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目指すは頂点

「…そういえば」


「うん」


「この神社の裏ってどうなってんだろ」


「さあ?山だけど」


「いや、山だけどさ、てっぺん行ってみたくなった」


「頂上に?」


「なんか気になる」


「なんで」


「そこに山があるから」


「ものすごいインドア派の優美ちゃんに言われても説得力皆無」


「言うなや」


とりあえず突然そんな話になったので登ってみることに。


「まあそれなりにはあるっぽいけどそんなにゃ高くねえな」


「まあそんな大きな山でもないしね」


「というか神社の階段の50段でだいぶ稼いでる感じね」


「まあうん。確かに」


「というか家の裏手に道あるのね」


「あったね」


「どこに続いてるのやら」


「さー」


「というわけで飲み物だけは持って上るです」


「そうですね」


というわけで山の道を歩き出す二人。

神社は山の中腹部にある。


「うねりまくってんなおい」


「山の道とかこんなものじゃないの」


「いやまあそうだろうけど。こりゃ上までだいぶかかりそうね」


「そうだねえ」


「まあ別に今日は急ぎの用事とかなんにもないからいいけどさ」


「私も今日は何にもないです」


「なら問題ねえな」


そのまま登っていく二人。


「今日は少し寒さましだからいいね」


「そうだね、そろそろ冬も終わりかな」


「だといいがね。いい加減寒いの飽きた」


まだ微妙に春とは言い難い気温である。

が、ちょっと前に比べれば寒さも比較的マシにはなって、

春もそろそろ近いんじゃないかなとか思う今日この頃である。


「というか、けっこう自然豊かねここ」


「山だし。そりゃね」


「さっきから鳥の声がすっごいするんだよね」


「するね」


「やっぱりいっぱい巣くってるんだろうかね」


「そりゃこんだけ木があればいるでしょう」


「それもそうか」


「というか意外と道しっかりしてるのねここ」


「だな、もっと草ボーボーのおんぼろ道かと思ってたけど」


「言うほどボロボロでもないね」


「むしろ整備されてる方じゃないかねこれ」


二人が通っている山道はちゃんと道であった。

最初はともかく途中から道が道じゃなくなるんじゃないかとか思ってたが杞憂であった。


「しかし、飲み物持ってきて正解ね。意外とあるわこれ」


「そうだね」


「飲み物切れる前につくかな」


「帰りもあるからね」


「飲みすぎ厳禁ね」


そのまま登っていくと岩が少し増えてきた。


「岩多いな。しかも道にけっこうあるし」


「そだねー」


「さすがに巫女服着てこなくて正解だった」


「いやさすがに山上るのに巫女服はないよ」


ちょっと悩んだがさすがにないだろうと思って巫女服はやめたのである。

結果として正解であったが。

汚れるし。


「てっぺんまだかね」


「もうちょっとじゃない?だいぶ上ってきたし」


かれこれ40分くらいであろうか。

大して高くはないはずだが、それなりの時間がかかっている。


「なんか昔を思い出す」


「なんかあったの?」


「いやね、だいぶ前にさ、ここに来る前よりもずっと前だけどさ、神社いったのよ」


「うん」


「それでさ、今日みたいにさ、神社裏に道あるの見つけてさ、行ってみることにしたわけよ」


「ほうほう」


「で、行ってみたらね。思いっきり山の中に突っ込んでく羽目に陥ってですね」


「ほう」


「で、結局全く予定に無かった登山を行きかえりで約2時間くらいする羽目になったとかいうね」


「いや、山の中の神社だったらそりゃ山の中に通じてるでしょうよ」


そんなこと言っていたら道が終わりを見せて、少々開けた場所に出た。


「ん、ここで終わりかな」


「そうじゃない?」


「踏破。神社裏の山」


「わーい。と言っても特に何もないんですけどね」


「さてと、天上界から下界でも見下ろしてみるか」


「言うほど天上でもないけども」


「いいんだよ。気分だ気分」


そう言いながら下を見下ろしてみると、意外と周辺を見渡すことができた。


「おー、意外とよく見えるなここ」


「いい感じね」


「む、あれお前の学校かな」


