記録51_対処法
「さて。《死神》を倒す策だが、何があると思う?」
「私は思いつきませんよ。もはや満身創痍、できるものもできない状態です」
「だよなぁ。正直、あの刃の蓮撃をくらってたらそりゃあ参るだろう。俺はまだまだ行けるが、お前は退いといた方がよかったかもな」
《死神》から距離を離して作戦会議をする二人。
ふと、《錬金翁》が思いつく。
「待てよ。そういえば、さっきからずっとうめいてる状態が続いてるよな?」
「えぇ。確かにそうですが、そこに何か問題が………」
「問題だらけだろうが。これはゲームだぞ」
「………そうか。これほどまで精神に傷つける何かが、ゲームに存在するはずがない。つまり………」
「バグか、現実事故か。どちらにせよ、尋常じゃない被害が出てるのは俺らじゃなく、あいつだと思った方がいい」
ならばいったい何が彼に起こっているのか。
それを解明するのが、今の彼らの、唯一の勝機だと確信した。
「よし、《カタクリフト》はそれの解析を続けやがれ。俺は………」
うめき続ける《死神》に向きなおる。
「クソッ、クソッ、クソ!!クソクソクソクソッ!!!クソ野郎共がああぁぁぁ!!!」
《死神》の凶刃が《錬金翁》を襲う。
その凶刃は《死域》のチカラなはずだ。
つまり、彼は必要ないからしていなかっただけで、やろうと思えば何重にでも《死域》を展開できていたのか。
まぁそれも、能力のデメリットのインターバルがなければの問題だった、が。
ちゃんと今の彼は、リミッターが外れ、能力のデメリットを克服し、何重にも重ねて《死域》を発動していた。
射線上にある全てのものを砕いて、その凶刃が《錬金翁》の首元に届き………。
「…………ハッ。そうかよ」
その凶刃を蒸発させた《錬金翁》が《死神》に向かって歩みを始める。
「お前、そんなに俺が嫌いかよ!!」
両手を仰ぐように上げ、周囲の大地を原子レベルで分解し、その全てで、巨大で鋭利な針を作り出した。
「高分子レベルで結合した巨大針………いや、槍だ。《練槍》の強化版、お前の身をもって実力を検証してやる」
計6本。
それぞれが各方向に展開し、《死神》を穿たんと狙いを定める。
それに対抗するべく、《死域》の凶刃が刃を伸ばし、《死神》付近は近づくことが死を意味するほどの激戦区と化していた。
それに合わせ、《カタクリフト》が観察し、それを《錬金翁》に伝える。
パキリ、と言う音がした。
そこに明確な目的があったわけじゃない。
ただの『勘』だ。
理性と本能の間で考え得た可能性の一つに過ぎなかった。
だが、それは功を奏した。
「……………ビンゴ、か?」
彼の《死域》の刃を掻い潜った一本の槍は、《死神》の顔面に強い衝撃を与えた。
《死神》が受け身も取れず後ろに倒れる。
顔面に衝撃も受けたのだから、物理的にも。
「がっ……!」
そうなっても、彼は攻撃の手を止めない。
凶刃を分解していきながら、《死神》へと距離を詰める。
「多分、ここら辺だな」
そうして彼が次に攻撃を放ったのは………。
頭頂部側から、後頭部を一閃する槍であった。




