安心

　呑気なのとも、ちがうはず。

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　安心ってのは安らいだ心境であって

　それは やすやすとたどりつける心理状態ではないから

　得ようとするには しばしば ずいぶんと高くつく

　転ばぬさきの杖で石橋を叩いて渡ろうとするも

　君子(くんし) 危うきに近寄らずと

　手堅きまで逃(のが)してしまうことだってざらで

　泣きつらによけいな蜂(はち)を招かぬように

　丸い憂(うれ)いも切りようで四角

　笑うかどにして福が来たるを待つ

　案ずるよりやすいはずが 産みの苦しみを伴(ともな)い

　願った死に顔を得るための生きざまを求めて

　終(つい)の棲(す)み処(か)より安住の地をいまは欲するが

　其処(そこ)が いつ死地となるやも知れぬ

　不安は常(つね)につきまとうもの

　それすら祓(はら)いのけて ようやく手にしたものを

　しあわせかと問われたら

　臆面も 屈託すらもなく

　頷(うなず)いてやれるかと傾(かし)げた首を

　屈したり そらしたり ねじったり ひねったりして

　歪(ゆが)みきった背骨をひとすじへと

　まっすぐのばしてやることができたなら

　安らいだ心境へと手が届くとまでは言わないが

　せめて 小指のさきくらいは

　ひっかけることも叶うかと思うのだ

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　心配症は疲れるけど、ダメージも減るもの。