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記録87_《Billie•Jean》









「おいお前ら。このポーション絶対に無駄撃ちするなよ。そうしたら俺の首が無駄撃ちになる」




「「意味わかんねぇわ!」」





 足止めから戻って一時撤退した《食龍》と《集眼》。




 もう二人ともボロボロで、そこでこの一言なのだから、少しぐらいキレてもいいのかもしれない。






 事実、《再挑戦(リトライ)》で出現したモンスターを粗方倒し終えて2対2、と言うよりも、1対1と1対1って感じだった。






 一人で《血の死神(ブラッディ・グリム)》を相手取るのは、《集眼》には少しキツかったかもしれない。






 なんと言っても、《集眼》はまだ能力(アビリティ)を発現できていない。





 刀と魔法、そしていつの間にか仕入れた多彩な銃。



 そして、持ち前の集中力と動体視力で《血の死神(ブラッディ・グリム)》と渡り合っていた。





 正直、そう誰でもできることではない。




 刀だってまだ馴染んでいない。


 魔法には限度があるし、状況によって銃の種類を変えるなんて、瞬時の判断力を持つ彼だからこそできるものだ。







 《食龍》だって、もう限界だ。




 大技用に作り出していた白龍を突っ込ませて、自身も相手を喰らい尽くすために腕を犠牲にして空間を呑み込んでいた。









 二人とも、死に物狂いで足止めをしてくれたんだ。








 ここは、一番強い俺が体を張らなきゃいけない番だろう。







「お前ら、見てろよ。すぐにポーションが必要になるから準備しておけ………」





「りょ、りょーかい………」



「ま、待てよ。一人で2体とも相手にすんのか?できんのかよ!?」







「できるに決まってる」






 振り返って、ニヤリと笑う。




「俺は四天王最強だからな」










 その瞬間、風を残して《睡魔》は消えた。





 魔法やアイテムのチカラを使って瞬時に《血の檻(ブラッド・メイデン)》の目の前に姿を表した。







「こっからは、本気無双モードだぞ」










 そういいながら、触手を持った一つ目の球体に、おもむろに手を向ける。








「《Billie•Jean》」







 そこに、生物的な強いも弱いも介在しない。




 ただ、そこに存在するものの時空を、遥か彼方の時間軸へと吹き飛ばしただけだ。






 そして、その時間軸にはもはや《血の死神(ブラッディ・グリム)》はいない。




 つまり、存在意義(レーゾンデートル)、自身を構成していた《血の死神(ブラッディ・グリム)》が消えてしまい、自身を保てなくなっている。



 遥か未来、または遥か昔に飛ばされた《血の檻(ブラッド・メイデン)》は、《睡魔》たちには観測できずに消滅した。













 そんなことも知らず、突如《血の檻(ブラッド・メイデン)》が消え去ったことに怯える《血の死神(ブラッディ・グリム)》。






 《血の死神(ブラッディ・グリム)》にこの手法は使えない。





 これは、ただただそいつの存在する時間をズラしただけで、別に倒したことにはならない。


 問題を先延ばしにするだけだ。




 だから、《血の死神(ブラッディ・グリム)》には勝たなければならない。










「できるどこまでやろうじゃないか、《血の死神(ブラッディ・グリム)》。空間を削るのは『絶対的な攻撃』って感じでダメージが入るんだろ?なら、とことん時空を切り刻んでやるさ………!!」
















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