友人のパズル
暇潰しに。
短編です
少々まちがえました悪気はないです
時間があるときに読んでくれればうれしいな
ジグゾーパズルたのしいよね
ー「パズル、楽しいでしょ?」
いつまでも忘れられない父さんの言葉。
あの時はパズルなんてもののどこが楽しいのか全く分からなかった。
ましてや、父さんの言う「パズル」は「ジグゾーパズル」や「ミルクパズル」という、小学生の子供には難しいパズルなのだ。
「分かんないよ」
私が素っ気なく返せば、父さんは「いつかわかるよ」と、眉を下げて優しく笑いながら、私の頭を撫でるのだ。
久々の外出に睡魔が襲う。明日出掛ける約束をしていたと言うのに、わずか小一時間しか寝ていない私にとっては久々の外出も地獄でしかない。まぁ結局、私の自業自得でしか無いのだが。
「随分と眠そうなのね」
外出を誘った親友である隣の神埼優子は、心配してくれているのかしてくれていないのか、よく分からない声色で聞いてくる。
恐らくこの友人であるからして、心配してくれているのであろう。
「今日寝たしね。すっげぇ眠い」
そんな私はその友人に対して素っ気なく返す。大体いつもこんな感じなのだから、違和感など無いだろうけれど。
「そんで何を買いにきたのさ。いつもは二人でなんて買い物なんて来ないのに」
疑問に思っていたことを、友人に問う。
普段は二人で買い物など来たりはしないのだが、珍しいこともあるものだ。
「いやぁ、もう少しで冬休みじゃん?だからまぁ、コタツに入りながら蜜柑を食べてテレビを見つつ、まったりジグゾーパズルでもやろうかなって」
と、淡々と口にする。
要はそのジグゾーパズル選びを手伝え、と言うことなのだろう。
全く、昔から遠回しに物を言う友人だ。
まぁ、そんな友人だからこそ上手くやっていけているのだろうけれど。
「つまりジグゾーパズル選びを手伝えって?」
分かっていながらも問う私はきっと悪役が似合う人間に違いない。
「そうそう。出来れば500ピース…まぁそれより多くても良いかな」
そう言いつつ、友人は急に立ち止まる。
どうやら目的地に到着したようだ。そしてそのまま、何の躊躇もなく、静かに店の扉を開けた。
「良いの見付かって良かった」
無表情ながらも満足そうに言う友人を横目に私は大きく溜め息をついて、自分の髪の毛をがしがしと掻く。
「パズルの種類ありすぎだろ…」
店の中はパズルで溢れており、普通のパズルにジグゾーパズル、更にはミルクパズルまで取り扱っていた。
「パズル専門店。見てるだけで頭痛くなったでしょ」
分かりきったように聞いてくる友人はやはり性格が悪い。
「べ、べつに。パズル好きだし」
図星をつかれてそう返すしか無くなってしまう。
「あぁ、そう」
自分から質問をしておいて興味がないとでも言うように返す。この性格も昔から変わらない。
全く腹が立つ友人だ。
「あぁ、それとさ。この600ピースのやつ。あたし一人じゃ完成させらんないから手伝ってよ」
ーわぁお。全く今日は珍しすぎる日だ。
普段は手伝え、なんて滅多に言わないんだけれど。明日は空から飴玉が降ってきそうだ。
「…やってやらんこともない」
「珍しいと思ったでしょ」
ニヤァ、と不気味に笑って聞いてくる。それに対して私は答えずスルーをかます。
「まぁいいや。じゃあヨロシクね」
「分かったよ。」
まぁ友人と二人なら断る理由もないしまったり過ごせば良い。それなら私も楽だ。
…あれ?待てよ。
「ねぇさっきさ、冬休み中って言ってたじゃん。終わんの?つか課題とかどうす、」
「泊まり込みで良いよ」
私の質問を予想していたかのように言葉を遮って、持ち歩いている金平糖を食べながら言う。
「…マジか……」
まぁ、それもそれで素敵な冬休みの過ごし方になりそうだ。
夕暮れに染まった綺麗な橙の町、奥には薄い紺色が広がっていた。
雪が降りそうだ。
閲覧ありがとうございました
冬休みはまったりしたい