記録93_《法則の破壊者》
「ハッ、口ほどにもない。四天王と言っても所詮はこの程度。なぜ《ドクター》はこんな奴を警戒するんだ?」
右腕を失った《錬金翁》と《咎人》。
一瞬の能力使用により《罪》領域範囲外へと出ることができたが、その代わりに右腕を失った。
………まぁ、そこは天下の《四天王》。
今回は、別にこれで相手してもいいか。
「なんだ?たった腕一本取っただけでイキがってんのか?だっせぇ、そんなんだから《隠し能力》なんてもんの使用者になるんだよ」
「負け犬の遠吠えだな、聞くに堪えん。すぐにあの世へ送ってやるさ!《罪》!!」
「させるか。《錬金術》!」
能力が使えるようになった今、相手の能力を封じることなど造作もない。
口に猿ぐつわを作り出して条件をいうのを防ぐ。
「地獄で一生うめいてやがれ、雑魚が」
口を塞がれ、鎖で抵抗する《咎人》に近づいていく。
………が。
「ふはっはは!ほーほんほ!!」
『規則違反者。罪禍の処刑を執行します』
その声に、一瞬で防御態勢をとる《錬金翁》。
その瞬間、防御していない方向から、次は左腕を抉られる。
「くっ……そが!!」
後ろへ飛び退き、左腕を安定させる。
「残念だったなぁ!!《罪》は範囲から逃れたとしても、条件設定時に範囲内にいた奴ら全員が対象なんだよ!!!」
あー、なるほど。
いいこと聞いたなぁ。
「そんなにベラベラと喋っていいのか?負けるかもしれないぜ?」
「お前はもうほとんど両腕が使えない。もう負けたも同然なんだよ、おまえ」
確かに、能力頼りの戦法をとっていたのは反省だ。
能力使用禁止惑星なんてものもあるんだ。
もっとプレイスキルを磨いていかなければ、《四天王》の末席を任せられている身として不甲斐ない。
「………なら、練習台が必要か」
「?なんの練習だ?死ぬ予行演習か────?」
その目線の先にあるのは、大量の金属。
「能力使用形態変更!フルオートマティックからマニュアルへ!!」
突如、周囲の元素の動きが緩やかになったかと思えば、急に《錬金翁》の元へと集まっていった。
「馬鹿が。アンタに止められたせいで、《罪》はまだ『能力使用禁止』だぞ!!」
『規則違反者。罪禍の処刑を執行する』
先ほどとは比べ物にならないほどの違反。
これほど大胆に使えば、相応の罰が与えられる。
だが、先の防御態勢外からの攻撃によって、《罪》の『罪禍の処刑』の仕組みがわかった。
対処も、すぐにできる。
そのため、今は極限まで練る。
《錬金術》のチカラは、世界の法則を捻じ曲げるほどの力を持つ。
ならば、一個人が勝手に設定した、能力による規則なぞ、曲げられないわけがない。
「俺がこれからやるのは、かつて最強と互角に渡り合った奴へと放った攻撃。……………《法則の破壊者》」
絶死の砲丸が、今《咎人》を襲う。




