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誰のものでもない

美鈴から勉強会に誘われてからというもの、地獄のような日々が始まっていた。

今日は月曜日でこれがあと1週間以上続くと思うとため息が出る。しかしやっぱり本気で花蓮に勝ちたいらしく、とても丁寧に勉強を教えてくれている。俺の苦手を分析して似たような問題まで作ってくれるのだ。なんか進◯ゼミが隣にいるみたいになってきた。教え方も上手で、花蓮と同じくらい分かりやすい。もしかしたらそれ以上かもしれない。

テストまで2週間を切っており、前回赤点を取ったクラスメイトも今回こそと言わんばかりに勉強している。こりゃ平均点上がりそうだなぁ…。これ前回以上に頑張らなきゃいけなくなるんじゃ…。

「晴馬、今日も図書館で勉強いたしますわよ」

「ああ、すぐ行くよ」

いつしかみ美鈴が俺を呼ぶ時も名前になっていた。これは仲が深まっているということなのだあろうか。

「はるぅぅぅ一緒帰ろぉぉぉぉぉ!!」

「うおっ」

「だから毎回なんでこんなに強く叩くんだよ。」

俺の名前を呼ばれたかと思ったら懐かしい?衝撃が背中に伝わってきた。

最近花蓮は家の用事があるとかで俺よりも先に帰っていたのだ。

「あら?これはこれは朝峰花蓮ではありませんか」

「あれ?なんで美鈴がいるの??」

「ちょっと晴馬を借りていきますわよ」

「はぁ??なにそれ、はるは私と帰るんだけど」

「花蓮悪い、テスト終わるまで一緒に帰れそうにないかも」

「え?なんで?いつも一緒に帰ってたじゃん!!」

「その…テスト期間は放課後美鈴と勉強会してるんだ。だから悪いが1人で帰ってくれないか」

突然の告白に頭が真っ白になっていた。

はるを取られた気がした。確かにはるは誰のものでもない。だが自分の心の中に塞ぐことのできない穴が空いた気がした。それが嫌で私は必死に彼に私のほうが良いと伝えた。

「勉強だったら私が教えるよ!!だから一緒に帰ろうよ!」

「本当にごめん…それはできない」

「さ、早くしないと勉強時間が消えてしまいますわ。行きますわよ」

「あ…ちょっ…」

─────────────────────

花蓮には申し訳ないことをしたかもしれないがあの場であの事を伝えることはできなかった。

それが俺が今ではないと直感的に思ったからだ。というのも、俺が美鈴に自分から勉強を教えてもらいたいと思うようになったのは自分が花蓮に勉強を教えてもらうこと、ましてや普段関わる事が花蓮にとっての重荷になっているのではないかと考えたからだ。

(頑張るかぁー)

少なくとも今のままではだめだということくらい自分でもわかっていた。だからこそ、一旦花蓮から離れる決断をしたのだ。

もちろん美鈴が花蓮にどうしても勝ちたそうにしていたので少し協力しても良いかという気持ちがないわけでもない。花蓮の負けた表情をちょっと見てみたい気もする。まぁこれは心の奥底にしまっておくが。

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