記録50_真の決戦
「よぉし開いたぞ!とりあえず一瞬だけだから早くしろぉ!」
《食龍》が叫ぶ。
その瞬間、《食龍》側の時空穴の付近で激しい戦闘が起こった。
「……はぁ?早くないか!?まだもうちょっと時間かかるはずだぞ!!」
《ドクター》が戸惑う中、戦闘中の《食龍》が出てきた。
「合流できた!ここからは…………」
「総力戦だろ!!」
《食龍》の作った時空穴から続々と敵と味方とが戦いながら出てくる。
だが、約3名。
出てこない奴らがいた。
「おい!《錬金翁》!《カタクリフト》!そんな廃人は後でどうにでもなるだろ!!早くこっちに………」
「残念ながら、私はそんなことができるほど、仲間を軽く見ていません!」
「なに……何があった!?」
「見てわからねぇか!こっちじゃ《鯱鉾》が犠牲になってんだ!こいつ倒してから行くから先行っとけ!!」
《睡魔》側にいた者は誰もこっちの被害については知らない。
「でも、《断罪の巨城》の中のどこにいるのかわかんのかよ!ここめっちゃ広いんだぞ!!」
「そんための《錬金翁》だろうが!俺が案内するから!その穴は閉じてもらって構わねぇ!!」
この惑星全体であれば、《錬金翁》の知覚内だ。
どこにいようといつでも見つけられる。
「………わかった。じゃあ、必ず戻れよ!!」
「あぁ!約束する───っ!まずい!早く閉じ………」
「《死域》」
《死神》、史上最大範囲の《死域》。
そして、その《死域》が《食龍》の空けた時空穴を通る。
その瞬間、広範囲に渡って《死域》が展開される。
「!?」
「《死域》が時空穴を通して《睡魔》側も範囲に入ったことで、《睡魔》側から、こちら側まで。範囲全てが《死域》の範囲内になったってのか!?」
《死域》の範囲の中心にいる《カタクリフト》と《錬金翁》はもはや逃れる術はない。
「私はもう《機械化》ができません。私は次の《死域》でゲームオーバーです」
「実は、それ俺もなんだよなぁ」
《錬金翁》が宙空をタップすると、そこには《断罪の巨城》のマップが映っていた。
「俺も、ここから逃げきれないし、この《死域》は「近いやつ」から順に、少なくとも「20体」以上は即死だ。俺もそんなのは凌ぎ切れる自信がねぇ」
「ですが、かと言ってここで時空穴に入って、時空穴を閉じてもらっても、彼を放置するのは………」
「あぁ、後々厄介な障害になる」
「ならば私たちは………」
「あぁ、次の大型《死域》がくる前に、《死神》を戦闘不能にする。それが第一目標だ」
《錬金翁》と《カタクリフト》。
それぞれ覚悟を決め、《死神》を見据える。
「さて…………次会う時は《死神》を倒した後になるが………行けそうか?」
「当然、ですよ」
2対1。
後に周囲全体を巻き込むこととなる、《死神》との真の決戦が、今ここから始まる。
〉〉〉
「時空穴、閉じるぞ………」
《死神》と《カタクリフト》、《錬金翁》を見つめたまま、時空穴は閉じる。
だが、赤透明に光る《死域》の範囲が狭まることはない。
「《死域》の中に入れば、能力発動したら即死の能力だ。一旦退避ーッ!」
《睡魔》の掛け声により撤退を始める《睡魔》一派。
もちろん、その後を追いながら《ドクター》一派が追撃を仕掛ける。
その中でも苛烈を極めているのは、《引力核》VS《集眼》、《ドクター》VS《睡魔》の二つであった。
両者、他を寄せ付けない戦いをしている《ドクター》VS《睡魔》はわかるが、《引力核》VS《集眼》はと言うと………。
「おいおい!その程度かよぉ!?」
「………なんなんだよ。なんなんだよぉ!それ!!」
押されているのは《引力核》。
お得意の近接格闘術で重い一撃を喰らわせてやろうと思っていたにも関わらず、その一撃はある物によって止められた。
それは、縄である。
「その縄……………………なんだ?能力が使えないような………」
「ハッ!そのまさか、なんだよなぁこれが!」
鼻で笑いながら、先ほど《錬金翁》の分身に渡された縄を巧みに操っていく。
《錬金翁》コピーが預かっていた、《隠し能力》対策の一つである。
《ドクター》VS《錬金翁》の時の拘束に使われた、あの能力潰しの縄を、《賢者の石》と共に回収していたのだ。
能力を封印された《引力核》は能力を使えず一方的にやられていたのだが。
「ほいほーい。加勢入りまーす」
そこにやってきたのが、分裂した《翔身》であった。




