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記録41_最強とは、彼




 《マスター》VS《睡魔》サイド





「oh………危ねぇよ真人……」


「おー、ナイスガッツー」





 《霊卓》である彼は、《マスター》の影大砲をくらって生きていた。



 いや、厳密には躱していたのだが、それでもナノ単位でズレていたらちゃんと当たって、今ではログアウトしていただろう。






 まさに、ギリギリの瞬間であった。






「よくやったぞー《霊卓》ぅ。あとは任せておきんしゃーい」


「常々思うが、あんなやつが最強とか納得できねぇ」




 《ビリー・ジーン》を使わずとも、彼は最強たりえる強さを持っている。




 例えば、武器。



 彼の愛用する《地獄の門》と《アイギス》。






 片や、使えば斬った相手を片っ端から地獄へと引き摺り込む魔剣。



 片や、どのような形でも再現できる変幻自在の鎧。





 所詮武器の力、と思うが。


 アレは超高難易度ダンジョンの世界初クリアにより世界に一つのみの武器であり、能力はチート級。




 それに、ある程度の実力を持っていなければ逆にプレイヤーが呑み込まれるとかいうペナルティ付きだ。




 そんな剣にであっても、『まだ火力が足りない』と言いながら改良に改良を重ねた剣だ。








 例えば、身体能力。



 あいつは、中学まではわからないが高校の体育の成績や座学の成績はほとんど満点に近かった。






 それに、満点を逃した理由は居眠りのみ。


 それ以外は全て模範的な生徒のそれを指していた。





 動体視力がよければ、反射神経も並ではないし、運動神経もそこらのスポーツマンを凌駕するほどで、筋肉量でさえボディビルダーよりも重いベンチプレスを持ち上げられる細マッチョだ。






 本人曰く、これが英才教育のチカラらしい。


 父に仕方なくやらされて全てできるようになったと話していた。









 それらの要因に、プレイスキルにプレイヤーレベル、最強スキルが合わさり、合法チート野郎が完成するのだ。






 そして、今回も。






 どれだけ優勢であった敵でも。

 絶体絶命の危機に立たせてしまうのだった。










 〉〉〉













「チッ………影大砲を外した……!!」




 大砲が終わった直後、何か細長いものが飛んできた。






 神経であった。


 《女傑》の神経が休むことなく《マスター》に襲いかかった。


「チッ、避けられたし」







「やっば」




 瞬時にまずいと判断して、また影人形の生成を開始した。





 さすがは《隠し能力(チートアビリティ)》と言うところか。



 先ほど影大砲を使用して、その直後に無限に湧き出る影人形。




「制限なんて無い感じで豪華に使うよね……!」



「実質、コイツはチートなんでね。制限があったらちょっと弱いだろ?」













「へぇ?じゃあ、俺の相手もできるのかぁ」


「!?!?」







 死角から現れたのは、《睡魔》。



 影大砲とさっき《女傑》に出した大量の影人形によってわからなかったが、今回はわざと最後の最後で見つかるような軌道で動いていた。




 そう、見つかることも計算のうちに入っていたのだ。








 《地獄の門》が《マスター》の肩に迫るが、体を振り抜いて《地獄の門》の直撃は避けた。





 それでも、やはり服などによってかすってしまったところもあるみたいだ。




 《地獄の門》に切られた部分は黒くなったあと、塵となって虚空へと散る。



 ちょっと、《マスター》の背広の肩の部分が黒くなっていた。







「まだまだいくぞっと」



 展開された《アイギス》の背中部分を槍に変え矛先を《マスター》に向ける。



 すぐに《マスター》は身構えるが、見てから身構えるのであればそれはもう遅い。








 《マスター》を襲う無数の槍。



 一本でも当たれば即死だと思った方がいいだろう。



 あの槍は今ものすごい回転をしながらこちらを追ってきている。




 今あの槍にかすりでもしたら、かすったところ周辺の肉があの槍に抉られて持ってかれるだろう。










「…………いや、これはもう無理ですね」







 数回躱したあとに気づいた。



 いつのまにか、回転槍に囲まれていたのだ。




「う〜ん。なら、こうするしかないですね」





 体から影人形が生えてきた。





「うわ気持ち悪っ」


「私からすればあなたの方がよっぽど気持ち悪いですよ」






 影人形を次々と増やしていき、囲まれた空間内を影で満たして無理やり槍を押し返そうとした。






 だが、その槍の空間が縮小を始め、影は跡形もなく槍に削られていった。



「なっ!?は、早く脱出を……クッ、どうすれば………」




 この槍……《アイギス》は、自動運転などにはならない。


 つまり、槍がずっと回転しながら追ってくる状況を作るとなると、ずっと《睡魔》の頭の中で回転した槍を操作することを意識しなければいけない。







 普通の人であれば、この槍一本で相手を追うだけでもかなりの神経を使って、動けなくなるほど周りが見えなくなる。






 彼は、それを回転させ、何本も動かしながらも、それでも尚、自身で戦うことができるのだ。








 彼の思考速度が速すぎるのだ。





 本当であれば、二手も三手も先を読まれて手のひらで踊らされているのだろうが。




 あの《アイギス》を使うことで、ハンデありで戦っているようにも見えてしまう。











「早くしろぉ!!クッ、大砲!」





 先ほど《霊卓》に使った影大砲の準備を始める。


 さっきより急いでいるからか、ものの数秒で完成した。



 大量の影が発射されるが、最早その程度では傷つかない。




 ゆっくりと、砲身が削られ始めた。


「なんでだよ……なんでだよぉ!!!!」















 かつて、《睡魔》と《霊卓》が戦った時。




 《霊卓》が最初に思ったのは、『勝てない』だ。






 どう頑張っても勝つことはできなかった。













 だって、真人は、自分の考えることを全て、見通してしまうのだから。








 その時の面影を見て、再び《霊卓》は彼を畏怖した。




「なんだよアイツ………」














「最強じゃねえか」




 自分が負けた時に言った言葉と、今の言葉が重なった。



















 いつの間にか、槍の空間はもう人一人すら入らないほどの空間しかなかった。




 槍が全て消える。






 そこには、誰の人影すらも存在しなかった。














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