「あ、そうだね。あれだよ」


「ほー」


「あそこいつも行くスーパーかなー。あ、あそこしげみっちの家」


「あいつあんなとこ住んでんの」


「そうそう」


「でかくね?家」


「大きいよ」


「んー、逆側行けば川口んちも見えるかな」


「どーでしょ」


「見れば分かる」


反対側に来てみる二人。


「お、こっちの方がよく見えるな」


「そうだねー。あ、見えたよ佳苗ちゃんの家」


「ん、あーあれか。こっから見るとだいぶ小さいのう」


そうこうして一通り景色を見終わった後で、

しっかり周囲を見渡してみれば、

まだ上に続く道があった。


「む、まだ頂上ではないのか」


「なんだ」


「でも場所的にあそこが最後っぽいね」


「そうだね」


「じゃあ最後の階段を駆け上がる」


「大人の階段」


「のーぼるー」


というわけでさらに上へと登ってみればそこに現れたのは

小さな神社であった。


「あらら、こんなとこにもあったのね」


「なんかこれまた誰も来て無さそうな雰囲気バリバリだなおい。最初期の下の神社よりひでえことになってんだが」


ぱっと見で草ボーボーであるし、いたるところがボロボロであった。


「というかここって下と関係あるのか」


「さあ?」


とりあえず一通り周辺を探索してみることにする。


「小さいな。かなり。俺らのとこもでかいわけじゃあないけどさ」


「そうだねえ。というか本当に人が来た形跡がないね」


「忘れられてんのかな」


正面に戻ってきた二人。


「賽銭箱おいてあるけど、なんかこれもぼろっぼろなんだけど」


「入ってる?」


「いや知らんよ。開ければ分かるけど、開けちゃダメっしょ」


ポケットに手を突っ込んでごそごそやる優美。


「何してんの」


「え?いや、賽銭放り込もうかなと」


「なんで小銭持ってるのさ」


「なんとなく、なんかあった時のために少しだけお金持ってるの」


取り出した手に握られていたのは十円玉二枚である。


「ほら、お前も」


「あ、うんありがと」


「せっかく来たんだし参拝しておく」


「そだね」


「そのための十円」


というわけでさらっと参拝を済ませる二人。

二礼二拍手一礼。


「…しっかし、本当にひどいありさまじゃのう」


「そうだね」


「…んー」


うなりながら裏手に回ってなんか持ってくる優美。


「何してんの」


「いや、軽く掃除してこっかなと」


「え」


「だってあまりにも悲惨だから」


「というかどっから箒持ってきたの」


「なんか裏手に置いてあったので」


そうと決めれば後は早い。

なにせいつもやってることであるので。


「掃き掃除はこんなもんかね。草もちょっとはむしるべきだなこれ」


「そーだねえ」


「というわけで草むしりタイム」


「軍手とか持ってこればよかった」


「さすがに常備してねえや」


「今から持ってこようかな」


「さすがに往復めんどいんだが」


「でも手がかぶれたりしたらあれだし」


「…それもそうか。んーなんでもいいから手の防護できそうなものないのかね」


「別に今日は暇ですし一旦帰ればよろし」


「…まあそれもそうか。下手に手があれなことになるよかましか」


というわけでいったん戻る二人。


「というかどうでもいいけど山降りるほうが怖い件について」


「そう?」


「なんつーか下がもろで見えるから落ちそう」


「滑らなければ問題ない」


「お前ここでドジってこけるなよ」


「大丈夫だよ…たぶん」


「心配極まりねえ」


一旦帰ってみれば夕方だったのでもう一回行くのは次の日にした二人である。


「しかし上にあんなのあるとはね」


「思ってなかったね」


「とりあえず明日もう一回お掃除しに行く」


「そうですか」


「なんかこっち管理してる身としてはあれはちょっと見てられねえぜ。せめて見た目だけでももうちょいまともにしたい」


「神社管理主として見逃せないポイントなんですか」


「まあやることもねえし。いい時間つぶしよ」


「そっちが本音ですか」


結局次の日も行ってお掃除してきた二人であった。

だいぶ綺麗になった。


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