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記録64_コロシアムの予選







 翌日、コロシアムの予選が始まろうとしていた。





 予選は殺すほどの激しい戦闘はしない。


 賭け金の倍率が少なかったり、まだ無名な奴が勝ったりと、ボーナスチャンスが不安定であり、予選を観にくる者は少ない。





 だが、この《コロッシウム》のコロシアムはかなり人気で、尋常でもない形相の男が少しの倍率でも着々と小さい持ち金を増やそうと四苦八苦しているところをたまに見たりする。







 ちなみに、そう言う奴らは前回の試合でボロボロに負けた奴であり、次のコロシアム本戦で盛大に賭けをしたい奴だ。





 あとは、ここの剣闘奴隷となった者の家族が心配で見に来た、と言ったところだろう。









 そう言った奴らが、予選を観にこのコロシアムに来る。




 まったく、パチンコだとか、ギャンブルだとか。



 そういった物に溺れちまった奴らってのは愚かだし、関わるのも危険だ。





 俺も大学生の時に手を出しかけて、吐き気を催して止めた。





「まさか、そんな俺が賭けに扱われるとは。どんな皮肉だってんだ」









 〉〉〉






 俺の予選試合が始まる。





「おぉ〜?あん時、《風姫(かざひめ)》にボッコボコにされちゃった例の人じゃないですかぁ〜!」







 あの牢の中での出来事を知っている人が相手か。




 あー、正体を知らないなら、油断している隙に能力(アビリティ)を使わずに倒しちまうか。






「はいはい。その件だがな、俺を雑魚だと思ってんだったら、アンタはこの試合で負けるよ」



「なんだぁ?オメェみてぇなジジイに負けるほど弱くねぇんだよぉ……。調子こいてんじゃねぇぞ老害があぁ!!!」






 その瞬間、両者、残像すら見えぬ速さで行動を始めた。








 いや、二つ間違えた。




 一つ目の間違いは、行動をしたのは一人であったことだ。



 もう一人は、その者に吹き飛ばされただけだ。







 二つ目の間違いは、この戦いは始まったのでは無く、たった今終わったということだ。







 コロシアムの壁を陥没させ、穴を開けたのは、《錬金翁》に殴られて吹き飛ばされた相手であった。





 その事実を周囲が理解した瞬間、その場の空気が凍りつく。









「なんだ司会者、あんな派手な演出いらんぞ。このコロシアムの壁は結界が貼ってあったはずだぞ、どうなってやがるんだ?」






「こ、こちらが聞きたいのですが……………」










 《錬金翁》は戦いが終わると颯爽と去っていった。




 この場にいた者、全員の視線が彼を追っていく。






 もちろん、推測《隼鬼》の弟子である《風姫》も、その試合を見ていた。






『な、何が起こった……?まったく目で追えなかった。そんなの、師匠と同レベルの速さ!!でも、そんな男がこんなところに……?わからない。彼はなんだ!?プレイヤー名もまだ聞いていない………』





 もう彼のいないコロシアムで、嵐の過ぎ去ったかのような静かさが場を包んでいた。








 次に出てきたのは、あの男と一緒に牢に入ってきた青年と、ちょっと前にここで優勝し、実死設定を外された男であった。







「おうおう。まさか、優勝候補の俺に当たったまうとは残念だったな。すまないが、あんたにはここで終わってもらうぜ」






「いちいちうるさいですね。優勝候補だろうがなんだろうが、かかってきてください。そんな子供騙し、効くわけないでしょう」




「………てめぇ、忠告してやったのにその態度は………なんだあぁっっっ!!!!!」










 呆れた物言いをする《カタクリフト》に相手は攻撃を始める。






 だが、《カタクリフト》の方が実戦慣れしたいる。



 《四天王》の戦いを近距離で体験しすぎて埋もれているが、彼のチカラも大概なものだ。





 優勝候補(本当)の相手はジグザグの突進の後に、攻撃範囲まであと一歩の地点まで距離を縮めた。




 だが。














「じゃあな、優勝候補」





 そう言うと、《カタクリフト》が指で銃を作り指先を相手に向ける。






「一体お前なんかに、何ができ、るん………だ……………?」








 あと一歩歩むことができれば、彼は攻撃することができただろう。




 だが、その一歩を歩むことができなかった。





 眼前の指先に出てきているのは、謎の光球。



 いや、超熱量の塊だ。







 次の瞬間、相手の彼が見たのは、圧倒的『白』の世界であった。









「があ………あ、あぁ…………………」




 相手の男は上半身が半分ほど溶け、それ以外は真っ黒に焦げていた。





「ま、力試しでここ来てる奴はこんくらいなのかな。ここはそんな甘い世界じゃないらしいから、帰った方がいいよ、君」





「く、そぉ、おぉぉぉぉ………………」









 そう言うと、《カタクリフト》はつまらなさそうに《錬金翁》と同じ方向へと向かっていった。







 その時、《風姫》は焦燥していた。



『マズイ………。私がいる時に限って、こんな奴らがいるなんて聞いてない………』








 真っ青な顔をしながら、頭を抱えていた。





『あんな男達に勝てっていうんですかぁ師匠…………』



 どこからか、『ソウダヨ』と言っている師匠が連想された。







 〉〉〉
















「星長、ご報告です。先日、違法入国の疑いがある者達を捕え、ただいま剣闘奴隷として飼育中です」






「どのような者達だ」





「片方は、《錬金翁》と呼ばれる老人で────」





「!?!?事情が変わった!!早急にコロシアムの優勝者を出せ。今すぐだ!!今回のコロシアムは短縮型で行う。だが───」










 星長はニヤリと笑い、デスクの上で手を組む。









「もっと面白い余興を、思いついたんだ」





















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