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これはデートって言いますか?

「……ってば!!」

「んうぅ……」

「はる起きてってば!!」

「ふぁぁ…ん?か、花蓮?!」

「起きるの遅い!!」

「ご、ごめん!」

何が起こったのか頭の整理がつかない中寝ぼけて目をこすりながら時計を見ると時刻は午前8時を過ぎていた。しかも花蓮が制服姿で立っている。

「ち、遅刻するっっ!?」

「だから何度も起こしたのに────」



「はっっっ…夢か…」

変な夢を見てしまった。なぜ夢に花蓮が出てきたのだろうか。諸説あるが普段よく考える人のことが夢にも出てくるそうだ。まぁ色々あったし…

何か見覚えのある光景に疑問に思いつつ目をこすりながら時計を見ると時刻は午前11時前だった。

「やべっ今日花蓮と出かける日じゃん!!」

先日花蓮とメッセージでやりとりをして日程を決めておいたのだった。どうしてこんな日に限って寝坊してしまうのか。女子と初めて出かけることもあり、昨日の夜からずっとそわそわしていて寝るのが遅くなったことが原因だろう。我ながら恥ずかしい。

「昨日の時点で準備しておいてよかったな」

そわそわしすぎて今日持って行くものから着替えまで全て昨日の時点で準備しておいてしまったのだった。

半焼けのトーストを急いで食べ、歯磨きをして、顔を洗った頃にはもう11時半を回っていた。



「なんとか間に合った…」

幸いにも花蓮との待ち合わせの駅までの電車がすぐ来たことにより大幅な遅刻は免れた。

「もおぉー遅い!!」

「いだっっっ!」

突然聞き覚えのある声とともに背中に壮絶な痛みが襲ってきた。

「花蓮?!もう来てたのか??」

「あったり前でしょっ!せっかくのデートなんだから……」

「ん?最後なんて言った?よく聞こえなかったんだが」

「いいから!!遅刻したからあたしにジュース1本奢りなさいよね!」

いや、ギリギリだったが遅刻はしてないんだが。

まぁ言ったらまた背中を叩かれかねないのでやめておこう。なんだかんだでジュース1本で済ませてくれる花蓮は優しい。

「わかったよ。何がいい?」

そう言って近くの自販機へ向かう。

駅の中とはいえ、夏のこの気温で流石に汗はかくので自販機で冷やされたジュースがより一層魅力的に見えた。

「うーーーーーーん…じゃあカル◯スで」

「なんか無難だな」

「夏と言えばやっぱカル◯スっしょ!!」

花蓮のことだから焼き芋ソーダとか変な飲み物が好きなのかと思っていた。思ってたよりも普通の人間らしい。

「じゃあ俺もカルピス飲もうかな」

「なんか無難だね」

「お前がそれ言うか」

「ぷはぁぁー染みるぅぅぅ」

カル◯スの甘酸っぱさが夏の暑い日に放り出された体にしみる。ペットボトルよりも瓶や缶のコーラを飲んだときの方がおいしく感じるのと似てるかもしれない。知らんけど。

「もう電車来るしとりあえず行くか」

「そうだねぇ〜これ以上ここにいたら暑すぎて溶けちゃいそぉ〜」

やっぱり電車の中は駅のホームよりも涼しかった。この時間帯は比較的空いていてところどころに座れる席があった。

「あ、ていうか!はる何か忘れてない??」

そう言っている花蓮は自信満々に胸を張っている。

「ん?何か忘れたのか?今からなら取りに行っても…」

「ちがーう!!わ・た・しに!何か言うことないの?????」

もしやこれは女子の服装を褒めるというイベントか?いや、花蓮に限って…んん……わからん。もしこの場で可愛いと褒めれば確実に電車の中でいちゃつくカップルになってしまう。それにもし予想が外れていたら絶対にからかわれるし。普通に似合ってるって言うの恥ずいし。

「あーもう!ヒントをあげよう!最初の文字は 

 ”に”でーす」

「に…」

(行け!俺!言うんだ!!)

「似合ってる。可愛いよ」

「か、かわっ?!」

(やってしまったぁぁぁぁぁ!可愛いまで言う予定なかったのに!!)

「さ、流石にそこまで言われると照れるっていうか…………」

「ご、ごめん」

「ま、まぁいいわ!この花蓮様が可愛いのはいつものことだし!!」

周りの視線が痛い……ほんとにすみません……

とてつもなく恥ずかしすぎる。

この先一体どうなるのやら……



「んんぁぁぁぁぁ海だぁぁぁぁーー」

「ふぅ…やっと着いたな」

「風が気持ち良いーねーー」

花蓮はさきほどの電車での出来事を気にした様子もなく腕を広げて海を全身で感じている。

「丁度いい感じの風だなー」

俺はというと目の前に広がるビーチに興奮しながら花蓮と同じように手を広げて海を感じてい

る。

「あ!!あそこに海の家が並んでる!!行ってみよーよ!」

「うっわめっちゃ並んでる〜」

「まぁまぁそれも夏って感じするじゃん??」

「それもそうだな。俺かき氷食べたい」

「おっ、珍しくはるが乗り気だねぇ〜」

「そりゃ誰だって海に来たらテンション上がるでしょーよ」

俺は普段インドアだが海は好きだ。

どこまでも続く水平線を眺めながら気持ちの良い海風を感じるのは俺の趣味の1つである。もちろん海に入るのも好きだ。特に少年の心を未だに持っている俺は磯を探索するのにハマっている。まぁ趣味とは言いつつ学生の身分でそんな頻繁に海に来ることはできないのだが。だからこそこ今日は楽しもうと思っているのだ。しかし花蓮といることでトラブルに遭うことだけは勘弁して欲しい。例えば花蓮を狙う男子と偶然鉢合わせて修羅場になるとか。男女2人きりで勘違いされないはずがない。

「はる?何ぼーっとしてるのさ」

「す、すまん。少し考え事をしてた。」

気づけばもう注文する番になっていた。

「まさか、私という存在がありながら他の女の事を考えた??」

「そんなんじゃないってば。ただこうして誰かよ海に来るのは初めてだなって」

俺は海が好きと言ったが友達と来たことは思い出す限りなかった。

「あと人前でそんなこと言うのやめろって」

普通に恥ずかしい。まるでイチャイチャしてるカップルじゃないか。

「おっ!北町じゃーん!こんなとこで何してんの??」

え…まさか…夢だと言ってくれ…









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