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定期考査は恋の予感? 〜続き〜

「………………なぁ、ちょっと近すぎないか?」

「そぉ?別にそんなことないと思うけど?」

テーブルを挟んで座るという手もあるのに何故か花蓮は横に座ってくるんだが。

しかも肩ぶつかるし顔近いし。

これは思春期男子に与えられていい刺激ではないことは晴馬にもわかっていた。

なので少し間隔を空けようとしたのだがその度に距離を詰めてくるのだ。

(おいおい…こんなこと男子にしたら全員勘違い 

するぞ…)

しかしこの時の晴馬は違った。

神妙な面持ちで………

「暑いから離れてくれないか?」

「え…あ…うん、ごめん」

”友達”として接すると決心した晴馬には邪な感情など0,5割程度しかなかった。

そんな晴馬には花蓮の気持ちなどわかるはずもなくはたから見たら結構悲しい絵面になってしまったのだ。

「なんなのこいつ……あたしがこんなにくっつい

 てるのに見向きもしないなんて」

「ん?何か言ったか?」

「いや何も!」

むすっとしながら強い口調の花蓮に首を傾げながらも晴馬は勉強を続けた。

(俺何かしたかな?)

「まぁいいや。花蓮、次はここを教えてくれ」

「あんたってやつは…変なとこで真面目なんだか

 ら」


もうこんな時間か。時刻は夜8時。自分でもびっくりするくらい勉強に集中できたと思う。これも教えるのが上手い花蓮のおかげだなと感じた。

「今日はありがとう。おかげで数学は大丈夫そう 

 だ」

「え、もう帰るの?」

「え?そりゃこんな時間だし」

「え?泊まっていかないの?」

「………は?ちょっと今なんて言った?」

「だーかーら!!泊まっていかないのって聞いて

 るの!!」

いきなり何を言っているのだろうかこの美少女は。

「いやいやいや恋人でもない男女が1つ屋根の下

 とかおかしいだろ絶対!!」

「別に友達ならそれくらいするでしょ普通!」

「じゃあ今までに男子と一緒に泊まったことあ

 るのか!??」

「…それは…ないけど…」

「とにかく!!絶対に泊まっていきなさい!!」

「はぁ…わかったよ。なんでそう頑なに…」

「ふふん♪じゃあまずはお風呂に入ってきてねー」

うーーーんどうしてこうなった?

いやさほんとにさ、ただの”友達”でしかない男女が1つ屋根の下っておかしいでしょ。今ごろ冷静になった晴馬の頭は混乱に満ちていた。

こちとらあんなに顔の良さ見せつけられといてもう自身なくなってきたんだが。俺を殺す気か?

「あ、お風呂一緒に入る??」

「は?なに言ってんの?」

「冗談だってぇ〜」

いくらなんでも心臓に悪すぎる。男子高校生の心を弄ぶのはやめてほしい。

見た感じどこぞの有名温泉を彷彿とさせるお風呂には大きな浴槽とシャワーヘッドが数個あり、来客用も兼ねていることがわかる。

お湯の温度も丁度よく、本当に1つの温泉に入っているかのような気分を過ごすことができた。

そして風呂上がりにはところどころに水玉模様が描かれており、涼し気な甚平が用意されていた。

おそらく使用人さんが準備してくれたのだろう。

「あぁ〜いい湯だったな」

ここは風呂上がりのコーヒー牛乳を一杯いきたいところだが泊まらせてもらう立場としてこれ以上の贅沢は心のうちにとどめておかなければ。

「はる、やっと上がった? 」

「ああ、気持ちよかった。ありがとう」

「むふふ〜ならよかったよ」

「ところで親御さんは??泊まらせてもらうなら

 挨拶くらいは済ませたいんだが」

「お父さんとお母さんは今日帰って来ないよ」

「はぁ?それは流石にやばいだろぉぉぉ」

「あれ?言ってなかったっけ?」

「いつの間にか知らない男が娘と一緒に泊まって 

 たって知られたら処刑されるぞ俺」

考えただけで鳥肌が立つ。それに加えてこんな名家ときた処刑だけじゃなく魂まで地獄の底に行かされるかもしれない。

と、とにかく連絡くらいは絶対しろよな!!

「まぁまぁそんなこと言わずにさ、ご飯たべよ

 うよ」

この家に二人だけじゃなく使用人さんがいてくれることがせめてもの救いだった。

考えることを諦めた俺は花蓮に連れられて食事が用意されているという部屋に向かった。

「…うわまじかよ」

「さっ、食べて食べて」

20畳ほどある広い部屋の真ん中にテーブルが置いてあり、その上には高級料亭で出てくるような料理が綺麗に並べられていた。とりわけ重箱の中の伊勢海老は存在感がすごい。この二人で食べ切れる量じゃないんだが。あとそこまでもてなされるほどの人でもないんだが俺は。しかしここまで美味しそうな料理を見てしまったがために口の中でよだれが止まらない。

「うっっっっま!」

「私が作ったんじゃないけどねぇ〜。口に合っ

 たならよかったよ」

見事なまでに完璧な牛肉の焼き加減がもともと良い素材の味をさらに引き立てており、言葉通り口の中で溶けるようだ。他の料理も見た目だけでなく味も素晴らしい。付け合わせのニンジンもただ切られているだけでなく花形にくり抜いてあり細部までこだわりを感じる。

料理を一通り食べ終えると今度は寝室に案内された。

「ここが今日はるに寝てもらう部屋ねー」

「いや寝室だぞ?広すぎないか?」

案内された部屋はさきほどの食事をとった部屋と同じくらいの大きさで、1人で寝るには十分すぎるほど大きかった。広すぎるとかえって怖いんだが。それにこの部屋の大きさに布団1枚ってなんだかもったいない気がする。

「………ん?なんで布団2枚敷いてるんだ?別に1 

 枚で十分だぞ?」

「え?布団1枚じゃ狭くない??私はそれでもい 

 いけど」

ん?”私は”?

「”私は”ってどういうことだ?お前は自分の部屋

 で寝るんじゃないのか?」

「…え?一緒に寝るんじゃないの??」

はぁぁぁ??いやいやいやおかしいって!花蓮と一緒寝るってそれこそ親御さんに処刑されちまうだろ!!

「付き合ってもない男女が一緒に寝るっておかし

 いだろ!」

「友達ならそれくらいするんじゃないの?」

「それは同性の話だ!!異性同士はわけが違う 

 ぞ!」

「えぇー?いいじゃーーん別にーーー」

こいつ貞操観念どうなってんの??????

「いいや、それだけは絶対にだめだ」

少なくとも俺の理性が保てない。

あくまで”友達”としての境界線は越えちゃいけない。

「ちぇっ、わかったよぉー」

ふぅ…一体なんなんだ…。


10時頃、やっと寝る準備ができた。

「ふぅ…いつにもまして疲れた…」

そうしているうちにいつの間にか仰向けになって気絶したように眠っていた。


翌朝、使用人さんが起こしてくれ、制服もかばんも全て準備してくれていた。

肝心の花蓮は用事があるから先に学校に行ったらしい。

「久しぶりに一人になれたな」

昨日の一件で疲れた自分もいたが、それと同じくらい楽しかったことを今になって実感した。

「案外悪くかったな」










遅くなってすみません!

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