記録37_派遣
《スナイパー》と《引力核》が再会する、ちょっと前。
《スナイパー》&《睡魔》チームにて。
二人で管制室のモニターを見ていた。
「早昌サイドが、1対2。洸也サイドは3対4と怪我人1。どうする?舞、《引力核》は洸也の方にいるが、そっち行くか?」
「うん。《引力核》の方、行きたい。真人、早昌さんの方に行って」
「??、なんでや?」
「私、達、の、事情、を、知っている、人、には、いて、欲しく、ない」
「なるほどね。《食龍》と《スナイパー》として、アイツをとっちめたいってワケね。わかった。俺は早昌の方行っとくわ」
「ありがとう、助かる」
と、これからの方針を決め合うと、それぞれ目的地へ向かうためと走り出した。
一人は、親友のデートの手助けのため。
もう一人は、今までの罪を清算し、その根源をぶちのめすために。
各自、走り始めた。
〉〉〉
「《引力核》ああぁ!!お前ええぇぇぇ!!!」
「そんなに怒って襲ってくるなよ。ほら、顔めっちゃこえぇぞ?」
「うるさい……!!」
《スナイパー》が今まで出したこともない声を上げながら襲い掛かり、四方八方に《撃筒》を展開する。
設置したその場から撃ち出される鉄塊が一気に《引力核》へと迫る。
だが、《引力核》はのらりくらりと難なくかわし続ける。
「おかしいなぁ。君は《睡魔》と共に管制室に行って、《ドクター》と戦ってるはずじゃ?」
「《睡魔》、は、もう片方の、方に、行きましたよ。アンタの、仲間でしょ?あの、影、いっぱい、出す、人」
「あらかわいそうに。《マスター》、生きて帰って来れるかな?」
と、ここまで会話したところで、疑問が提示される。
「おい!舞!!影とか、《マスター》とか、管制室とか、《ドクター》とか、よくわからないんだけど!!」
《食龍》が大声で問いかけながら戦場に参戦してくる。
「そんなのは、後!早く、コイツ、倒す!!」
今までに見せたことのない形相で《引力核》を睨みつけている。
「おいおい。その顔仕事で見せて欲しかったんだけど?」
「仕事に、私情は、持ち込まない。今回は、仕事じゃ、ない」
そう言うと、《スナイパー》は急加速し、《引力核》の目の前に姿を現していた。
拳を握り、超加速により振り抜く《スナイパー》。
その拳は見事、みぞおちに直撃した。
「……そ、れっ………なん、だ…よ…………」
「《撃筒》の、応用。自分自身、や、自分の、肘、に、付与、して、加速、させる、裏技」
つまり。
自分自身を『弾』として《撃筒》に装填し、それを発射することにより、自身が銃弾と同等の速度で動けるようになる。
それと同じ原理で肘を『弾』として装填し、弾丸と同程度のチカラで殴ることができるようになった。
「そんなの、暗殺者、時代、に!使ってくれなかっ!たなぁ…」
どこから落ち込んだ風の口調でお喋りという、実に呑気なものであるが、それもそのはず。
「まぁ、こんな傷、軽すぎるんだけどさ」
傷口に手を当てるとたちまちそこにあった傷はなかったかのように軽くなっていた。
「ふぅ、痛い痛い。なんてことするのさ。まったくぅ」
「事実改変……」
すっかりと治りきったみぞおちを忌々しく眺めながら、《スナイパー》は再び戦闘体制に入る。
だが、ここにいるのは彼らだけではない。
「《顎門》」
龍が、来る。
〉〉〉
「うおらあぁ!!」
美花、こと《女傑》は、無数の影を相手に善戦していた。
彼女は集団戦においては、ほぼ最強に近い。
場を混乱させる能力、近接戦闘における格闘センスも含め。
彼女さえいれば、通常であれば勝ち戦である。
だが………。
「この影えぇ!!しっつこいんだけどぉ!!」
どれほど倒しても次々と現れる影達。
それに、《霊卓》も不利な状況下にいた。
「その能力、人だけじゃなくて物も作れんのか!!さっきから剣やら盾やら斧やら槍やら………。うざったらしいったらありゃしねぇ」
影により作り出される武器により、《霊卓》の予測不可能な攻撃、防御をされてしまい、思うような動きができずにいた。
だが、それも、彼の登場によって終わりを迎える。
「待たせたな!バカップルども!!」
「おや、彼が来てしまいましたか」
「やっときたのか!」
「うあ〜!まさちゃ〜ん、た〜す〜け〜て〜」
一瞬いるだけでも戦況が変わるほどのこのゲーム内での圧倒的存在感を有したプレイヤー。
「最強の、お出ましだよ」
《睡魔》が、やってきた。




