表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/206

第六感

「そ、そいで」


「うん」


「な、なしてこんなとこ来とるんよ」


「近くにあったから」


「そしてなんで俺まで連れてくる」


「一人でもなんかあれだったから」


「嫌つったやーん!こういうとこ!」


今二人はお近くの廃墟っぽい建物へと来ている。

千夏が学校帰りに見つけてきたらしい。


「まあまあ。いいじゃないですか」


「よーない。なんもよーないって。出る。なんか出るてこういうとこ」


「とにかくここまで来たのなら入るべきだと思うの」


「外からだけでは駄目なんですか。つか入っていいのかこれ」


「せっかく来たんですし。あと入るのは特に問題なさそうです」


「いいとこ言うから来たのになんでや…」


文句言いつつも中へと入っていく優美とわりとノリノリな千夏。

ちなみに本日の神社には当然だが誰もいない。

(二人が勝手に決めて作った)オフの日である。


「ぼろぼろだねえ」


「…せやな。おお、声が響く」


「なんの建物だったんでしょうか」


「…知らんがな」


「なんか反応遅くない?」


「しゃあないやないですか。怖いもん」


「まだお昼ですけどね」


「廃墟の時点でなんか嫌なんです」


「そう?」


「そうだよ。しかもなんかここ廃ホテルっぽいじゃん。いそうじゃんなんか」


優美は幽霊系統も駄目である。

なのでその手の「出そう」な場所には近づかないようにしていた。

のくせしてそういう手の話は大好きと来ているのでさらに性質が悪い。


「ホテルかあ。言われてみれば」


「なあ。帰ろや。もう十分見たやろ」


「いや入ってまだ数分なんですけど」


「え、まだそんなもんだっけか」


「どんだけ嫌なんですか」


「憑かれたくないし」


「結局動きたくないだけなんですか」


「いやそっちの疲れるじゃなくてだな。取り憑かれる的な意味合いで」


「ああそっち」


「他に何があるというんだ」


「いっつも働きたくないでござるって言ってたから疲れるほうなのかなーって」


「さすがにナマケモノじゃあるまいし」


そして気づかないうちにだいぶ奥の方まで来てしまっている二人。


「これ部屋の跡地か」


「そうなんじゃないのかな」


「入り口付近ボロボロだったからほとんど崩れてるのかなと思ったけど、意外と生きてるな」


「ここはほとんど崩れてないね」


「入る?」


「入ろうか」


「どうぞどうぞ」


「いやあなた先にいるんだから入ってよ?」


「え、いや遠慮しとく」


「なんで。なんだかんだ言いながらもここまで先行してきてたのに」


「暗いじゃんここ」


「懐中電灯はあるよ?」


「そういう問題じゃねえです」


そう言って千夏を押し込む優美。


「うん。特に何にも無いみたいだよ」


「あっても困るっつーの」


「少しくらいなんかあったほうがおもしろくない?」


「無くていいよ。安心安全でいいから。冒険心いらないからこういうの」


「まあ崩れられても困るけどね」


「それは物理的に非常に困る」


そのまま1階を探索しきってしまった二人。

そして行き着く先は階段であった。


「いやあのですね。行くんですか。この先に」


「せっかくですから。行きましょうよ」


「上だよね?上だよね?地下絶対嫌だよ?」


「うん。というか私もさすがに下は行きたくないから」


「そうか。じゃあ上とっとと見て帰ろう。そうしよう」


だいぶぼろい階段を少しづつ上っていく二人。

蜘蛛の巣が張っている場所はあれど、崩れるほど壊れかけている場所はないのでまあ安全ではある。


「あのさ」


「ああ」


「見えてるよ?」


「何がよ」


「パンツ」


「ストレートだなおい」


「まあ見えてるし実際」


今日の優美のスカートは短いので優美の下に続いている千夏からは丸見えである。


「今はそんなこと気にしてる余裕がねえよ」


「話す余裕はあるじゃないですか」


「それとこれとは別。というか見えてる言われてもどうしようもない件」


「押さえればいいんでないですか?」


「というかおまいが俺の下に立たなければいい話だと思うのよ」


「でもたぶん相手が私じゃなくても気にしないでしょ」


「そもそも普段外出ませんから」


「気にはかけるべきだと思います」


「検討しておく」


「でも隠そうとはしないのね」


「お前だしな。相手」


そのまま2階へとたどり着く二人。

が、思った以上に崩落していて危なっかしい。


「…ちょいと崩れてるな。物理的にあぶねえぞここ」


「やめといたほうがいいかな」


「命あっての何とやら。ここは駄目だな」


「じゃあ降りようか」


