表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/163

記録35_会敵②






「ねぇ、誰?アイツ」


「さぁな、でも、多分ここにいていいやつではないわ」




 デートのようにくっつきながらこの巨城を攻略していた《霊卓》と《女傑》の方にも、脅威は近づいていた。






「そう怖がられるとは。かなり寂しい者ですな」



 バーテンダーのような服装、ワイシャツにブラザーを着た青年が向かい合っていた。




 だが、その背後には、幾つもの()があった。






 影に統一感はない。



 ゴツい体格をした人間、妖艶な体型をする人間。




 パッと見、性別はわかる。


 共通点と言えば、全員が青年の背後で静かに佇んでいるということだ。





 少なくとも、影も青年もちゃんとしたプレイヤーではないだろう。




 《錬金翁》がなんの報告もなく、自分たちと関係ない巨城への参加者を同じ地域(エリア)に入れるようなことをしたところを見たことがない。






 だが、ここは彼の惑星、錬金術の実験場所。



 監視の目がない方がおかしい。



 なのに、なんのアクションも無い。

 ということは………。





 ……はぁ。


 何人、襲撃に来ているんだって話だ。




 とりあえず、背後の影を抜けば2対1だ。



 片方が影、片方が青年も担当すれば、充分間に合う戦略だ。





「美花?どっち倒したい?影かアイツか」




「え〜、私は……じゃ、遠慮なく影でストレス発散してくる!」



「わかった、好きにストレス発散してきな」

「やったぁ〜」





 分担は案外早く済んだ。



 ………さて。








「後ろの影について説明してもらおうか。お前」


「ふふ、私ですか。『お前』、と呼ばれるのもアレですし、《マスター》、とお呼びください」




「そういうのいいから。《マスター》は、《隠者》や《翔身(とびみ)》の仲間か?」




「………?はて、《翔身(とびみ)》様はご存じですが、《隠者》という方については存じ上げ……あぁ、《無色》様ですね」


「《無色》……というのか、アイツは」


「まだお教えになられていませんでしたか。それは彼に申し訳ないことをしましたね」






 《マスター》はポリポリと頭をかくが、とても悪いと思い深く反省する、という様子は微塵もみせていない。





「とりあえず、アイツらと面識があるなら、倒して情報をはいてもらうぞ」


「できるものなら、と言うやつです。私はそこまで弱いと自分を過小評価しているタイプでは無いですからね」







 《マスター》から出た瘴気と、《霊卓》から出た霊の奔流が、衝突する………。






〉〉〉









「なるほど、なるほど、なるほど」



 《地獄の門》を使い、実力測定云々を二の次にして攻略し終えた《睡魔》、《スナイパー》チームは、《錬金翁》のいる管制室に急いだ。





 だが、一歩遅かった。







「あ」



「……チッ」

「うわっ」





 そこにあったのは、床や壁を血で染めた管制室と、そこに横たわる、先ほど見た老人の話し方をする青年の姿であった。




「クソッ、《錬金翁》………!?」

「どうするの………真人……これ……………」



 その目で青年の死体を見て、《スナイパー》は困惑し、《睡魔》は少し考え、ある結論に辿り着く。




「ちょっと、《スナイパー》。実験したいことがあるから手伝ってくれるか?」


「……わかった」






 実験。


 人の死を知るには、過去を紐解く必要がある。




 この中には、その過去を知り、そして変えることのできる一番な方法を持っている人物がいるではないか。





 そう。


 《睡魔》の能力(アビリティ)を使うのだ。





 《睡魔》の能力(アビリティ)、《恐怖の館(スリラー)》。

 そして、その能力の中の一つ、《ビリー・ジーン》。








 時間が、逆行し、そして───。







 現れたのは、管制室のモニターを食い入るように見ていた《錬金翁》と、その入り口からゆったりと入ってきた人型の()()であった。




 《錬金翁》は気が付かない。


 そのまま、人型のバグは《錬金翁》に近づき、そして………。






 後ろから、拳により腹を貫かれた。


「カハッ………」





 そのまま、《錬金翁》の腹に突き刺さった拳を薙ぎ払い、身体を真っ二つにしてそのまま去った。


 薙ぎ払ったせいで、壁や床にベットリと血がつき、《錬金翁》が床に倒れ伏した。






 これのちょっと前。


 人型のバグが、《錬金翁》のいる管制室に入る前まで遡り、時間の流れを元に戻す。









「待て」




 まだバグの姿をする人物に声をかける。



「…………君か」








 《スナイパー》は訳もわからず2人を交互に見ている。





 口を開いたのは、真人だった。




「あんたが動くなんてな。もうちょっと使う人材あったろ?()()()()?」



「あいにく、君とまた会っておきたかったんだ。()()()の記憶が戻っていて何よりだよ、真人君」







 2人の再会は、唐突に。



 そして、別れも、すぐにやってくる。







「まぁ、目的は果たしたし、私は帰るとしよう」


「?目的は《錬金翁》を倒すことじゃ………っ!まさか!!」






 意味はすぐにわかった。




 すぐに振り返る。




 そこに《錬金翁》はいなかった。



「チッ……」



「まぁ、まだ倒してはいないとも。警戒されれば拳で貫くこともできないないしね」








 そう言って、彼は次元の狭間へ裏返って消えた。








 これは《錬金翁》を探す旅にでも出ないといけないかもな……。





 《スナイパー》と《睡魔》が2人になった部屋で、頭を抱えるのだった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