記録53_《死神》
「何やってたんだろうな、俺」
高校時代を思い出す。
ゲームにかまけるだけじゃなく、みんなと遊んで、馬鹿みたいなことして、色々なことを学んでいった。
それが気付けば社畜みたいな人生送って、そこから逃げ出すためにゲームでチート使って。
ゲーム内とは言え、上司を倒してるわけだ。
社会的にはもう終わりだろうな。
いや、もしかするともう警察に指名手配されてるかもしれないな。
「そうだ。どうなったんだっけ」
上久は《メビウス》のバイザーを拾う。
覚えているのは、予定にない《練金翁》との戦いにストレスを感じて怒り始めて、なにかよくわからない刃物が地面から出てきて………。
「そうだ、《練金翁》に、バイザーを取られたんだ」
あの時《練金翁》が狙った一撃は、メビウスの完全再現性を利用した強制ログアウトである。
頭頂部側から首元に突き刺さるように一撃入れることにより、フルヘルメット式バイザーの機能により首元に引っかかるように攻撃が再現され、必然的にバイザーは押し出される。
それを狙った、的確な一撃を入れられた。
これは不正ではない。
れっきとした戦略の一つであり、俺はそれに敗れた。
このゲームは、ログアウトで逃げられないように、ログアウト後も攻撃ができるように設定してある。
例外は、宿屋や自身の拠点のベットくらいだ。
「…………いやぁ。終わったわけだ。俺の人生」
《メビウス》にログインはもうできない。
あのブラック企業にも、長いこと顔を出してないからもう解雇されているだろう。
なんと言うか、俺があの能力で終わらせてきたアカウントも、こんな絶望感を味わっていたのかもしれないな。
「ったく。《死神》が、この有様ってのは笑えるな」
元《死神》である西方 上久の物語は、コレで終わった。
〉〉〉
「もう、《死神》は起きることはない。《死域》も解除した。《死神》のアバターを使っていたプレイヤーも二度と………………………」
「えぇ。その通りですね。ですが、私たちに、彼をどうこう思う権利はありません」
「……それもそうか」
《練金翁》と《カタクリフト》は、動かなくなった《死神》の傍らで、これからの作戦会議をしていた。
「気づくかは別として、チャットで終わったって連絡すれば、《食龍》が時空穴を開けてくれるかもしれないが………」
「《食龍》とチャットが繋がってませんよ?まさか………」
「あぁ。俺も繋がってない」
「「はあぁぁぁ〜〜〜……………」」
「とりあえず、俺はあっちの増援を『作る』。お前は何かしらの方法を考えてくれ」
「『断罪の巨城』をそのまま攻略するのは………」
「だめだな。本気で走っても丸1日はくだらない」
「じゃあ、なにか方法を模索するわけですね……………」
これ以上は語らないが、彼らが《睡魔》と合流するのは、まだまだ先の話であったとだけ言っておこう。
あけましておめでとうございます!!
今年も拙作をよろしくお願いします!!




