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原初の島

『今回の任務は何が何でも秘匿だ。故、今回(・・)も君は単独での潜入任務となる』


 瀬戸大輝は暗い部屋の中で一人、立っていた。

 周囲は壁に設置されているのかモニターのようなものが複数あり、その全てにSOUNDONLYと表示されていた。

 そのモニターから、無機質な、男の声が聞こえている。


『今回君が潜入するのは敵性勢力(テロリスト)が占拠した島だ。ここでは新兵器開発を米国が行っていたが、そこを突かれた。敵は開発していた兵器と、核物質を盾に脅迫している。米国は公にすることを避けるため、我々に対処を依頼してきた。しかし中身が中身だ。大規模交戦は行えない』


 瀬戸大輝は聞きながら煙草に火を点けた。


『制限時間は、残り56時間だ。そこで君の任務だ』


 瀬戸大輝は煙草の煙を吐いた。


『単独で潜入した君は敵首領である『テキサス』と名乗る男の撃破に並行し、敵の核攻撃能力の有無を確認してもらう』


「……核?」


 瀬戸大輝が初めて口を開いた。


『そうだ。彼らは独自の核兵器を所有していて、要求が通らないようであれば使用すると、脅している』


「要求?」


『金だよ。加えて、『USA』の死亡の経緯と『ORIGIN』の情報の提供を求めている』


「『USA』と、『ORIGIN』だって?」


『そうだ。君が元々いた(・・・・)反政府組織だ。そこの情報と、経過だ。『HOPE』死亡事件後から今は鳴りを潜めた組織だが、今更その目的もわからない。加えて『USA』だ。『USA』、君はあまり知らないかもしれないが、『HOPE』の前にこの組織、最終防衛線(FDL)のネームドとして、活躍した人間だ。『HOPE』が出現してからしばらくした後、戦死した。だから解せん。今更この二つの情報を求めるとは、意味があるとも思えない』


 また煙を吸って、吐く。


「そうか」


『ともかく、目的もわからない者に情報を与えることも金を渡すこともできん。故に君だ。もちろん拒否権はない』


 瀬戸大輝が一つ頷く。


『君は、完全に単独潜入だ。船で約40海里まで行き、その後は射出ポットで接岸する。君は泳ぐのが苦手だと聞いているが心配はいらない。目標地点に到達後は自動で展開し君を射出する。その後は浮上すればいい。浮上機も小型だが付けるから問題はない。ここで質問は?』


「無し」


『では、続ける。モニターを見るんだ』


 全てのモニターが切り替わる。

 地図のようだった。


『島全体は10平方キロメートルと広大だ。その分敵の数も多い。衛星で確認できた限りでは500人以上だ』


「面積の割には少ない」


『そうだ。集中しているんだ。地図を見ろ』


「見てる」


『島の南側の湾岸付近に施設が集中している。その終身から北の建物にサーバー室がある。それを流用していると考えて、操作盤などがある三階の、件の核兵器の装置があると思われる。そこを中心に警備が構築されているから、信憑性は高いだろう。だが、数が多い。これを君には一人で戦ってもらう必要がある。かもしれん。あくまでも潜入任務。無駄な戦闘は避けろ。極力先頭を避けつつ、操作盤室へ向かう。機械を停止させる。そして『テキサス』を撃破する。それが君の任務だ』


「他の戦力は? 『テキサス』以外の危険因子は」


『目立ってはいないと思われるが何分情報がない存在だ。対処療法でやっていくしかない。しかし……』


「……ん?」


『「USA」と「ORIGIN」を知っていることから関係者、また元関係者である可能性が高い。何者が、待っているかは、予想もできない』


「わかった」


『潜入後は君の判断に委ねるしかない。幸運を祈る』


「ああ」


『では準備が出来次第行動開始だ。事後の行動にかかれ』


 モニターが消えて、部屋に明かりが灯った。


「形式臭い奴らだ」


 瀬戸大輝は呟いて、煙草を自身の足で踏みつけた。

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