だから言ったのにっ!!
「北町こんなところで何してんの??」
「しかも花蓮まで連れて」
「あ、いや…遊びに来たってわけでは……」
「はるは私と遊びに来たんだよ!!」
「ちょ、おま…余計なこと言うなっ」
「余計なことじゃないでしょ!!ほんとのことでしょ!!」
「お前らもしかして付き合ってんの??」
「しかも「はる」って呼んじゃってさ〜」
「ないないそんなことないよ!!」
必死に否定するが聞く耳を持ってくれないらしい。
あぁ…ほんとにフラグ回収するとか聞いてないんだけど…
「はる、もう行こう!」
「あ、ちょ、引っ張るなって」
「あ、逃げた!」
「はぁはぁ…体力ありすぎだろ…」
「逆にはるがなさすぎるんだよ」
人混みを利用してなんとかクラスの奴らを撒くことができたが引きこもりでロクに運動もしない晴馬にとっては砂浜で走るのはフルマラソンを完走するくらい疲労を感じさせるのであった。
「はぁぁ走ったら余計にお腹すいた〜」
「俺も腹減った…」
「あ、あっち結構空いてるよ!」
海から少し離れているためか逃げてきた周辺の海の家はさきほどよりも人混みが少なかった。
酷暑の中5分ほど並んでやっとゲットした焼きそばは普段家で食べる時よりも美味しく感じた。
自分が味オンチだけかもしれないのだが。
横を見ると花蓮が頬に手を当てながら美味しそうに焼きそばを頬張っている。
「ほっぺ落ちちゃうぅぅぅぅ」
「はいはい落ち着いて食べろ」
どうやら舌が肥えているであろう花蓮にもこの環境で食べる焼きそばは美味しく感じたらしい。
あっという間に食べ終わってしまった。
「食べ終わったら泳がなきゃでしょ!!」
そう言ってスキップしながら海辺に向かう花蓮を追いかけるように俺も走っていった。
(食べたばっかなのになんであいつあんなに動けるんだ…)
「きっもちぃぃぃぃーーー!!!」
「おぉ意外と水冷たいんだな」
あの暑さに頑張って耐えていた体にはこれくらいの温度が丁度良い気持ちよさだった。
「えいっっっ!」
「おい、水かけんなっ」
「キャハハハこけてやんの〜」
「己勝ち逃げとは許さんぞ!!」
「逃げろぉぉぉ」
はぁ…はぁ…どうしてあいつはあんなにすばしっこいんだ…。水の中だってのに。くっ、運動不足がの弊害がここで出てきたか。
「なーにしてんの?負け認める??」
「認めます。」
「意外とあっさりしてるw」
これ以上戦っても敗北は見えているからな。
負け戦はしない主義だ。
「ねーねー次は深いとこ行こーよ―」
「気をつけろよ??ただでさえ危なっかしいんだから」
「そんなことな………うわっっっ」
「花蓮、大丈夫か?!」
「うげぇしょっぱい…」
「だから言ったのに…」
どうやら海藻の生えた岩で滑ったようだ。
ほんとに危なっかしいんだから。
「ほら、俺も行くから焦るなって」
「はる殿、早くしたまえ」
「何様のつもりだお前」
幸い怪我はないようだった。
それからしばらくの間若干冷たくも気持ちいい水の中で思う存分遊んだ。
「あぁー疲れたぁーもうこんな時間かぁ」
時刻はすでに6時を回っていた。
夏と言えどこの時間になれば
慣れない水の中で長時間動き回ったことで明日は全身筋肉痛になりそうだ。