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第二章 黒い影(23) ランダ・・動く(1)

 「随分時間がかかったねぇ。」

 あれから黄泉の森に残る敵性のある魔物を全て斃し、自分の館までの道も造った。時間がかかったのはカーツに任せた村造り、人を買い集めたもののカーツの仕事はなかなか(はかど)らなかった。ランダは仕方なしにその完成を待った。その間に“黄泉の館”と呼ばれるようになったランダの住み(すみか)は前にも増して壮大になっていた。

 その村も出来上がり、今は森の経営は総てサロメに任せ、気晴らしのように人買いの旅に出る以外はランダは悠々と暮らしていた。

 悠然とランダが寝そべる広い部屋の扉がノックされた。

 「入んな。」

 ランダには匂いでそれがサロメだと解っていた。

 サロメはランダの部屋の広いテーブルに一枚の紙を広げた。

 それは何度もやり直しを命じた配置図だった。

 「南の端の湿地帯は貴女が一喝した餓鬼共が巣くっています。それはそのままにします。」

 それでいいよ、あそこは汚いからね。とランダは答え、その後は。と先を促した。

 サロメは地図を指さしながら一つ一つ話した。

 餓鬼共の後ろに置くのはターラカよりも使い魔が充実しているヤクシニー。彼女には館の背後、東側までを守備範囲とさせる

 森の北にはトウコツ、多くの魔物を引き連れ機動力に優れたトウコツが広い北部に適する。

 最も大事なランダの館に続く道がある西を守るのはターラカと決まった。

 今はラジャと名を変えたラクシャーサの部下のオーグル達十二体は森中に拡げた。

 ランダの館の前にサロメの屋敷も造られていた。その屋敷の周りに広く散開するのが五頭のガルム。

 アンシーリーコートはランダの館の番犬となりその周りを徘徊し、クー・シーは相変わらずランダのペットと館の番犬を兼ねていた。

 ランダの館にはバーローが取り仕切る彼女の愛人達が居座っていた。男はバーロー自身は勿論、ピグマイオイのニーコダマスと新たに仲間となったラッツィオ、女はアリスとそめが、その上サビーネまでがたまにランダの夜伽を勤めた。

 ランダとサロメの服を織るアリア、それら総ての世話をする三人のシルキー、空を飛べるモスマンのユアニは総ての地の連絡役となった。

 カーツが造った村はランダの村という意味か、ランドールと名付けられた。

 「ランドールに娼館でも造るか。」

 ガルフィがその声にすぐ応えた。

 「シャムハザを連れてお行き。あいつにも娼館の経営を教えてやんな・・女は私が集めるよ」

 ランダはガルフィを送り出すとすぐに人買いの旅に出た。


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