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「追放王子の冒険譚」  作者: 蛙鮫


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「本物の勇者と偽物の勇者」

アーケオは剣を重ねながら、これまでにない危機感を覚えていた。たった今、ブレドの毒牙を受けたからだ。こうなってくると毒が周りきる前に勝利しなければならない。


 猛毒を受けたアーケオと深い傷を負ったブレド。強烈な負荷を背負った二人が今、死闘を繰り広げていた。


 ブレドの素早くかつ、強烈な攻撃の次々と襲いかかってくる。鼓膜を削るような金属音を立てて火花が散っている。


「ハハハハハハハハハハハハ!」

 次々と猛攻を仕掛けるブレド。アーケオは紙一重で一つ、一つの攻撃に対処していく。ブレドも見るからに攻撃の腕が落ちている。傷口から絶えず出血しているからだ。


「がはっ!」

 途端にブレドの口から血が吹き出た。無理が祟ったのだ。アーケオはその隙を逃さずに攻撃を仕掛けた。


「もう負けない! あなたに勝つ!」


「ほざけ! 未来予知さえすれば!」

 突然、ブレドの目から血が涙のようにしたたり落ちた。


「何!」

 おそらく痛みと未来予知の負担により、能力が発動しづらくなっているのだ。


「もう未来予知はできないみたいですね」


「俺が負ける! ふざけるな! ありえねえだろうがああ! こんな偽物に!」

 ブレドが青筋を立てながら、飛びかかってきた。アーケオも剣を持つ手が痺れて来た。


「アーケオ様!」

 どこからともなくマシュロの声が聞こえた。彼は再び、思い出した。ここに来た理由だ。


 これまで自分を支えてくれた存在達のため、そして過去の自分に打ち勝つため、この勝負には勝たなければいけないのだ。


 アーケオは自分の体に鞭を打って、剣にマナを込めた。


 ブレドの剣からも黄金の光が出始めた。これで全てが決まる。アーケオはそう確信した。


勇者(ブレイブ)斬撃(スラッシュ)!」


勇者(ブレイブ)斬撃(スラッシュ)!」

 放たれた二つの斬撃が重なる。最初に打たれた時、同時に爆発した。しかし、今は違う。アーケオの斬撃がブレドの斬撃を打ち消した。


「くそおおお!」

 ブレドの断末魔を飲み込むように凄まじい爆発が起こった。砂煙が消えた後、ブレドの姿が見えた。


「あっ、がっ」

 白目を剥きながら、そのまま倒れた。


「勝者。アーケオ! 今大会の優勝者はアーケオ!」

 会場が歓声に包まれた。自分たちの予想とは反した出来事が興奮せずにはいられないのだろう。


「勝った」

 天を見上げながら、彼は静かに呟いた。内から湧き上がる強烈な達成感に身を震わせていた。かつて見上げるほど高い壁に見えたブレド。アーケオの実力は彼を超えたのだ。これでマシュロ達へ恩返しが出来た。


 実感した直後、視界が黒く染まった。

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