見たくてしゃあないくせに」


「まあ、しげみっちらしいと言えばらしいよね」


「そうだけど歯がゆい」


前行く二人。

そこでささっと後ろの千夏の横に行く優美。

小さな声で会話する。


「なあ、結局入らんの?」


「いや、入りたいんだけど…ま、まだ無理。視線がね…」


「でも水着になったら余計視線飛んでくると思うけど」


「だからだよ…」


基本的に男と言う生き物は、

その心にエロいものがあろうがなかろうが、

可愛い子とかがいると、

案外知らず知らず視線がそっちに行っていたりするものである。

いかんせん千夏は今それの対象になっているわけで。


「とりあえず熱中症にはなるなよな」


「大丈夫。日傘持ってきた」


「どこのお嬢だお前は」


というわけでプールわきまでやってきた四人。


「ひゃっほー!プールだあ!」


「川口、飛び込み禁止だぞ」


「えぇ…」


「いやえぇ…じゃあなくてだな」


プールに入っていく前方二人組。


「しげちゃん。入ってきていいよ?」


「いや、千夏さんはいらないのに俺だけってのも…」


「いいっていいって、しげちゃん外に居て干からびたらいけないし。私もそのうち入るから」


色々口でいいつつも、

ちょっと今だけは茂光に離れてほしい千夏。

ただでさえ恥ずかしいのに、

茂光と一緒にいたら、

精神的にも恥ずかしさ倍増である。


「がぼっ!?深くね!?」


「ここ135㎝くらいだったはずだけどなー」


「135㎝…い、今の俺の身長からしたらだいぶ深いしそれ…」


「むふふ…あれなら抱っこしてあげようかー?」


「待て川口。手をわきわきさせるな。目がやばいって」


「そんな遠慮なさらずに…とりゃ!」


「うおわっ!飛びかかってくるんじゃねー!」


「あっ!待て―!」


プールに入るなり追いかけっこが始まる優美と佳苗。


「ちょ、優美ちゃん早い」


「お前が追っかけてくるから全力なんだよっ!」


「むきー!余計捕まえたくなってきた!」


「いい加減にせいやー!」


泳いでみたら意外と普通に泳げた優美である。

元々泳ぎ自体はそこまで苦手でもなかったので、

そこそこ速い。


「むぐぐ…追いつけない」


小さな体で人の間を抜けて行ってしまう優美に対して、

佳苗の方はそうもいかない。

決して泳ぎ自体は遅くはないのだが。


「いいからいいから、行ってきなよしげちゃん」


「…後でちゃんと来てくださいね?」


「わ、分かってるよ?大丈夫だから、行くから?」


一緒に泳ぎたいオーラを発射する茂光に対して若干動揺する千夏。

それもそのはず、

いまだに水着姿になるかどうか、

相当悩み中なため。


「…どうしようかな…」


茂光は千夏の言葉に従って

泳ぎに行ったようだが、

やっぱりまだ悩み中である。


「いい加減諦めろってっ!」


「待てええええ!」


そんな千夏の前を通過する二名。

もう一周したようである。

どんだけ追いかけ続けてるのやら。


「…どこだ、二人」


そしてかなり遅れてきょろきょろしながら一周してきた茂光。

いまだに二人に追いついていないようである。


「あ、千夏さーん」


手を振ってくる茂光。

振りかえす千夏。

当然周りの視線の一部も一緒についてくる。

結構恥ずかしい。


「…みんなに見られてる気がする…」


まあ気がするというか実際視線は結構飛んできているのだが。

プールわきで日傘さしながらプール眺めてる美少女とかがいたら、

嫌でも目に入る気がする。


「はあ…なんでこんな水着選んだんだろ…もうちょっと露出少なければまだ普通に入れた気がするのになぁ…」


若干ブルーな千夏であった。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 服(水着)を複数買っていたのなら、複数持ってきたらよかったのに。 [一言] サンオイル塗らないのかな? イベント的にも。
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