記録59_対等な関係
「よぉし開いたぞ!とりあえず一瞬だけだから早くしろぉ!」
《食龍》が叫んでいる。
いつの間にか、俺たちは《龍喉》が開いた当初まで戻ったらしい。
「……チート、がぁ……………」
ボロボロになった《引力核》を片手に引き連れて。
「コイツの、処遇に、ついて、なにか、考えてる?」
「そうだな………。《隠し能力》派閥の情報も取り入れたいし、こっちで捕えておくか」
そういうと、余っていた分身体の《錬金翁》を引き留め、《引力核》を預けた。
「コイツを、お前の本体があった場所に安置しておけ。時間が経てば取りに行く」
「イエス」
そういうと、流体でできていた《錬金翁》の身体に《引力核》が取り込まれていき……。
やがて《引力核》は完全に取り込まれて消えていた。
「……ヤバいな。今のトラウマになりそう」
「安心しろ。俺も昔そう思ったが、夢に出て来たことは風邪で弱ってる時の2回だけだ」
「それつまり悪夢じゃん。体験談じゃん」
《睡魔》はその話だけすると、すぐに屈伸をして飛び出した。
「んじゃ!俺は《ドクター》の相手があるからこれで失礼させてもらいやーーす!!」
「おう!うまいことやってくれよ!!」
こうして、《スナイパー》《鋼鉄魔人》《集眼》VS《引力核》は、《睡魔》の介入により呆気なく幕を下ろした。
〉〉〉
そして現在。
「なんなんだよ………、ほんとに………使えない野郎が………!!!」
おそらく、他の奴とは違い、《引力核》は協力者だったのだろう。
他のやつは最近始めたような雰囲気のある動きや知識量だったが、《引力核》はゲーム内暗殺者グループのリーダー。
つまり、かなり初期からこの業界に入っていることになる。
つまり………。
「あの二人のみ、対等な関係で契約を結んでたわけか………」
可能性としては、十二分にあり得る。
そうなれば、話も少しは変わってくるだろう。
元々、《ドクター》のワンマンチームではなく、《ドクター》&《引力核》で協力しあって動いていたのならば、それによって生まれる利点がかなり多かったはずだ。
《ドクター》があそこまで悔しがるほどの、大きな利点を《引力核》が持っているとするならば、今、彼を捕獲しておくのは最も賢明な判断だ。
なら、この状態を保持したまま…………。
そう思った瞬間、引き下がっていた《集眼》が出て来た。
「やられた!《睡魔》!!もう終わりだ!!!奴らは、『目的』を達成した!!」
「………?どういんこと………っ!!」
その意味は理解できた。
もともと、《翔身》は本部にも分身体が残っており、本部に残っている仲間たちを緊急出動させることも可能だった。
「おい!そこにいるんだろう!《隠者》!!!」
《集眼》が言う、認識できない能力者。
俺たちにはわからないが、きっといるのだろう。
「全く、何で毎回、あんたばっかりにバレるんだろうな。あと、訂正だ。《隠者》は能力名であって、ゲーム名じゃない。ゲーム名は…………」
そこで、《睡魔》たちにもようやくわかる程度に、影の濃さを調節した。
「《潜伏者》、だよ。まぁ、ほとんど変わらない気もするけどね」
《隠者》こと、《潜伏者》は、《賢者の石》を片手に携えながら出現した。




