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視線

2018年5月のお話

「ねえねえ」


「どした」


「一つ相談が」


「またか」


「そんなに私優美ちゃんに相談したことあったっけ?」


「あー…まあお前だけならそんなに。ただ他の奴からもなぜか相談持ちかけられること多いからな」


神社のいつもの部屋にて。

数日家を空けていた千夏が帰ってきていきなりこれであった。


「んでー?何よ?」


「えっとね。しげちゃんのとこ行ってきたじゃん」


「せやな。また行っとったな。通い妻?」


「まーたそうやって茶化すー」


「実際そうじゃろ。わざわざあんな遠方の地まで行ってお世話してくるんだろ?」


「通い妻ってほど通ってないしー」


「まあそこはいいや。それで?」


「いや今更ではあるんだけど」


「何よ」


「人目が気になって、どうにかならないかなーって」


「ほんっとに今更だな。いやマジで。急にどうした?学校行ってた頃から日常茶飯事だったろ、んなこと」


「いやなんというか学校行ってた頃はあくまでも学校の中の人だったからそんなに気にならなかったし」


「いやでもお前は外出よくしてたからその時にそういうことあったんじゃないのか」


「まあ無いとは言わないけど基本的に移動してる時とかだったからそんなに気にならないし」


「電車乗った時とかは?俺とかと何回か遠くいくのに使ったりしてるだろ」


「基本一人じゃなかったからそんなに」


「じゃあなんで今回急に」


「まず電車に一人で乗るじゃん?」


「まあそうだな。基本俺用ないし」


「こうね。視線を感じるんです」


「まあ正常な男ならまあ見るわな」


「いや見るわなって」


「常識的に考えてお前みたいなのが目に映ったら嫌でも視線がそっち行くって。美少女はそれくらい価値があるんだぞ」


「まあチラ見くらいならいいんだけど」


「じっと見られる?」


「明らかに視線がこうこの辺にじっと飛んできてる時とかあるから…」


指で胸元を指す千夏。


「まあそりゃ夕張メロン見るよね。そんだけ主張してんだし」


「まあそれは私が乗る位置変えればいいからまだいいんだけど」


「じゃあいいじゃん」


「違うの。問題はしげちゃんの大学前なの」


「あそっち」


「基本的に大学の門前とかで待ってるんだけど」


「ふんふん」


「知らないうちにこうさりげなく人だかり出来てる」


「ほう」


「でもしげちゃん待ってるわけだから下手に動くこともできないからどうしようかなって」


「そうか。とりあえずまず一つ言おう」


「何?」


「イナリ連れてくのやめろよ。少なくとも茂光のところ行くときに視線を超えて人だかり出来てる理由の大半それだろ」


「え、でもイナリ置いてくのなんか可哀そうだし」


「いない間の世話くらいやるから流石に置いてけ。少なくとも狐連れて歩いてるやついたら美少女とか関係なしに見るわ」


「ちゃんと世話してよ?」


「任されよ。というか前修学旅行の時普通にやってただろ。さすがに信用せんかい」


「ああ確かに言われてみれば」


「はい。じゃあ一つ目解決ね。イナリ連れていきなさんな」


「じゃあ今度からそうする」


「そうしとけ。イナリ連れてこられても茂光も困るだろ」


机の上のお茶と菓子に手を伸ばす優美。

おやつタイム中の千夏の帰還であった。

なおおやつタイムは不定期である。


「まあでもそれだけじゃまあ人の視線を浴びるのは回避できんだろうな」


「だよね」


「腐っても美少女だし」


「腐ってないです。まだ全然美少女だから」


「自分で言うか。まあでも実際そうだからな。しかも大体の男なら反応する見た目ときた」


「うー。こんなことで悩むことになるとは」


「美少女だからね仕方ないね。まあ俺よりもお前のがその辺深刻だからな」


「まあ優美ちゃんはあんまりそういうことなさそうだもんね」


「どういう意味だごら」


「えだって幼女だし」


「言うなや。まあ性的な目で見られることは無いわな。…いやまあ偶にあるけどそもそも俺外に出ないからあんまり人目にさらされないし」


