記録97_マニュアル操作へ
頑張りました、現実が忙しいので、週一投稿が望ましいかなーと考えています。
『そういえば、一応相手もチートだったな』
《風姫》と《カタクリフト》の溶けた身体は固まり安定したが、問題はその次だ。
『なんだよ、その『世界改変』ってのは。『異常』を『平常』と認識させる、半ば洗脳みたいな能力だったはずだ。それがそんな大層なものになるわけ……』
「そうだ、本質は『認識改変』。ただの『ねこだまし』みたいなものだ。しかし、世界を対象にしたならば、この世界で起こらないような『異常』を、『常識』的に起こすことも容易い!!」
『世界改変』。
後に判明した効果だと、『世界を騙す秘術』と呼ばれる、魔術を超えた『魔法』と呼ばれるものに近しいらしい。
その効果は……。
「物理法則等の、絶対的ルールの改ざんだよ」
その途端、かかる重力が何倍にも増え、地面に勢いよく叩きつけられる。
『なんだ?《引力核》か!?』
「いえ、私の『世界改変』による重力操作です。まだまだいきますよ………っ!!」
次に来たのは、急な突風に加えて摩擦の無視。
「これは……自転の停止と摩擦無視!!やばいよ、《カタクリフト》!!《睡魔》さんや《錬金翁》さんも、全員巻き込んで能力使うつもりだ!!」
「もう遅いさ!!この惑星の自転は遅いが、それでも“慣性”によって強力な突風が吹き荒ぶ!さらに、摩擦がなければ、固定されているもの以外が立っていることは不可能!!お前達はここで戦闘不能だ………ぁ?」
「《法則の破壊者》」
「……!?《錬金翁》……なのか、?」
そこに突如現れた砲丸は、縦横無尽に飛び回り《愚聖者》の腹へと突っ込んだ。
「ぐほぁ……これは、能力の無効化じゃない……!?なら、これは…………」
「これが、俺が辿り着いた境地。《錬金術》を最大限に使った、《メビウス》の限界。《Billie•Jean》も、《ドクター》の能力である《法皇》も理論上破ることが可能な、俺を《四天王》たらしめている最強技だ」
〉〉〉
「《法則の破壊者》」
「……あ?ただの空飛ぶ砲丸?」
「あぁ、それはただの砲丸だ。ただ、俺が能力をオート操作からマニュアル操作に切り替えたことで、その操作性は格段に上昇、得られる効果も大きく、脳への負担はかかるが…………」
《法則の破壊者》は素早く手のひらの上をぐるぐると球を描くように回転し、《錬金翁》の目の前で静止する。
「この砲丸は、俺の考えた『屁理屈』通りの効果を得られる」
「………へぇ?『屁理屈』?そんなもので、俺の《罪》を乗り越えることができるわけ……」
「《法則の破壊者》、使用者権限により、その砲丸に『触れたものに関連する能力を無効化する』を付与」
「なぁ!?」
声を上げた時にはもう遅い。
《法則の破壊者》は超高速で《錬金翁》の元へと向かう。
《錬金翁》は《錬金術》で手早く両手を生やし、やってきた砲丸を掴むと、そのまま引きずられていく。
『規則違反者。罪禍の処刑、を、お……?』
その瞬間、《罪》の処刑システムが《錬金翁》を認識できず、エラーが発生、というとこだ。
「今、《法則の破壊者》には『触れている相手を能力による干渉を受けない状態にする』という能力を持っている。この砲丸に触れている限り、《罪》は気にしなくていい。《死神》の《死域》で死ぬことはなく、《翔身》の《通身》による物理無効も無視できる」
「……それが、どうした!それが私に対する対抗策とでも?笑わせる!触れながらでなければ《罪》によってどんどんと身体が削られる!!回復できようと、その状態で戦うのは厳しいはずだぞ!!」
「あぁ、俺自身が前線に出れば砲丸から手を引き剥がされて細切りにされちまうかもしれない。だから、こいつらを使うのさ」
闘技場の近くの床が盛り上がり、そこから出てきたのはいつぞやの分身体達であった。
「分身体は『生物』ではなく、俺に操られている人形だ。だから、俺の一部とみなされて《罪》を受けることもなければ、闘技場と一般街を隔てる境界を越えることもできるんだよ」
この分身体達は、《睡魔》側で脱出ポッドを操作していた分身体である。
分身体はほとんど全員が完全体であり、さらに土中から増え続けている。
「………もしかして、土から出てくるのってキモいのかな?」
《錬金翁》は土の中からの登場はかなりロマンがあると思っていたが、齢70過ぎぐらいにして自覚する…………。
「俺、土の中から出るの、結構かっこいいと思って愛用してたシチュエーションなのになぁ………」




