電子世界
「PCが届いたお」
「せやね」
「やっとマイPCゲットですわ」
「おめでとう」
「というわけでオンラインゲームやりませんか」
「別に構わんよ」
ということで軽いノリでオンラインゲーをやることにした二人。
元々この手のゲームにはよく触れていたので知っている。
「とりあえず何をするんだ」
「とりあえずポピュラーに敵狩ってく系のオンゲーでいいですかね。のほほんとしたのも捨てがたいけど」
「まあうん。せやね。正直のほほんするのは現実でできてるからいいや」
「じゃあそういうことでこれやりませう」
「んー、検索ランキング1位のやつか」
「そうそう」
「ん。分かった」
とりあえず適当に始めようとして止まる二人。
「…というかこれ系統のゲームってアカウントいるよな」
「そうだね」
「で、アカウント取るのってメールアドレスいるじゃないですか」
「うん」
「PCメルアドの方がいいよねこれ」
「うん」
「取ってないんだよね」
「だねえ」
「取らねばならんよな」
「だよね」
「まあどうせ使うだろうし今とろうか」
「そうだね」
そのままメルアドを取りにいく。
「えーと、お前と俺で別にとらなきゃならんよね」
「そうだね」
「じゃあまあ取りますか」
というわけで適当にメルアドを作成した。
「よし適当に制作完了」
「こっちも終わったよ」
「じゃあまあ適当にアカウント作ってやるか」
「やろうか」
メルアドさえあればアカウント自体は作るのは簡単であるのですぐ終わる。
「…というかお前学校はいいのか。オンゲやってて」
「テストまではまだ時間あるし大丈夫なのです」
「そうかい」
そのまま適当にゲーム画面までこじつけた二人。
「よいしょっと」
「なんで隣きたの」
「え、なんか相手の画面もみたいやん」
「そうですか」
そのままログインを済ませるとゲーム内で動かすキャラクター。
即ちアバターの制作画面である。
「またこのタイプか」
「まあオンラインゲーでアバターじゃないとみんなおんなじキャラとか怖いし」
「まあせやね」
「とりあえず作るです」
「またクソ時間かかるのだろうか」
ちなみに以前やっていたオンラインゲームのアバター制作時間は
優美が1時間、千夏は2時間オーバーである。
「むう、このゲーム意外とキャラのいじれる部分多いな。いいことじゃ」
「そうだね。これくらいいじれるなら結構凝れるよね」
「凝るのは結構だがまた人形を制作するのはやめてくれよ」
「大丈夫。さすがにもうあれは作らない」
千夏がかつて作ったキャラクターはどうみてもお人形であった。
正直それが動き回っているのはホラーであった。
「でけた」
「早くないですか」
「相変わらず時間かかるのね君」
「まあ凝りたいですし」
ポチポチしながら答える千夏。
「にしても」
「うん」
「仮にも今の俺は美がつく幼女にゃなったわけだが」
「幼女なんですか」
「幼女不可避。とりあえず美少女の部類じゃあないですか」
「うん」
「それでも何故アバターは美少女を作ろうとしてしまうのだろうかね」
「まあ可愛いは正義だもの。しょうがないね。まあ私はおっさんも好きだけど」
「でも作るのはやっぱり美少女」
「安定ですね」
「男のサガというやつなんだろうかね」
というわけで始めてみる二人。
なお既にアバターを作る時点で2時間経っている。
「チュートリアル始まったっぽい」
「私も」
「というかこれっていきなり二人で出来るのだろうか」
「チュートリアル終わったらだいたいの機能は使えるって書いてあった」
「じゃあ大丈夫か」
そのまま進めていく二人。
「そういえば武器は何選んだのさ」
「私は銃」
「安定だな」
「そういう優美ちゃんは?」
「聞くまでもあるまい。刀一択じゃ」
「本当に好きだよね。刀」
「日本と言えば刀だよね」
「まあでもこの手のゲームって日本刀ってレアアイテムだよね」
「そうなのよね。まあやるからにゃ手に入るまでやるがな」
前やっていたゲームでも優美は刀使いであった。
