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「追放王子の冒険譚」  作者: 蛙鮫


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「小さな宴」

ルーベルトとの戦闘を終えたアーケオとマシュロは疲れた体を引きずって宿に着いた。


「あいたた」


「我慢してくださいまし」

 宿に着くなり、マシュロがアーケオの傷の手当を始めた。病み上がりの体で戦闘をしていた事もあってか、アーケオ自身もかなり疲れていた。


「マシュロさんも相変わらず強いね。大会出たら良かったのに」


「私は競い合いに興味はありませんから。あなた様をお守りできる力さえあればそれで。さあこれでもう大丈夫です」


「ありがとう」

 アーケオは手当てをしてくれたマシュロに礼を述べた。


「兄さんに勝ったから父は何かしてくるかと思っていたけど、まさかあそこまで殺意を向けられるとは思わなかった」


「非道で姑息なことを知っていましたが、実の息子を集団で八つ裂きにしようと画策していたなんて」


「でもなんかスッキリしたよ。わだかまりがなくなって」

 アーケオは目を閉じて、王城で暮らしていた時の事を思い出していた。父や正妻、兄。マシュロ以外の使用人からも疎まれる日々。しかし今日、そんな過去と決別できた気がしたのだ。胸から滲み出る達成感に浸っていると腹の虫が鳴いた。


「何かご用意いたしますね」

 マシュロが笑みを浮かべて、厨房へと向かった。




 次の日、アーケオはマシュロとともに街に出かけていた。アーケオはどうしても行きたい場所があったからだ。


「よっ! 世界最強!」


「坊ちゃん! かっこよかったぜ!」


「小さいのによくやったもんだね!」

 道中、アルタリアの町民たちから賞賛の言葉を受けて、アーケオは顔が熱くなった。


「照れるね」


「もっと堂々となさってください。今のアーケオ様は世界最強なんですから」


「もう。マシュロさんまで」

 マシュロが無邪気な子供のような目をアーケオに向けて来た。



「ここで待っていて」

 店の近くに着くとアーケオはマシュロをベンチに座らせて、とある露店に向かった。そこは以前、マシュロが金色のネックレスを見つめていた店だ。


「これください」

 アーケオはマシュロが物欲しげに見つめていたネックレスを購入した。


「お待たせ。これあげる」


「これは」

 マシュロがネックレスを見た時、目を見開いていた。


「それ。前に欲しそうに見ていたから。優勝したらプレゼントしようって決めていたんだ」

 彼女にはいつも世話になっている。自分ができるせめてものお礼を形にして彼女に送ったのだ。


「ありがとうございます。アーケオ様」

 マシュロが頰を赤く染めながら、白く細い首にネックレスを付けた。ネックレスをつけた彼女の姿は普段よりも美しく、気品がある姿だった。




 とある医務室。腕や首に包帯を巻かれていたルーベルトは窓の外を眺めながら、物憂げに窓の外を見ていた。アーケオとマシュロに敗北したのち、ここに運ばれたのだ。


「ブレドに続いてこの私が負けるとはな」

 ルーベルトは物憂げに耽った。侵略した国で捕らえた女との間の子。気まぐれで生まれた存在。そんな存在が自分を打ち負かしたのだ。


 悔しさがこみ上げて来た。不快感を握り潰すように拳を作っていると兵士が大慌てで彼の元に飛び込んで来た。


「陛下! ローゼンが『夜明けの翼』に襲撃を受けています!」

 兵士の報告を聞いた時、ルーベルトは血の気が引いた。

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