「逆に見られることあるんだ」


「世の中にはこういうまな板幼女がいいって言う希少種も一定数いるからな。自分で言っててどうなんだと思うが」


「まあでも少ないと。さすがに」


「そりゃなあ。大体の一般男はお前みたいのが好きだろ。少なくとも前の俺はそうだし」


「まあ私も優美ちゃんタイプよりはこっち選ぶよね」


「まあつまりそういうことだ。で、逆に言えばそれを隠せばなんとかなる」


「体系が隠れる服着ればいいってこと?」


「まあ見えないなら多少は視線回避もできるんじゃね」


「冬場はともかく今夏だよ?」


「…まーそこは気合」


「んな無茶な」


「あえて言うならお洒落控えめな格好にすればいいんじゃないのかね」


「そんなに普段からド派手なコーデしてる気は無いんだけど…」


「まあド派手コーデは無いとは思うがね。まあファッションは俺知らんからその辺はお前がなんとかして」


「うわ丸投げ」


「うるせえ、謎の相談乗ってるだけましと思え。…まーただお前の場合はあともう一カ所なんとかせにゃ」


「えまだあるの」


「そりゃ美少女が美少女足りえる部位があるじゃろ。顔だよ」


「顔ですか」


「ほらあるじゃん街中歩いててふと目に入った子がかわいいとちょっと目で追っちゃう感じの」


「発言が危ないんですが」


「今は幼女だから大丈夫だ。で、お前の容姿は十分そういう対象になりえるってこった」


「そんなに?」


「いやまあお世辞抜きで少なくとも俺はお前以上の美少女知らんよ?俺たぶん可愛い系だし」


「あ、ありがと?あとそれ自分で言うの?」


「いや実際俺って可愛い系じゃね?どうあがいても美女方面じゃないじゃん?」


「まあ確かに。どうあがいてもロリ」


「つまるところいくら服装だのどうこうしたところで顔をなんとかしないと意味なしよ」


「じゃあマスクつけて隠せばいいのか」


「口裂け女?」


「いやマスクだけでそうはならないでしょ」


「私綺麗?ってやるんやろ?」


「やらないって。むしろそれ誰にやるの」


「茂光」


「あ、それはやれそう」


「次回奴の所に向かうときのネタにどうぞ」


「そうする、じゃなくて顔隠せばいいってことだよね」


「マスクだけだとあれだしこれとかつける?」


「何それ」


そこにあったのは牛乳瓶の底みたいな眼鏡。

パーティ用おもちゃである。


「最近気づいたんですよ。美少女は目が美少女なんだと」


「なんか言い出したぞこの幼女」


「だから目を隠せばいいのではという発想だ」


「どこで手に入れてきたのそれ」


「川口にパーティグッズセットまとめてもらったときの中身」


「佳苗ちゃん私の知らないとこで何を渡してるんだ…」


「というわけで試しにつけてみそ」


「ええ…絶対似合わないと思うんだけど」


「まあむしろ似合わない方がいいんじゃね?美少女感を無くせれば成功だし」


「美少女感ってなんだ」


といいながら適当にかけてみる千夏。


「どう?」


「…」


「なんか言ってよ」


「…ぷっ」


「いや笑わないでよ」


「ギャグキャラ?」


「いやギャグキャラって」


「絶望的に似合ってないな。そんなに似合わないもんか?」


「いや私知らないよ。とっていい?」


「姿見見て来いって。笑えるぞ」


「ええ…」


そうして一旦部屋に戻って姿見を見て帰ってきた千夏。

眼鏡は既に取り外されていた。


「あれとっちまったのか。面白かったのに」


「…我ながらひどすぎて」


「お気に召さずか」


「さすがにこれつけてしげちゃんの下に行くくらいならまだ普通に視線に耐えてた方がましだよ!」


「まあそりゃそうだわな。むしろ不審者的な意味で視線を集めそう」


「はぁ…素直にマスクつけてくことにするよ」


「それがいいな。…それにしても、そこまで似合わないのは意外だった」


「むしろこれ似合う人いるの?」


「川口結構似合ってたぞ?」


「…え?佳苗ちゃんこれ似合うの?」


「全然違和感なかったぞ」


次に会ったときにかけてもらおうと心の中で思う千夏であった。



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