記録60_死の惑星
心優しい方、誤字報告のご協力をよろしくお願いします。
作者自身は誤字に全く気づかない人間なのです………
「《錬金翁》の本体が分身を操作してた場所に潜入してきた。《引力核》とは入れ替わりだ。まぁ、これからアンタがやる事に巻き込める範囲だったから別に良いけどな」
《潜伏者》がいきなり出現して《ドクター》に報告する。
「あ、そっかそっか。やっぱり自分の惑星だもんね。やっぱり《錬金翁》の本体も自分の惑星に置くか」
「………何を言ってる?そもそも、どうやってあの部屋を見つけた!?」
《錬金翁》が問えば、《ドクター》がさも当然のように返す。
「どうやってって。君、僕に拉致されてボッコボコにされたでしょ?その時よ、その時」
「………あの一瞬で、か」
「そ。接触した瞬間に分身体に接続して、分身体から繋がってる本体の位置情報引き出して、暗号計算して位置情報割り出して、即時《潜伏者》に連絡。ってね?」
簡単に言うが、常人にできて良いことではないのは確かだ。
俺だって、逆立ちしてもできる気はしない。
俺の使用している暗号は、1秒につき答えが変化する最新式。
スーパーコンピュータでも手こずるレベルの暗号だ。
だから、暗号を計算したのはコンピュータではない。
《ドクター》自身だ。
1秒足らずで暗号を解読、そしてその片手間に『最強』と呼ばれる《錬金翁》の相手だ。
流石の《睡魔》でも、ここまで人間離れした芸当をできる人間は少ない。
まぁ、何てったって、《ドクター》、彼は………。
「まぁ、そっか。《引力核》、この惑星の中にはいるんだね?」
「アンタが引き出した情報だろ。間違いはなかった」
「じゃあ、もう始めるか」
そういうと、右の袖をまくり、腕をあらわにしていく。
「………あ。ヤバ。逃げろ」
《睡魔》はいち早く危険を察知して、逃亡を図る。
「全員!この惑星から離れろ!最悪、巻き込まれて終わりだ!!」
《ドロース》側の人間は、ほぼ全員頭に『?』を浮かべていた。
だが、次の一言で、事態が変わる。
「アイツの───」
「僕の能力。それは、《法皇》。能力の詳細は………」
「このゲームに存在するすべてを書き換えるチカラだ」
《ドクター》が惑星に手を置き、《法皇》が発動する。
「まずは、この惑星の改変。錬金術によって生まれた生命溢れるこの惑星を、死の星に変えてやるのさ」
《ドクター》が触れた付近の地面から、真っ赤な地割れが起こり始める。
「さぁ、変革が始まった!これが、私たちの、私たちのための誇示曲さ!!」
みるみるうちに、惑星は赤黒く染まっていく。
《隠し能力》派閥は全員《翔身》により撤退していた。
そこには、終わりを迎えた惑星と、それを見届ける《ドクター》、そして《ドロース》の面々
「アイツ……最初からこうすればよかっただろうが……!!」
「いや、あれでは無機物はすべて破壊されてしまうからね。《賢者の石》は保管しておきたかったんだろう」
徐々に迫り来る、《死域》と同等な黒の大地から逃げながら、《霊卓》は愚痴を吐く。
そうこうしていると、逃げている最中に《錬金翁》が作っていた脱出用ポッドが完成した。
「これに、全員乗れるはずだ。安全な惑星まで移動するぞ!!」
「アンタ、自分で買った惑星だろ!見捨てていいのかよ!?それに、本体は!?《カタクリフト》も一緒だったろ!?」
「もう、アイツのせいで惑星の所持権さえ改竄されてるよ。もう俺のもんじゃない」
ちょっと遠い目をして別れを悲しむ《錬金翁》。
当然だ。彼にとってあの惑星ははかなりの時間を共にした実家だ。
「《カタクリフト》の方は安心しろ。そっちも別途、脱出ポッド作ってるから、また安全なところで落ち合おう」
そういうと、全員が乗ったことを確認し、脱出ポッドのエンジンを入れる。
ホバーを始め、ものの数秒もせずに惑星から離れることができた。
背後には、《錬金翁》の力作《断罪の巨城》がなす術なく悲鳴をあげて崩れていくところが見える。
「なんつーか、呆気ないな。結局《引力核》は回収できなかったし………」
「まぁ……な?ヘマしてくれて、案外コロっとアレに巻き込まれてるかもよ?」
危機的状況から脱した一向は、一時的に安堵に包まれていた。




