記録96_《フルオートモード》
「……なんですか?それが、《機械化》だと?まだ隠しレアアイテムだと言われた方が納得できますよ?」
『そうかな?私としては……とても機械らしいと思いますがね』
《機械化》のチカラの一つ、《フルオートモード》。
身体が内側へと裏返り、数多の槍、刀、腕が生え、どれほどまでにも拡大していく。
やがて巨大な人型へと変化を遂げ、その身体を角ばった何かへと変化させる。
巨大ロボットへの搭乗は全国男子の夢だろうが、自身が巨大ロボットへ変質に憧れる人は少ないだろう。
「君、本当に《四天王》じゃなかったわけ?さっき言ってた《ジェムド》って《四天王》よりも強いんじゃないの?」
『ま、だから《金属魔人》に『近衛』に選ばれたんですけどね』
巨大ロボットなんて比ではない。
それはもはや、災害の域に達する怪人。
機械と呼ばれる科学の域を超えた超常現象。
無限の増殖と拡大が可能の、最強の機体。
それが《フルオートモード》。
全自動で生存に最適な身体へ変質する、《機械化》中で最強の状態である。
『無限の武器と最高硬度の身体。それに、アンタの能力に適応するチカラです。初っ端から大技を出してはみましたが、攻略難易度的には《錬金翁》さんと同等ですよ』
「クフフフ、適応できるものならば適応してみるといいさ!!《聖典:禁戒》、これより《カタクリフト》を構成する原子の性質を変化させる!」
そういうと、《聖典:禁戒》の効果が発動。
《カタクリフト》の金属の身体は徐々に液体へと変化していく。
「貴方の体を構成する分子の融点を常温以下にしました。貴方はこれで溶けてなくなればいいんですよ」
『流石だ、さすがチート。ですが、効果を高めるために補足人数を減らしたのは減点ですね』
「奥義、《七点抜刀》!!」
「ぬぅ!?」
背後から忍び寄る神速の太刀。
七回の切り込みからなる一刀流最強奥義である。
しかし、それで仕留められるのであればそこまで苦戦する相手ではない。
《七点抜刀》の1度目の太刀を、縄で絡めとり、縛りつける。
「クフフフ、《能力封印縄》。我らが道具屋が作る試作品。《錬金翁》が複製できるようになったと聞くが、いくら試作品を複製されたところで、こちらにはなんの被害もないのでな」
………、まぁ、同じ《隠し能力》派閥ならば持っているのも自然だろう。
だが、それ以上に気になるのは、その派閥にいる動画屋。
これほどの性能の道具を、個人で作れる人間が存在するのか!?
何かの報酬なのかと思っていたが、それならば話は別だ。
『貴方たちを倒した後で、今観光してるあの3人に道具屋の始末をまかせた方が良さそうですね』
「勝ちを確信するその言い振り、その目………。何から何まで、あの男と同類だ。心底イラつかせてくれるっ!!」
「その『あの男』?が誰かは知らんが、ウチに縄つけただけで刀が収まると思ってんの?」
縄は《風姫》に付いているが、《風姫》の能力は《武功超過》。
ただ、自分の理想通りの攻撃をできるだけであり、別になくても威力は出る。
そのための、《隼鬼》の修行だ。
縄は徐々に刀に斬られつつある。
「くっ…。《聖典:禁戒》!補足対象を《カタクリフト》と《風姫》に変更!」
『よくやった、《風姫》!!』
随分とドロドロになっていた《カタクリフト》が立ち上がる。
「なぜ、そんなにすぐに立ち上がれる……っ!」
一瞬の方に気を取られ、《風姫》が縄を突破することを許してしまう。
しかし、《風姫》も少しずつ身体が溶けている。
「あ、暑い……っ!!《カタクリフト》さん、ずっとこんな感じだったんですか!?」
『いやぁ、僕の場合は機械だから、そういった問題はないんだよ、ねっ!!』
背中から数多の剣が生えてきて、その剣を射出し、《愚聖者》に乱射を始める。
「……クッ、《翔身》!」
《愚聖者》は通信機に向かって声を荒げる。
『……あー、テステ『ザ───』テス。応答せよ、応答せよ〜。聞こえるか?』
「なんだ!今まで返答する機会なんて無かっただろう!早く《翔身》の増援を……」
『そのことなんだが、ほんとーに申し『ザ──』けど、今、《翔身》は能力使いすぎて休暇中だ。すまんな、そこはも『ザ、ザ────』でなんとかしてくれ』
「おい、ノイズで聞こえない!何を使えって!?せめて、お前だけでも来やがれ!《ドクター》!!聞こえてるのか!?おい!おい!!クソッ!」
剣の雨を捌ききれず、《愚聖者》に傷がつき始める。
「チッ、しょうがない。《四天王》まで取っておこうと思っていたが……、《聖典:禁戒》発動!!」
《聖典:禁戒》の能力の源である本が出現し、それを地面に叩きつける。
「対象『《メビウス》』を捕捉!これより、「世界改変」を行う!!」




