本当に大切なもの
紅葉ががあったかすらわからないような早さで、季節は移り変わっていた。もう口から出る息も白くなり、しまっておいたマフラーも今年また出番が来た。彼女からのプレゼントは、いつも僕に似合っている。彼女は本当に僕のことをわかっていて、僕も彼女のことをわかっているつもりだ。デートもたくさんしたし、彼女の家に泊まったこともあった。いつも僕は、彼女の家まで彼女を送ってから家に帰る。僕の家は彼女の家より先にあるから、という理由で送っているが、たぶん家が反対方向だったとしても僕は彼女を送ってから自分の家に帰るだろうな。心の底から愛していたから。
今日もいつものように歩いて帰る。彼女の家に着く最後の曲がり角を曲がった時、彼女はいきなり問いかけてきた。
「ゲーム、楽しい?」
僕は将来プロゲーマーになりたくて頑張ってきた。楽しくないと答えたら嘘になるが、楽しむためにやってはいないと思っている。あれは仕事だ。
「私との通話は楽しくないの?」
「......」
「通話の時、いつもゲームしてるでしょ?」
言葉を失った。いつもだったら何気なく出てくる冗談も、考える余裕すらなかった。ここで、よくある夫婦の言葉は使いたくない。仕事だから仕方ない。世の夫たちがどうしてこれを使うか、なんとなくわかる気がした。でも、ここは素直に謝るべきだ。僕はそう教わってきた。
「ごめ......」
「もう手遅れだよ。」
言い切る前に、彼女はそう言って家に帰って行った。さっきまであった確かな温もりは、もう冷たい空気に溶けてなくなっていた。
「かえったらアカウント消そう.......。」
人は、失敗して成長していく生き物だ。ときには、それは大きなものに発展して、取り返しのつかないものだったりする。でも、失敗しなきゃいけないんだ。失敗して終わりじゃない。謝らなきゃ。明日学校行ったら、何よりも先にもう一度謝ろう。
初めて書きました
書くのって楽しいんだなって思えました




