記録38_《死域》
《食龍》戦場付近、《死神》対《カタクリフト》&《鯱鉾》にて。
「はぁ……。なぁ、面倒だから一気にやってくれないか?《死神》………」
《翔身》が《引力核》ではない方の仲間………《死神》に向かって言う。
だが、どのような能力であっても《死神》の《隠し能力》も万能ではない。
その、《死神》の能力は………。
「《死域》」
死を司る、領域の展開。
それが、《死神》の半径5メートル内に作られる。
その領域内に足を踏み入れたものは、どんなものであっても命を握られる。
「……この領域は……!!」
可視化された領域の境界を見て、《カタクリフト》は思考を巡らせる。
《カタクリフト》、能力は《機械化》。
自身の肉体を機械化できる能力である。
《カタクリフト》は、領域に入った自分、領域の名前、領域の狭さから考えて、ある一つの考察を導き出し、その対処を実行した。
その長さ、約1.2秒。
その時間は、《死神》が能力を発動するのには、充分すぎる時間であった。
《死域》が、発動された……。
「っ!!!…………っふぅ……」
「おいおいぃ。そこは潔く死ぬのが一番だぞぉ?」
《カタクリフト》は《死域》を、《死神》が能力を使おうとしたその時に発動する、即死の領域である、と判断した。
そのため、《カタクリフト》は《機械化》により自身を“生物”と“非生物”の中間程度の、曖昧な存在にすることで《死域》の能力を受けなかったのだ。
「隙……あり!」
突如、《死神》に槍を模した水が飛んできた。
当然、《死神》は避けるが、その後にも槍を猛攻は続く。
槍は一本だけでなく、数本射出されており、《死神》の背中側からも射出される。
「……チッ、《鯱鉾》か…!!」
《鯱鉾》、能力は《練槍》。
あらゆるものを練り込み、槍として射出することができる能力だ。
「そんな虚しい抵抗でどうなると……ッシ!」
《鯱鉾》に迎撃しようとするが、彼の周りにはコンクリートを練った《練槍》を数多く設置していた。
さすがの《死神》もこんな中、《鯱鉾》に危害を与えることはできない。
一旦引いて計画を練ろうとする。
今ので、《カタクリフト》は《死域》についての考察がまた一つ増えた。
《死域》は、使うとインターバルが必要になる。
そう気軽にバンバン使えるものではないと言うことだ。
「《鯱鉾》!《練槍》を続けろ!!」
「やってる最中だよ!そっちこそ、間違えて能力解いて死ぬとか愚の骨頂だからな!?」
《カタクリフト》と《鯱鉾》、《死神》は、一進一退の攻防を繰り広げ、一種の膠着状態に陥ろうとしていた。
〉〉〉
《翔身》対《食龍》&《スターロウ》にて。
「《霊卓》から聞いているよ。あの白龍は君の能力だとか。すごいものじゃないか」
《翔身》と相対しつつ、《スターロウ》は《食龍》に対して賛辞を送っていた。
「あのー、ぼくってそんなに弱そうに見えます?」
もはや不安で《翔身》自身からも心配されるほどであるが、《スターロウ》はこう返す。
「そんなことはないとも。少なくとも、僕の能力は世にも珍しい事象系の能力だから実はかなりの緊急事態だったりする」
「それ先に言えよ」
二人の内、一人は能力が使えないとなれば、もうそこはもう一人に頑張ってもらうしかない。
と言うことで、ほとんど《翔身》対《食龍》の戦いとなる。
だが、そんなところは関係ない。
「………《顎門》」
龍の牙が、辺りを噛み散らし《翔身》に突進する。
《翔身》の能力は《通身》。
衝撃は《翔身》の身体の中を通ってどこかへ放出されるから《翔身》に物理攻撃は無効だ。
だから、正攻法で倒すには、《顎門》の《その空間ごと喰らい尽くす》攻撃のような《空間》に作用される攻撃でない限り当たることはない。
つまり今この中で《翔身》にダメージを与えることができるのは、彼しかいないのであった。
「さぁやるんだ《食龍》くん!俺は応援するぞっ!!」
「少しは仕事しろおぉ!!!」
新しく短編書きました。
出来がいいとは言えません
出番の無い【自称】最強勇者はかく語りき
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