記録68_合流
昨夜頑張ったけど投稿できなかったヤツです。
眠たい中頑張ってます………。
《七点抜刀》
能力によって、このゲームの最大許容速度まで引き上げられた速度で7回斬りかかる、風走一刀流の居合い奥義。
ちなみに、風走一刀流は、《隼鬼》が編み出した最速の流派であり、居合いと刺突、剣法という、(最後だけ流派かわからない物が混じっているが)3つの流派を鍛えていた。
彼女、《風姫》がこの技を《隼鬼》と同レベルまで早く出来たのは、インチキのおかげだった。
事象系統の能力はまだ謎が多いが、各々で格差がある。
彼女の場合、彼女自身の認識によって能力の使用に変化があった。
まず、能力による、『抜き身』の基準は二つだ。
鞘に戻っている。
もしくは、白刃である。
今回は後者で、例えば刀を鞘に戻した時。
普通は、『刀を鞘に戻した』ので、これは中身ではないと判定するが、もしも『刀を鞘で包んだ』であれば、鞘と刀の間に空間ができる。
その認識であれば、刀は白刃の状態で鞘に包まれているだけなので、この状態でも能力が止まることはない。
そうして、限界まで刀に能力を溜め込み、刀を引き抜く時に一気に能力を解放する。
すると、ギリギリ《隼鬼》に届くか届かないかの中間の速さが出せるようになる。
といった、まぁ要するにこじつけである。
ゲームのシステムでさえも『どういうこっちゃ』と戸惑うかもしれないが、これが彼女の能力なのだと思うしかない。
「そんな速さで斬ったってのにさー。斬られた後に平然と《カタクリフト》さんと喋ってるところ見ちゃうと、ちょっと凹むよなー」
「まぁ、どんだけインチキ重ねたところで、俺は《隼鬼》に対応できるから、《隼鬼》より遅いアンタに負ける心配は無いんだけどさ」
「…………イラッとしたから斬っていい?」
「さらっと怖いのやめろよ?」
と軽口を叩いていると、コロシアムの出入り口に到達した。
とりあえず、この外には出た方がいいと思いったが、コロシアムを出る直前で、スピーカーから放送が鳴った。
『残念だったな。アンタらの《実死設定》はまだ解除されてねぇ。このコロシアムから出れば1発で『現実世界』でポックリだぜ?』
「……そうか。でも、本当にいいのか?」
『あぁいいとも。直に《隠し能力》の派閥の配下の増援がやってくる。そうなったらお前ら3人共々相手してやんよ』
「あぁ〜〜。事態の重大さに分かってねぇな。残念」
『あぁ?どう言うことだ?』
スピーカーから疑問符が浮かぶ。
まぁ、しょうがないと言えばしょうがないだろう。
僕が作ったのだから、気配を消すくらいはできる。
「そのままの意味だよ。ほら、俺がコロシアムから出ないから、あっちから迎えに来ちまったみてぇだなぁ」
『………おい。おいおいまさかぁ、アイツらも来るんじゃあ無いだろうなぁ!?』
そのまさか、ってやつだったな。
「残念極まりないよ!《咎人》ぉ!!たった今、《睡魔》他、計7名!いや、6名?がたった今、この場に着いてしまったようだ!!」
その瞬間、気配遮断、または迷彩を解き、虚空から、《死の惑星》で作り上げた緊急脱出ポッドが出現した。
「おおぉ!!なんとも頼もしい限りです!!《スターロウ》さん以外!!」
「みんなおじさんにすごい辛辣だよねぇ。僕なんかやったっけ?これでも、元々《霊卓》と《女傑》が入ってたクランのリーダーなんだぞ?」
少々自信を無くした《スターロウ》だったが、《風姫》は面白いぐらいに興味津々だった。
「はわわわわわわ。ランク上位常連の《霊卓》先輩に、世界トップランカー《睡魔》先輩……。それにそれに、私が大尊敬する『美の《女傑》』先輩………。あと、ついでにそのクランのリーダーまで!!!」
「君まで僕のこと“ついで”って言うか!!」
『………やはり、この事態において、お前達は本当に気の抜けている奴らだ。それでいて、隙が無く、このゲーム内で最も警戒すべきプレイヤーの集団。最近チームを組み始めたそうじゃないか、《ドロース》だったか?』
ポッドから《睡魔》が降りてくる。
「ふぁ〜あぁ。さっきまで気持ちよく寝てたんだからさぁ。もうちょっと到着遅くするとか配慮なかった?」
「お前の都合で到着を遅くするより《錬金翁》の都合で到着を早くした方がいいだろ?」
「まぁ別にいいけどさ………。で?なんだよ《咎人》サマ」
『情報伝達もお手のもの、ね。まぁ、そこにいる3人以外はコロシアムに入ることは叶わないからな。せいぜい観客席から《錬金翁》が惨殺されるのを見届けるんだな』
「あ、じゃあそうするわ。おーい、今回戦わなくていいってさー」
「え!?じゃあ来た意味なくね?」
「私現実戻って課題とかやってていい?」
「俺たちは暇だし、《スナイパー》を見るか?」
「見たい、けど、《女傑》、来ないの、寂しい……」
「わかったわかった!課題やらずに見にいくからぁ!」
《睡魔》が不戦宣言をすると、空気が弛緩してゆったりと話し合いが始まった。
「え?え!?ちょっと!!《錬金翁》さん、なんで反論しないんですか!?私たちだけでチーター倒すなんて………」
「いやできるだろ。元々俺一人でも過剰戦力なくらいだぜ?」
「そうですね。なんならリーダー格の《咎人》さんから戦闘を始めた方がいいとも思います」
普通は“チーターと勝負”と聞くと、《風姫》のような態度が一般的かもしれない。
だが、ここにいるのは無類の最強、合法チートを駆使する四天王の一角がいる時点で、彼らの勝利は決まっているのである。
だからと言うか、この空気は普通に《四天王》二人が揃っていると言う異常な状態で起こるものであり、彼らはもはや感覚が狂っているのであった。




