戯れ
2014年10月のお話。
「…」
「あれ、どこ行くの優美ちゃん」
「縁側。そろそろ子ども来てるだろ。さっき足音してたし」
「お、今日は珍しく優美ちゃんも外で遊ぶですか?」
「いんや、見てるだけ」
「なんだあ」
ある日の昼下がり。
いつものように子供たちがやってくる時間帯である。
「しっかし、よくここ子供来るなあ」
「前からだったけど最近増えてるね」
「なに、お前呼び込みやってんの?」
「そんなことしてないけど」
「やっぱ遊ぶ場所ないのかね」
「ああでも、みんな来てるから新しい子もここに来るって言ってたかな、前子供から聞いた話によると」
「…ああ、まあそりゃ友達が来てるならくるわな。なるほど無限ループ」
「そういうことなんじゃないの」
そう言いながら裏庭方面に向かう二人。
基本どこの縁側からでも外に出れるように、草履くらいはセットしてある。
「あ、ちーねえ!」
「やっほーみんな」
「お前ほんともうなんか溶け込んでんね?」
「まあ、なんというか一緒に遊んでるうちにね?」
「優美ちゃんもいるー」
「優美ちゃんも一緒にあそぼ?」
「…あーしゃあないな」
「やった!」
「なんだ結局遊ぶんだ」
「いや、小学一年生に上目遣いで言われたら断れんだろ…」
というわけで遊びの輪に加わる二人。
今日は小学校の低学年から中学年にかけての子供たちが多いようである。
「それっ!」
「きゃっ!あ!ちょっと誰ー!今スカートめくったのー!」
「パンツ丸見え―!きゃははは!」
「ちょっとー!」
遊びの中でスカートをまたもやめくられる千夏。
やたらと子供にめくられている気がするが、
短いので宿命かもしれない。
「…」
「…」
「いやあのさ。さすがにこれをめくるって大変じゃないか」
「…」
「…手、放そうか?」
「…うん」
流れで優美にもそれが飛んできたが、
そもそも巫女服のまんまなので丈が長い。
めくると言っても一筋縄でいくものではなかったようである。
「ふぃー、ちょっと休憩」
「うん、ちょっと休憩」
それから何時間か遊んだだろうか。
さすがに炎天下の中であるのでちょっと疲れて休憩タイムである。
「よくお前毎日のようにこれやってて体持つな?」
「だって楽しいし」
「お前学校あるし、疲れた後にだろ?疲れたまらないの?」
「なんというか子供と遊んでると疲れが飛ぶというか」
「…将来、子供と遊ぶ感じの職ついたら?巫女やめて」
「今現在もあんまり巫女やってないけどね」
「まあな」
「でも、私楽しいから疲れ飛ぶだけで、これに限った話じゃないからなあ」
「ある意味便利体質してんね」
少年少女たちは未だに周りで遊んでいる。
「しっかし、あいつら疲れんのかな」
「子供時代は疲れ知らずだから」
「まあそうなのかね。分かるけど」
「で、家帰ってご飯食べて明日に備えて寝るわけですよ」
「やっぱ小学校は遊んどかねばならんな。中学校以降はそうも言ってられん」
「あの頃は時間がとれたからね。最近また復活してるけど」
「ある意味ここは縛られることほとんどないから楽よね」
「一応私学校行ってるんですけどね」
「俺は行ってないからフリー」
「お仕事しよ?」
「してはいる。動かないだけで」
そんな二人のをじっと見つめる少女。
「ん?どうかした?」
「ねえ、ちーねえ」
「なあに?」
「なんでちーねえの胸って大きいの?」
「ごふっ!げほっ!…え?」
「優美ちゃん胸無いのに」
「ぶっ!」
さらっと質問を投げかける少女。
少女の目は純粋にわからないことを聞いている目である。
だが、その一言は二人とってはなかなか大きな一撃だったようである。
「さ、さあ…私としては気が付いたらこうだったからなんとも…」
「私もおっきくなるの?」
「な、なるかもねえ」
「そうなんだ…」
納得したのかしてないのか微妙な顔で去っていく少女。
「どもりすぎだろう」
「いやだってあんなこと聞かれても名に答えていいか私知らないよ?」
「俺も知らんよ。というか俺話に出されたのに一切言及されなかったんですけど?悲しいんですけど?何、貧乳はやっぱり興味ないの?」
「こ、子供のころは大きくなればみんな大きくなると思ってるかもしれないから…」
「ああ、それは思ってたな」
「男だったのに?」
「何も自分の話してないわ。女子を見たときにな。そう思ったことはあったな」
「なお実態は」
「それ以上はやめるんだ。全国のひんぬーから殺されかねぬ」
さらにそこから数時間。
既にあたりが暗くなり始めている。
「ほーらそろそろ帰るんだぞー」
「また明日ねーばいばーい」
「ばいばーい」
さすがに夜になってしまうと帰りが怖いので、
そうなる前に送り返す。
家に付き添うわけにもいかないので。
「さーてと、これで全員帰った…ん?」
ドスンと何かが倒れこむ音と、
なにやら足元に何かいる感覚を覚える優美。
「…え?ちょっと待った」
「どうしたの優美ちゃん」
「…えっと、誰?」
「…」
「ちょっと待った絶対今足のところに誰かいるー!」
「え?踏んでるの?」
「いや、たぶん間、間にいる」
ゆっくり横に移動すれば、先ほどスカート捲りを優美にかまそうとしていた少年であった。
「ばれたかあ」
「さすがにばれるわっ!いやちょっとめくりにくいからってダイレクトアタックはやめようよ…」
「ダイレクトアタック?」
「…直接入り込んできたでしょ。それ」
「だって、ちーねえはめくらせてくれるけど、優美ちゃんめくらせてくれないんだもん」
「め、めくらせてあげてるわけじゃないからね!?」
「…え、お前いっつもめくられてんの?」
「…断じて私が誘ってるわけじゃないよ?」
「誘ってたらアウトだわ」
「狙われてるの!一部子供たちから!」
なお狙われ始めたのは、神社の境内エロ本騒動にて、初スカートめくりを食らってかららしい。
「とにかく、ほかの女の子にはやっちゃだめだからね?」
「ちーねえと優美ちゃんにしかやらないよ?」
「う、それはそれで何とも言えない気分…」
「まあ、とにかく、女子に嫌われるからやめとけ、な?」
「うん!」
いい笑顔であった。
たぶんまたやる。
「さて、お前さんもそろそろ…」
「あー!東!いつまでも何やってるの!」
「ひょ?」
優美が少年を境内の出口に連れて行こうと思ったら境内に甲高い声が響いた。
「あ、香」
「おかーさんたちが心配するでしょ!いないから探しに来たんだからね!」
「も、もう行くよ」
「おねーさんたちが優しいからってずっといちゃダメなんだからね!」
「分かってるよー」
そんな言葉を残しながら境内から去っていく小学生最終組。
「…あの年でもう彼女いるのか。最近の小学生すげえな」
「いや、さすがに彼女ってわけじゃあないんじゃないの?」
「分からんぞ?案外10年くらいしたら結婚してたりしてな」
「あったらロマンチックではあると思うけど、無いでしょ」
「で、当時必死になって俺らのパンツを少年が見ようとしてたことを彼女にそのタイミングで暴露すると」
「鬼畜かな?」
「青春ってことでどうにか」
「無茶いいますね」
なお実際に10年くらい後にこの二人は結婚することになるわけだが、
またそれは別のお話である。




