記録91_コロシアム決勝戦開催
『さぁてさて!?コロシアムもいよいよ終盤へと突入いたしましたぁ!!』
《睡魔》達が《血の死神》を討伐する少し前。
《錬金翁》、《カタクリフト》、《風姫》の3人はコロシアムのステージのど真ん中に立たされ、あるはずのない歓声を受けていた。
「たしか、こういうコロシアムの賭けに参加するようなこの惑星の住民って………」
「俺が全員串刺しにしたわ。だから、あの歓声は全てプログラムされた偽物だぜ」
「ここまでして盛り上げようって主催者の意図は理解しかねますね」
『酷い言い草じゃないか』
スピーカーから声が聞こえてきて、その方向を振り返る。
そこには、二人の男がいた。
そこには、至る所に鎖を結び付けられた男。
顔にも包帯が巻いてあり、素顔はわからない。
ただ、その包帯がただのファッションであることは、隠しきれていない皮膚の状態から察せる。
そしてもう一人は、血塗れの聖職者であった。
真っ白な司教の服を返り血で染め上げた、物騒な格好をしている。
そして、両手からはメイスがぶら下がっていた。
「こうして相見えるのは初めてかな?《錬金翁》」
鎖と包帯の男が聞き取りにくい声で言った。
「その声から察するに、お前が《咎人》か。名前カッコつけちゃったからそれに合うようなファッションをしないとって義務感が丸出しだぜ」
「黙れ。やはり人をおちょくる才能だけはあるみたいだな」
半ギレになりながら《咎人》が言ってくる。
「それで?そちらの背教者サマはどちら様?」
キレる《咎人》を無視して、血塗れ司教へと向き直る。
「わたくしの名は、《愚聖者》。愚かなる神の遣いであります……」
「うわ、うっさんくさ!!絶対詐欺とかやる人じゃん………」
「こら《風姫》。思っても口に出してはいけませんよ」
こちらの、血塗れ司教こと《愚聖者》には《風姫》と《カタクリフト》が相手をする。
「……そのような軽口をたたけるのも今のうち。せいぜい苦しんでください………」
「……くるぞ。用意しろ」
挨拶は済んだとばかりに、《咎人》と《愚聖者》が戦闘準備を始める。
それに応じ、《錬金翁》たち3人も、その二人へ向けて戦闘態勢を取る。
しかし。
「………やれ!!《隠し能力》!!」
その瞬間、構えていない四方八方から、突如伏兵が現れる。
その数、優に30人以上。
しかも、全員が《隠し能力》持ち。
触れられれば即死だと思っていい。
だが、そんなものは《錬金翁》がいる限り通じない。
さらに、《錬金翁》ならば、『触れられれば即死』なんてものではない。
『近づけば即死』、である。
周囲から囲まれた瞬間。
《錬金翁》が一瞬でその周囲の動きに気付き、能力を展開する。
《錬金翁》は細かな糸を瞬時に作り、侵入者の前にその糸を張る。
そうすれば、侵入者は勝手に糸へとめり込んでいき、30人全員が、《錬金翁》の周辺でバラバラの肉片となってボタボタと落ちていった。
「………さすがに、不意は突けないか」
「…おい。これで、今何人の命が散って行ったかわかるか?」
「ただの不意打ちだ。さらに、我らの軍勢を目の前で皆殺しにされれば、皆殺しにし返すしかないだろう?」
「話の通らない狂人が………っ!!」
《錬金翁》の槍と、《咎人》の鎖が、勢いよく衝突した。
「………勝手に飛び立ってしまいました。待てができない、あぁ愚かです…………」
「愚かはそっちでしょ、不意打ちとか常識ある人間がする?」
「《愚聖者》。貴方は、私たちが相手しましょう」
《風姫》と、《カタクリフト》によって《愚聖者》は囲まれる。
「ふふふふふ…………。なんて可哀想……。愚か、愚か………。私が、正さなくてはぁぁ!!」
《愚聖者》も、《カタクリフト》と《風姫》に向かってメイスを乱雑に振り回してくる。
「安直ですね!!」
「私たちの能力を知らないようね!!」
《カタクリフト》と《風姫》も能力発動準備を展開し始めた。
惑星にて。
本格的に、コロシアム決勝戦が開幕した。