2年間やっていたが他の武器への浮気はなかった。
筋金入りの刀中毒である。
まあだからと言って専門知識等々を知っているわけではないが。
「で、お前はどこにおるん」
「えーと一番最初に出てきたところの中央広間っぽいところ」
「いねえけど」
優美の画面を覗き込む千夏。
「あれ、そこにいるはずなんだけどな」
「…あ、ブロック違うわ」
「あ、そりゃいるわけないか」
偶にあるアレである。
「おお、ようやく見つけたぞ」
「やっと二人で出来るですね」
「せやね」
なんかフィールドをウロウロする二人。
「景色綺麗ね」
「せやね。お、敵発見」
「え、どこ」
「マップにエネミーマーカー」
「そこ見てたんですか」
「うむ。とりあえず右前あたり」
「ほい」
そこら辺に行ってみると成る程、何やらいた。
「やっぱいたわ」
「そうだね」
「というわけでぇ、むっ殺す!」
どうやら最弱の敵だったらしく二人でかかればあっという間であった。
「ち、雑魚が。手慣らしにもなりゃしねえ」
「まあまあ最初なんてこんなものなのです」
「強いのを所望する」
「相変わらずの戦闘狂」
「血が沸き立つ死合がしたいね」
対する千夏は風景を見ながら軽く採取してみたりといった感じである。
優美は既に敵に突っ込むのを繰り返しているが。
「フハハ、死んだ」
「え」
「なんか強いの混じってた」
「下手に突っ込むから」
「まあちょっと復活してくるわ。デスペナ特にないみたいだし」
途中歩いていくとそれなりに人に遭遇したが二人とも話しかけにはいかない。
「結構人いるな」
「いるねー」
「でも話しかけない」
「話しかけれない」
「コミュ障だからしゃあないね」
「しかたないね」
そんなこんなでボスまであっという間である。
まあまだ最初なので早い。
「ち、でかい」
「でかいね」
「でかいの好きじゃないんだよ。人型がいい」
「そう?」
「人型との戦闘の方が戦ってる気がするし」
「でもそれってゲーム中盤から後半だと思うの」
「そして基本的にそういう敵って強いんだよね」
「そうそう」
二人ともゲーム慣れしてるので喋りながらの戦闘である。
「ふん。攻撃モーションが分かり易すぎるぞ」
優美のスタイルは昔っから敵の眼前で攻撃しまくるタイプである。
なので回避やらカウンターやらが上手い。
「頑張れー」
反面千夏はそもそも敵の攻撃が届かない遠距離から攻撃である。
無意味に敵の攻撃にさらされたりする場所には行かない。
「というかいっつも思うんだけど後衛の撃ってる弾丸が前衛に当たらないか心配」
「FPSとかだとフレンドリーファイアーあるけどね」
「アクションRPG的なのにはさすがにないのかね。いやまああったら俺もうすでに蜂の巣だけどさ」
そんなこんなで一分くらいで。
「ふん。この程度でボスを名乗るとは笑止」
「大して強くなかったですね」
「まあこの手のゲーム結構やってたもんな俺ら」
「うん。慣れてるねだいぶ」
そうしてふと時計を見る優美。
「…っていかんいかん。大してやった気分じゃなかったけどすでに5時間もやってるぞ」
「え、うわほんとだ」
「いかん何にもせずに一日が終わっちまう。ちょっといつもの日課やってくるわ」
「私も宿題やって夕飯作らなきゃ」
「じゃあまたあとで」
「あ、PC持って帰ってよ」
「ん、あ、そうだった。ほい」
千夏の部屋からノートPCを持って自分の部屋に帰る優美。
デスクトップの新しいPCの方は千夏の部屋に置いてある。
優美が千夏の部屋まで来てやっていたのである。
「んあー。いけねー。オンゲーは時間間隔無くなるからあかんあかん」
そのまま御札書いた上で明日の準備に取り掛かる優美。
最近はたまにお祓い等々の依頼が来たりするのである。
どっから聞いたのかは知らないが、少なくとも準備はいるので前日にやれることはやっておく。
「あーっくっそ時間確認しながらやるんだった」
結局優美も千夏も作業に追われた日であった。
自業自得である。