「そうだな。さっさと帰ろう」


「どうせだし下も見に行かないですか?」


「さっき嫌って言ったじゃないですかあ!」


「でももう2度と来ないでしょ。ここって」


「たぶんな。少なくとも俺は来ねえよ」


「だったら見に行きましょうです」


「…ちょっとな。心臓止まったら責任とれよ」


そう言って結局2階分下の地下へ行く二人。

案の定と言うか地下の方は明かりが届かない上に、

そこにあった明かり関係の物は壊れた上に電気がもう来てないので真っ暗である。


「うお。なんも見えん」


「はい。懐中電灯」


「2本目か。はては貴様初めからここ探索するつもりだったのか」


「地下があるのは知らなかったけど見つけたら行きたくなってしまいました」


「結局来ることになってたのね」


細い懐中電灯の線が辺りを照らす。

廊下が長いのか奥を照らしてもなにも見えない。


「雰囲気あるなあこういう場所って」


「というか怖いって言ってるけど結構余裕じゃない?」


「馬鹿言え。めっちゃ怖いのを我慢してるだけだ。正直言おう。心臓がヤヴァイ」


「さっきからすっごい近いもんね」


「一人でなんかやってられっか。ここから出るまではこの距離感維持するからな」


さっきから優美と千夏の距離はものすごく近い。

それこそ袖が触れるくらいの距離である。

というのも優美が近づいてきているせいなのだが。


「なんでこここんなに足音響くんですかあ」


「コンクリートだからね。しかたないね」


「こんなに響くもんだったけ?」


「さあ?」


「ここで足音3つになってたら俺卒倒するからな」


「怖いこと言わないでください。私まで怖くなるから」


そのまま奥に進んでいく二人。


「うひいっ!?」


「え、なに。どうしたの」


「な、なんか首筋当たったあ!」


「何。何があったの」


「分からん。分からんけどひやってしたっ!」


ポチャンと音がする。

ようするに水滴であった。


「あ、水滴みたいだよ。それ」


「水滴ですか」


「うん」


「死ぬかと思った」


「大げさすぎるでしょう」


「もーやだおうち帰る」


「まあここで行き止まりみたいだから帰るけどねもう」


少し奥に進むと崩れていて進めなくなっていた。

探索終了であった。


「あーよかった。これで帰れる」


「楽しかった」


「帰るまでが探索ですぞ」


「まあ出口に一直線するだけだけどね」


そうして後ろを振り向いて帰ろうとする二人。


「実はですね」


「はい」


「さっきから俺、悪寒が走ってるんだけど」


「奇遇ですね。私もです」


「これってさ」


「うん」


「もしかしたら」


「もしかするかもですね」


「…走るっ!」


「あ、ちょ!」


そっからはわき目も振らずの逃走劇であった。

あっという間に階段を上って出口から飛び出す二人。

そのまま大急ぎでその場から離れた。


「あー怖。心臓止まるかと思った」


「最後のあれは反則だと思うのです」


「ほらみろいたじゃねえか」


「いましたね」


「だから行きたくなかったんだよ」


「まあこれもまた貴重な経験と言うことでひとつどうでしょうか」


「できれば2度と経験したくないんですけど」


「まあ本当に居たかは分からないけどね」


「まあね。悪寒走っただけだし」


そうして神社にたどり着く。

まだ太陽は高い位置にある。


「しかしまあ、俺霊感全くなかったと思うんだけど」


「私もなかったと思う」


「あれ、そうなんでしょうかね」


「そうかもね?」


「はあ」


「やったね。特殊能力だよ!」


「これはいらなかった」


「でも巫女やるならあって損はないんじゃないですか」


「いやまあイメージ的にはあったほうがいいのかもしれないけど俺はいらないでござる」


そうしてそそくさといつものように巫女服に着替える優美である。


「あれ?もう着替えたの?」


「そりゃそうさね」


「着替えるほうがめんどくさいと思うんだけど」


「今日は理由がある」


「何するの?」


「お祓いに決まっちょる」


「お祓いですか」


「憑かれてたら困るし」


「それ除霊じゃないですかね」


「憑いてるわけではないので。まあお祓いとも違う気がするけど。悪霊退散」


「そうですか。というかいつの間にそんなものを」


「ちょっと前に。お前が学校行ってる間にな」


「ほー」


「とりあえず放置すると怖いので。やっておくです」


「私にもお願い」


「あいよ」


「あくりょーたいさんあくりょーたいさん」


「それじゃないからな」


その後本人は望んでいないのに霊感が研ぎ澄まされていく優美であった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