記録92_《罪》
「何もできやしない。お前には何もできやしないとも。フハハハハ!!!《隠し能力》発動!!《罰》!!」
《咎人》が、《錬金翁》の槍を鎖で捉えたまま《能力》を発動する。
その瞬間、《咎人》を中心に、結界が広がる。
「!?これ………《咎人》の《能力》か!!」
《錬金翁》は結界の中へと強制的に入らされる。
「……何が起きる……?」
警戒する《錬金翁》とは裏腹に、目の前にディスプレイを表示して何かをいじっている。
「何が起きるのかは分からんが、何もさせないに越したこたぁないなぁ!!!」
そう言うと、《錬金翁》は掌にある気体を鉄に変えて槍を作ると、その槍を全力で《咎人》に投げる。
だが、それは《咎人》の直前で止まった。
「《罰》に宣言する!!これよりこの空間は、全ての粒子の運動を停止しなければならない!最初に其れを違反した者には、相応の罰を与える!!!」
「!?、はぁ!?なんだって!?」
そう言った時にはもう遅い。
今、《錬金翁》は口を動かしたのだ。
それにより、《罰》発動。
『規則違反者。罪禍の処刑を執行します』
そう聞こえた瞬間身構えようとするが、身構えることもできない。
身構えるとまた余計な処罰の執行人が増える。
相応の処罰?と言ったはずだ。
いきなり死刑なんてことにはならないはずだ………!!
すると、何者かによって頬に切り傷ができる。
「?、なんだぁ!?」
本当に、何も見えなかった。
不可視の斬撃、だが、おそらく最小限の《罰》違反で、初犯だったからこの程度で済んだ。
これが、相応の罰。
つまり、アイツが決めた法則を守らなければ、どんどんと死に追いやられていくわけだ。
「何その理不尽……。自分ルールを勝手に押し付けてくるってわけでしょ?」
「どちらにせよ、お前が断罪されることには変わりない!!《罪》の条件を変更!『自身以外の、領域内の全てのプレイヤーの能力使用を禁止する!!』」
「うわめんど!!」
その瞬間、《錬金術》で作っていたはずの槍などが溶けて消えた。
《罪》は、条件を言った直後に効力を発揮し、元々その条件を違反しているものは、強制的に元の状態に戻すことができるようだ。
しかし、それも指定した領域の中のみの話。
《死神》の《死域》と同じようなものだ。
対策すれば、なんら問題はない。
《罪》には違反するが、ここは能力を使って早めに撤退した方が………。
と考えながら、足の裏から棒を出して撤退しようとした結果……。
『規則違反者。罪禍の処刑を執行します』
右腕が、スパリと切れていた。




