記録57_《龍喉》を通らなかった者達
タイトルそのまんまだな…………
「うまく行った!さぁ、逃げるんだ!!」
時空に開く穴、《食龍》の開いた《龍喉》により、多くの戦場が《睡魔》のいる《森林エリア》に移っていた。
だが、移っていない者たちは、2ペアあったのだ。
1ペア目は、先ほどの戦いで勝利した《死神》《錬金翁》《カタクリフト》のペア。
そして2ペア目はお察しの通り、《引力核》《スナイパー》《鋼鉄魔人》《集眼》のペアである。
「チッ。まだそんなもん隠し持ってたのか………。でもあっちにさえいけりゃあ、《ドクター》と《マスター》で早く決着がつきそうだな」
そう呟いた瞬間、《引力核》は《龍喉》に向かって走り出した。
「お前らに逃げる形に見えるかもしれないが、俺はあの穴から《ドクター》のところに行くぜ!!じゃあな!哀れな野郎ども!!!」
急な方向転換と軽くなった足取りで素早く《龍喉》に進む。
「やらせるか…………っ!!!重……いっ!!」
《集眼》も《鋼鉄魔人》も、《重力》によって動きを封じられていた。
効果範囲は、彼の視界の中のみに限定されているようだが、あともう少しすれば動けるようになるはずだ。
だが、彼は絶対にそうなる前に逃げ切るだろう。
と言っても、コチラもみすみす逃すような甘い連中が来ているわけではない。
とりわけ一人は、《引力核》への憎悪でいっぱいであった。
「させ、ないに、決まっ、てる………!!」
超超遠距離狙撃による攻撃。
さらにはしっかりとド真ん中にぶち込んでくるあたり、彼女もさらっと人間を辞めているだろう。
だとしても、《引力核》はそう何度も同じ手にかかることはない。
「見え見えの見え、なんだよね。殺気」
振り向きざまに重力が発動し、高圧により弾丸が宙空で止まる。
「誰も止められないねぇ。俺もう《龍喉》行っちゃうよ?《ドクター》に泣きついて来ちゃうからねぇ?ま、君たち、僕に全く歯がたってないから別に泣きつく必要もないんだけどさ!!」
「あっそ。じゃあ、行けば?行ければ、の話だけどね」
「あっははは!!なに今強がってるわけ?いっみわかんねぇ〜〜!!じゃあ、僕はもう行くか………ら…………………」
「行けるかどうかは、目の前のそいつに聞いてみな」
《集眼》がニヤリと笑い、それと同時に《引力核》の足元に影が落ちる。
「《デルマノイドの巨人》……っ!!とことんっ!!僕の邪魔をしてくるな……………」
振り上げられた拳を軽々と避け、嘲笑する。
「でも残念、僕には意味のない足止めっぽそうだね」
「だから、それは目の前のやつに聞いてみろって言ったんだ」
意味が分からず指示通り前を見れば………………。
《デルマノイドの巨人》の他に一人、とある青年がいた。
変幻自在の鎧に身を包んだ、最強の男。
「ま、ゴミ処理は積極的にやらなきゃだよなぁ。お前もそう思うだろ?《引力核》さんよ?」
《龍喉》の向こうで《ドクター》と戦っていたはずの《睡魔》が、そこにいたのであった。




