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王都へ・・・

軍事兵器研究所でエータの修復を終えたケン達

王都でエネルギーチャージに向かうが・・・

 遺跡から出て、エータは扉を施錠した。

「電源は切らなくてよかったのか?」と聞くと「自動で停止する。再度吾輩がここに来れば自動で稼働する」そうです。ハイテクすげー。


 そして夕日に赤く染まる断崖絶壁を下る。

 俺はみんなに言われた通り、下を見ないようにしていたら案外大丈夫だった。先に教えてほしかった・・・

 アレックスに肩車をしてもらい、俺たちは疾走して日没には馬車を預けた村に戻った。

「ただいまシロン。元気にしていたか?」

 そう声をかけて撫でても、シロンは安定の無反応です。


 俺たちは宿を借り、部屋に入る。

「さて、この次は王都のメインターミナルだ。しかし、王都が今どうなっているのかは不明であるな。吾輩が事の発端なのだが」

 とりあえず次の目的地は王都に決まった。

 俺はエータが現状どうなっているのかはずっと気になっていた。

 ちょっと怖かったが、エータが王都で何かしたのかを聞いてみることにした。


「当時の吾輩は制御を完全に奪われていた。しかし、吾輩の思考回路の一部は客観的に、その行動の一部始終を認識していた」

 王都で反乱AIに浸食されたエータは、いかに効率よく人類を減らすかを計算し、独力ではなく、争乱を各地で起こすのが効率的と計算結果がでたようだ。

 そこで、大きな戦力であるグリフィンや豚人を利用しようと行動している途中で、制御を少しずつ取り戻し、あの日に奪還に成功したらしい。

「今でも反乱AIの浸食範囲の縮小を進行している。しかし、以前にも言ったが完全に排除することは不可能である」

 エータの言う事を信じるのならば、おそらく反乱AIに再度乗っ取られる事はないのだろう。

 エータが嘘をつかないのはわかっている。

 しかし、内部的に書き換えられたりしない保障はない。疑念は残ってしまう。

 既に王都ではエータのせいで何人も犠牲になっているだろう。

 けど、だけど、俺はエータを信じたかった。

 そうして翌日、王都に向かうことになった。


 ここの村では王都の噂はほとんど聞かなかった。

 夕食時や朝食時に宿の主人や客の話しだけだが、南部は王都にたいして反乱を起こしたりと、あまり王都に対していい印象を持っていないのかもしれない。

 小さな村だというのもあるが、近場で豚人を見たとか、南都にいる兵士の態度が悪いとか、そう言った近い場所の噂話しかきかなかった。平和な村だと感じた。


 馬車で王都を目指し街道を進む。

 今朝は曇天で今にも雨が振りそうだった。

 御者はアレックスがしてくれた。

 途中で、フードを深く被り、全身をマントで覆うエータと交代していた。

 最初は不審者にしか見えなかったが、案外このスタイルの人が多く気にならなくなっていた。

「吾輩とエルロットは抜け道から王都に進入する。君とアレックスは王都のローレン邸にまた馬車を預けてきたまえ」

 エータの指示通り、王都に抜ける抜け穴の近くでエータとエルを下ろし、俺とアレックスは王都南門に向かった。


 雨が降っていた。

 王都の高い外壁が見えた。内部は見えない。

 以前に来た時には門の前には入門待ちの馬車の列が出来ていた。

 今日は誰もいない。

 雨の音しかしない異様な静けさが南門の前を包んでいた。

 まだ日中の時間だが、門は半分閉じていた。

 その前に兵士が数名立っている。


 俺は御者台でアレックスの隣に座っていた。

 入門税を準備して、問いかけに答える練習をしていた。

 相変わらず緊張していたが、馬車はゆっくりと兵士のいる門に近付く。

 兵士が三名ほどやってきた。

「わ、わたしはだ、旦那様の召使いで・・・」

「お前たち何しに来たんだ?豚人では・・・ないな?南部のものか?」

 兵士は俺の言葉を遮って誰何してきた。

「わ、わたしは旦那さまの召使いで、旦那様はセバスチャン・ローレン卿ゆかりのものでございましゅ」

 練習のかいがあって、うまく言えた!

 しかし、その言葉を聞いた兵士たちはざわざわとしていた。

「ローレン卿の・・・しかし、ローレン卿は領地に戻ったのではないか?」

 なにか予想外の展開で、俺はもうどうしていいのかわからないです。入門税のお金を差し出したらいいですか?

 そっと手を差し出す俺の手をアレックスが抑えた。

「・・・セバスチャンは無事なのか?」

 両目をばちっと開けたアレックスが兵士を直視してそう問いかける。

 兵士は一歩さがった。

 動揺しているのか、引きつった顔で固まってしまった。

 それを見かねてか、城門内から馬に乗った兵士がやってきて「何事か!」と大きな声で言った。

 兵士や俺の言葉を聞いた馬上の兵士は事態を理解したらしい。

「事情はわかりました。ローレン邸まで案内します」

 そう買って出てくれた。

 俺はもうどうなるのかと震えていたが、握りしめたお金を渡していないことにしばらくしてから気が付いた。

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