表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/206

視覚的情報媒体

「あれ?巫女服じゃないね。どうしたの」


「買い物」


「何を?」


「テレビ買うべ」


「いきなりですね」


「でも暇なんでしょ。いるじゃないか」


「やることないですしね」


「お前の部屋服しかないもんな」


ここに来て一ヶ月ちょっと。

テレビなしでここまで来たがさすがに暇すぎた千夏が音を上げた。

まあ原因としては千夏が服以外に暇つぶしになるようなものを購入していないせいなのだが。


「というかぶっちゃけ朝テレビで時間確認できないのが地味につらい」


「そう?」


「時計が若干遠いんだよね」


「まあそれは確かに」


「あと引きこもりしてる所為で外部情報が全く入ってこないのよね」


「外に出ようよ」


「まあそれは置いといて」


「置いとくんですか」


「置いとくの。どのみち海外の情報とかはこれないとネット検索しないと見れないし」


「うん。新聞もとってないもんね」


「そういやそうだな。取るべきか?俺読んでもせいぜい新聞の4コマ漫画なもんだけど」


「テレビ買う予定があるならいいんじゃないの?」


「まあいいか」


「うん」


「とりあえずブルーレイレコーダーと一緒にテレビほしい」


「映画とかは見たいよね」


「一応PCで読み込めなくはないけどね。でもやっぱテレビのがいいよね」


「うん」


「というわけで思い立ったが吉とも言うのでさっさと買いに行こうか」


「今からですか?」


「今からなんだな。何故ならそうしないと俺が結局やる気失せていかなくなるから」


優美は後回しにしたことは高確率でやらなくなるので厳禁である。

特にこの手のやらなくてもどうにかなっちゃう系の事は。


「じゃあ行くべよ」


「ちょっと待って」


「どうした」


「着替えてくる」


「またかよ」


「外に行くなら着替えるです」


「今のじゃだめなのか」


「これは家で着るようなので」


「相変わらずだな。ん、待ってるから」


「じゃあちょっと行ってくる」


それから数分着替え終わって別の格好になった千夏がいた。

そのまま外に出る優美ら二人。


「というかさ」


「なんだ」


「優美ちゃんの外に行くときの格好ってあんまり変わらないよね」


「何を変えろと」


「女の子ならファッションにも気を使うですよ」


「興味のきの字もねえや」


「じゃあ今度また私が着せてあげるということで」


「それは無しの方向で。あれすげえ恥ずいんだぞ」


「久しぶりに顔が赤くなってる優美ちゃんを見たよ」


「あれあんなに恥ずかしいものなのな」


「可愛い」


「俺は羞恥がつぶれるだけなんですがそれは」


そのまま歩いていつぞやPCを購入した電気屋へと向かう二人。


「というかさ」


「うん」


「乗り物ねえよな」


「ないね」


「さすがに車は無理だけど」


「未成年ですしね」


「でもお前自転車いらないか。この前お前の学校まで行ったけど結構距離あったんだが」


「うん。結構時間かかる」


「となるとやっぱいるかな」


「無くても何とかなるけどやっぱり欲しい」


「だよねえ」


「でも一つ問題が」


「何だ。これの金は心配しなくても家計負担すっぞ」


「そっちじゃなくてさ」


「ならどっちだ」


「置く場所ががが」


「…あーそうか。神社に置くわけにゃいかねえよな」


神社は高台にあるのである。

かといって下に置くような場所もないわけで。


「…毎朝下まで持ってく…とか?」


「優美ちゃんは私を殺したいんでしょうか」


「まあ、無理か」


「あそこを自転車もって毎日とか無理ゲー」


「…置き場所考えてみないとな」


とかなんとか言っていたら気づいたら目的地なのもいつもの事。


「正直薄型よりブラウン管がいいんだよね」


「なんで」


「あのリビング和室だからなんかそっちのが合う気がする」


「でも今ってもう売ってない気が」


「だろうね。あったとしても地デジうんたらしないと使えないだろうし」


「そういやテレビの電波ってきてるの?」


「いやしらん。ま、やってもらうだね」


「そうだね」


そのまま適当にテレビエリアまで向かう二人。


「大きさどれくらいのがいいんだろう?」


「ここは最大サイズ!といきたいところだが」


「そんな大きいの…いや一応あの部屋ならおける気がするけど」


