記録61_《コロッシウム》
新章突入!!
頑張りますが、誤字があったらどんどん教えてください!!
「にしても、これからどうするんだよ」
緊急で作った脱出ポッドの中、当然の疑問が浮き出た。
まぁ、現状を見れば当然の疑問だ。
だだっ広い宇宙の中、延々といろんな惑星を横目に見ながらポッドは宙を走り続けている。
「とりあえず、《錬金翁》の本体と合流したいな。どっかの惑星で落ち合おう」
「じゃあ、《ウォーマー》とかダメなのか?《鋼鉄魔人》さんよ?」
「ダメに決まってるだろ。お前たちが街を壊したせいでただいま復興中だ」
「えぇ〜。俺の拠点あそこにあるんだけど!?」
さっきまで寝ていたはずの《睡魔》が飛び起きて言う。
「え〜、ぢゃあどうすんのよ。レンゾーちゃんと会えないじゃん」
「え?美花、今レンゾーちゃんって言った?《錬金翁》のじっちゃんのことを?」
ただいまの彼らは切り替えがオフのモードであり、《ゲーム名》ではなく本名で呼び合っている。
「おいおい。とりあえず落ち合う惑星を決めようぜ。今近くの惑星に着陸するから、ちょっと待っててくれ」
そういうと、《錬金翁》………もとい、真竹 蓮蔵は言った。
立体型マップを広げるが、そこで《錬金翁》に異常が出た。
「え?早くも異常事態発生?勘弁してくれよ?」
「そう言われても!何か起こったのはしょうがないだろ!!こっちも何が起きたか全部把握できるわけじゃ無いんだ…………あ」
「ちょっと?今アウトな声聞こえたけど!?」
「美花。もう諦めよう」
《錬金翁》は《霊卓》にさえ呆れられる危機管理能力であった。
「すまない………。面倒な惑星に入った………。そこで落ち合おう」
「身動きは取れないのか?」
「あぁ、久々に声を聞いたと思ったら《スターロウ》か。ほら、《コロッシウム》だよ。流されてたらゲート以外から入っちまった」
《コロッシウム》。
日々、殺し合いを見せ物、賭け事として扱うその界隈じゃ有名な惑星。
だがその分、入星検査もかなり厳密に行われていて、その領空にある宇宙空間の中に一定数あるゲートからしか出入りできない仕様になっている。
ゲート以外から出入りすると………。
「警報が鳴って、すぐさま犯罪者扱い。身柄を拘束されて剣闘奴隷の仲間入りって感じだ」
『え、それって私たち、もう終わりじゃないですか!!』
ネット通信で繋げた《カタクリフト》も困惑の様子である。
「《錬金術》の能力で作ったポッドや分身体は、消えたり使用不能になったりはしないが、それでも俺たちが剣闘奴隷に成り下がったのは頭に入れておいてくれ」
そう言うと、《カタクリフト》からの連絡が途絶えた。
「あー。警報を察知した奴らがきたみたいだ。ちょっと揉めてる。早く着いてくれよ?真人」
「知るか。俺は寝る。ポッドの操縦は自分でやりやがれ」
「世知辛いなぁ……」
そういうと、《錬金翁》はポッドの操縦に専念して、《睡魔》は寝始めた。
〉〉〉
「あのー。僕ら、助かるんでしょうか?」
「さぁ?今後の俺らの活躍次第なんじゃない?」
《コロッシウム》、牢獄内。
剣闘奴隷は牢獄に入れられて、見せ物にされながら死ぬ気で闘う。
勝てれば自由、さらには多額の報奨金によりガッポガポ。
ただ、負ければ死。
もちろん、《実死設定》により、現実でも死ぬことになる。
このゲームに脳波が導入されてから、《実死設定》は情報の漏洩防止の為に、裏社会では必須の契約へと変化しつつある。
まさに一世一代、天国と地獄の賭けだ。
そんな中、それが嫌だと反抗する奴もいる。
「コラーッ!出せーっ!出してください師匠ーーっ!!ふざけて斬撃でズラぶっ飛ばしたのは謝るからさーっ!!」
「う、うるせぇうるせぇ!!お前何回ここ放り込まれてんだ!!」
「ふえぇ、助けてくださいよう。こんなところで授業だとかあの野郎正気じゃねぇ!!」
「………荒れてるな」
「安心しろ。ここじゃアレが普通だ」
そう言いながら《錬金翁》は立ち上がり、フラフラとその輪の中に近づいていく。
「おいおいお嬢さん。まぁたここ入って来たのかよ?」
「おぉ?ナンパか?てか、よく一目で女だってわかったな」
「まぁ、実力には自信があるんでな」
そう言うと、途端に周囲からの目線が冷める。
「あー。力試しでここ来てるんだったら、もうやめときな。ここはそんな甘い世界じゃない」
「へぇ。お嬢さんを見てたらそうは思えないけど」
「これ見ても、そんなこと言える?」
そう言われた瞬間、どこからともなく、神速の刃が《錬金翁》を襲った。
「ま、見えてないか。やりすぎちった」
そう言うと、周囲の剣闘奴隷の冷めた目線が急に暖かな雰囲気に変わる。
「新人相手にやりすぎだー!」
「もうちょっと手心加えてやれよ!優勝常連!!」
「師匠に手加減の仕方教わらなかったのかー!?」
「いやぁ、たまに手加減すると鈍っちゃうじゃない?それそれ!!」
そう言った雰囲気でヘラヘラと《錬金翁》に背を向けて帰っていく。
神速の刃に切り刻まれた《錬金翁》はその場に倒れ伏していた。
「いやいや、何やってるんですか。早く行きますよ」
「っ!!しーっ!静かにしろ!」
《カタクリフト》が伸ばした手を、《錬金翁》は振り払う。
「こういうのは、顔を立ててやるんだよ!!じゃないと今後やりにくくなるだろうが!!」
「時すでに遅しってわかってます?」
《錬金翁》なりの気遣いに呆れる《カタクリフト》。
「てか、何やりたかったんですか?」
「いや、《実死設定》がされてるなら、ここを何度も挑戦してる奴らは、何回もここで勝ってるってことになる。看守に何回目が数えられないほどここに来てるあのお嬢さんの実力がどのくらいなのか、知っておきたくてね」
「そう言えば、今『優勝常連』って言われてましたね」
「あぁ、だから試した。ここの殺し合いがどのレベルなのかをな」
「で?どうだったんです?」
「あの程度なら、楽勝だな」
ニヤリと、大胆不敵に《錬金翁》は笑った。




