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耐水性

「…そういえば」


「うん?」


「そろそろだよな。というかもう始まってたりするんでしょうか」


「えーと、何が?」


「何がって、学校。プールよ」


「あ、はい。もうすぐだね。というか時間割変更で六月入ってからまだ体育が無い」


「なんじゃそりゃ。ああでももう一応時期だったか」


「まあね。まだやったことないけど」


六月に入って体育が選択科目になったわけだが、

今回選ばれたのは水泳だったわけである。


「しっかしこの湿気まみれの中で水泳ねえ。まあ暑いからちょうどいいかもしれんけど」


「まあ暑いしねえ最近」


「クーラー安定」


「電気代大丈夫かしら」


「どうだか。相当使ってるけど、さすがにもうなしじゃ無理」


「一応まだ扇風機で耐えられなくはないけど」


「すげえ」


優美は元々かなり暑がりであったが、

ここに来てからも変わってないようである。


「しかし、お前水着持ってるのか?」


「えーっと、個人的に購入したのなら一応」


「もう買ってたか」


「売ってたから買っちゃったぜ」


「相変わらず服だと見境ないな」


「見境はあるですよ。着て可愛いのしか買わないです」


「衝動買い率高いよねでも」


「まあうん。お金持ってるとついね」


「まあそもそも水着って服の中に入れていいか疑問だけど」


「着ることに変わりはないのです」


「というかいつの間に買ってたんだ?全く知らんかったぞ」


「ちょっとこの前買い物しに行った時にいいものがあってですね」


「また衝動買いかよ」


「可愛いのが悪い」


「その理屈はおかしい」


優美はまだその手の物は持っていない。

梅雨終わったら買いに行こうかとか思ってたとこであった。

千夏と違ってファッション方面にはさっぱり興味の無い優美であるが、

海とかには行きたいので。


「つーかすっげえ今さらだけどこの体泳げるのかな」


「あー確かに。泳いでみたことは無いね」


「家の風呂場もそこそこ広いとは言えど、泳ぐほどじゃねえしなあ」


「夏にならないと泳ぐ場所もないもんねー」


「寒中水泳とかはしたくないしな」


「それなんて罰ゲーム」


さすがにどれくらい泳げるかは分かっていない二人である。

泳ぐ場所も無かったので。


「はー、泳げなくなってたらめっちゃ困るなー俺。水泳好きだからなー」


「カナヅチ化はできれば勘弁だねー」


「とりあえず25mプールは泳げてほしい」


運動音痴だった優美であるが、

そんな中でも比較的ましだったのが水泳だったりした。

これができなくなるのはちょっとあれである。


「でもさ」


「何よ」


「優美ちゃん泳げなくなってたら私が教えてあげるから大丈夫だよ。可愛い子を教えるのはまかせろー」


「やばい。心まで幼女みたいにされそう」


「いやしませんからそんなこと」


「でもお前が泳げなくなってる可能性もあるわけで。むしろ俺はともかく、お前学校であるわけだからそっちのが困るだろ」


「うん、まあ確かに」


「…まあ最悪泳げなくなってたら俺が手取り足取り教えてやるから」


「…何その笑み」


「えーなんのことかなー」


「なんだろう、ただ教えてもらうだけで済まない気がする」


「当然済ませない」


「言い切っちゃったよ」


「まあそれはさておき」


「置くなし」


「お前はまたもや女子更衣室にイントゥするのか」


「いやまたというか体育あるたびに入ってるけど」


「まあそりゃそうか。さすがに慣れたか?」


「まあもう半年以上女子高生やってるしねー。さすがに慣れてきたよー」


「まあでもプールは初だろ」


「まあね」


「やっぱあのなかってのは生々しい会話が広がってるのだろうか」


「たまに聞くこともあるかな」


「やっぱ会話してることもあるのね」


「そりゃ人間だもの。しょうがないよ」


優美は女子しか入れない所は女子トイレくらいしか入ったことは無い。

というのもこの家は男女に区別をつけるような場所はあるわけがないし、

どこかに出かけても更衣室を通過したりするような場所はなかったわけである。


「というか優美ちゃん」


「んあ?何さ」


「水着無いんだよね?」


「んあ、ねえよ。また買いに行かなきゃな」


「今日晴れてるね」


「せやな」


「私はね、今日は暇なんだよね」


「そうか」


「ということで買いに行きましょう!」


「嫌だ」


「即答ですか。ひどいです」


「だってお前に連れて行かれると着せ替え人形不可避じゃないですか」


「え、だってどうせ連れてくなら一番いいものがいいじゃないですか」


「まあそうかもしれないけどさ」


「そんな装備で大丈夫か」


「一番いいのを頼む…じゃねえよ。ともかく今日は行かねえぞ」


「でも今日いかないでいつ行くんです?」


「…外に出たとき?」


「ほら、やっぱ今日いくべきですよ。じゃないときっと夏の間も何処にもいかずに終わっちゃいますよ」


「いやさすがにそれは無いと思うが…」


「まあまあ善は急げということで」


「…買うもの買ったら帰るからね」


「やったー。じゃあ行きましょ行きましょ」


「ちょ、ちょっと待て。巫女服のまんまいけるかっ!」


というわけで水着買いに外に引っ張り出された優美。

何故か買いに行く本人の優美よりも、

付添いの千夏の方がテンション高いが、

いつものことなので気にしてはいけない。


「で…まあ、なんだ」


「どうしたの?」


「だから何故更衣室に一緒についてくる」


「いやー、一人じゃ…」


「いやさすがにできるわ!俺とて半年以上ここにおるんじゃて!」


「でもなんか心配じゃん?」


「どうせ、本音は着替えさせたいとかそう言う落ちだろ?」


「違う!着替えさせたいんじゃなくて、剥きたいんです」


「もっとひどかった。何回目だこれ」


「えーっと、軽く二桁?てへっ?」


「てへっ?じゃねえ!出てけ!」


「だって優美ちゃんがなんかそういうことして欲しそうだったし?」


「…いやまあ正直嫌いじゃないけどね…?若干誘った節は否定しませんけどね?」


「ふふふ、それに私を外に出していいのかなあ?どうなるか分かってるんじゃないのかなあ?」


「…はっ!卑怯な!」


ここで千夏を更衣室から追い出して外に開放するということは、

千夏が次から次へと色々着る物を持ってくる、

即ち着せ替え人形が確定するのである。


「ぐぬぬぬ、いつの間にそうも狡猾になりよった」


「ふふふ、可愛い子の着替えを間近で見るなら全然無問題!というかなんだかんだ言ってあんまり優美ちゃんの着替えシーン見てない」


「誰が好き好んで見せるかっ!…まあ、変なことするなよ」


「大丈夫。剥かせてくれるだけで満足」


「むしろそこが一番羞恥が煽られるんだが。変態か」


「おんなじ女の子だから大丈夫だよ」


「いや問題だろ」


「私とて、恥ずかしいですよ?外でこういうことするのは。でも優美ちゃんのためだから」


「確かに嫌いじゃないけど、なんだその貴方のためだから商法は」

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