「お値段」


「ですよねー」


「とりあえずそれなりの大きさのでいいや」


とりあえずいつもの通りうろうろする優美。


「…うん、俺には大きさ以外の違いがさっぱり分からん」


「私もよく分からないかな。三原色とか四原色くらいは分かるけど」


「さてどうしたものか」


「なんでもいいんじゃないですかね見れれば」


「まあブルーレイも買わないかんものな。安めの選ぶか」


「そうしましょ」


そうして選んだサイズは42インチである。

部屋が広いのでこれでも小さい印象だったりする。


「お次はブルーレイですかね」


「そうですね」


「何がいいんですかね」


「分からんとです」


「駄目だな。めんどい。店員に聞く」


「そうしようか」


「で、どうせお前聞きにはいかないよね」


「いきたくないですね」


「全く幼女に行かせるとは」


「同い年ですし」


「お姉さんと呼んでもいいのよとか言ってた気がする」


「それとこれとは別なのです。というか自分で幼女って言い出したよこの人」


「だってどうみても幼女ですから。まな板ですよまな板」


ぐだぐだ言いつつ店員を引っ張ってくる優美。

最初迷子かなんかかと間違えられたのはいい思い出。

そしてその後妹に間違えられるのももはやお約束。

結局進められるがままにブルーレイレコーダーは購入した。


「買ってしまった」


「テレビは配達なんだっけ?」


「そう。四日後」


「四日後…まだ暇なのね」


「お前基本外に遊びにいってるし良いんじゃねえのかよ」


「そろそろご近所さんはだいたい回ったのです」


「はや」


「一ヶ月間あれば余裕」


最近千夏の顔は近所の人には覚えられつつある。

優美は存在を知られていなかったりもする。

知られていても名前だけだったり。


「さてと、とりあえずこれでレンタルDVDとかがようやくしっかり見れますね」


「見れますねえ。久しぶりに長編映画でもみようかな」


「映画ですか」


「SF見たい」


「お前が見るなら見るよ」


「とかいいつつPCやるんでしょ」


「いや、最近自分の部屋寒いからコタツに埋まりたいのでたぶんない」


「こたつむり化してるのですこの人」


「しょうがないじゃん。気持ちいから」


「分かるけど動きましょう」


それから四日後。

テレビが届いた。


「来たな」


「来ましたね」


「まだ見れねえけど」


「テレビ回線工事が」


「というわけでもうちょっと待つのです」


「うおー暇だー」


「お外で遊んでらっしゃいな」


「そうする」


「最近お前が子供の中に紛れてても特に驚かなくなってきたっていう」


「意外と楽しいよ?」


「童心に返るってやつかな」


「たぶんね」


さらに次の日テレビ回線をつなげた。


「やっと見れるですね」


「せやな。どれぽちっと」


ぱっとテレビがついた。


「おー、なんかすげえ久々に見るなこの画面」


「感慨深いですね」


「見てなくてもなんだかんだ言って毎日のようについてたしねえ」


「なんかやってないですかね」


「昼間はさすがになんもやってないだろ」


そして何やら自分の部屋に一旦戻る千夏。

戻ってきた千夏の手には袋が握られていた。


「さあ、見るですよ」


「もう借りてきてたよこいつ」


「なんか来ると思ったらいてもたってもいられず」


「何借りてきたんですか」


「SF」


「あっはい。じゃあ見ますか。久しぶりにテレビとかいうものを」


「まあテレビの番組じゃないけどね」


「画面見るのが久しぶり―」


そのままコタツにもぐって映画を見る二人。

すげえだらけてた。

しかも立て続けに3本である。


「…ああ、いかん。お仕事しないと」


「何するの?」


「ん、日課だよ日課。ちょっとやってくるでお」


「あい」


そうしていつもの御札書きを終えて帰ってくると千夏が寝ていた。

思いっきり突っ伏して寝ている。


「…むう、疲れたんか?」


とりあえずそっとテレビの電源を落とす優美。


「…まあ、寝させといてやるかね。風呂の時間になったらたたき起こせばいいや」


そう言ってコタツに入ってない部分に毛布をかけて部屋を後にする優美。

ちなみに千夏が起こされたのは深夜2時であった。

優美の風呂の時間はすこぶる遅い。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