表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/163

記録29_突如やってくる『彼』




「……いやぁ…軽い………ばくは、つ……だっ、たよ………ふぅ……」



「……いやいやいや。それおかしいって!!」






 《女傑》、日宮 美花(ひのみや みか)

 そりゃあ、そういう反応にもなるだろう。





 杭で貫かれた《引力核(コア)》は、吐血しながらも、その胸には杭が爆発した様子はなかった。



 何でもかんでも、彼が『軽い』と言えば全てが軽く終わってしまう。




 彼に直撃した杭。


 彼の胸を貫き、拳一個程度の大穴を開けた。




 これはもはや紛れもない事実だ。

 これはいい。





 だが、爆発の方は、話が違う。




 杭による被害はもう出ているが、爆発は明確な被害というのは判別出来ない。




 だから、ちゃんとダメージがあるのか、そう言ったものはわからないのだ。





 だから、彼が『軽い』と言えば、それは軽くなってしまう。




「化け物が………!!」

「いや、は…や……。効いたよ。こりゃあ……肺が……片方……………潰れ、ちまった…見たいだ、な………」





 だが、杭のダメージによりもはや満身創痍。




 《スナイパー》も《女傑》のそばに戻ってきた。




 これで2対1。




 ここで決着がつく………。









 そう思っていた瞬間、彼は来る。




「ありゃりゃぁ。《引力核(コア)》さん酷いことになってるじゃないですか。大丈夫です?」


「は、はは…。《翔身(とびみ)》。捨てて、なかったんだ……ね。僕、の……こと」


「安易に捨てられるほど、あなたの存在価値って低くないですよ。さー撤退しましょ。俺は残業嫌ですからね」





 さも当然のように、彼はそこにいた。



「……あんた、《食龍》とかいう奴に喰われた………」


「あぁ、そういえばあなたにはまだ言ってませんでしたね。僕の《隠し能力(チートアビリティ)》。ま、近いうちにわかるから説明しなくていっか!」



 なんとも軽々しい。


 ゲームとは言え、ここは戦場だ。




 この飄々とした空気………何か裏があるとしか思えない。




「あなた、確かワープが使えるんでしたっけ?」


「敬語とかこわいなぁ〜…って、あぁワープね。うんうん、それっぽいの使えるよね」





「じゃあ、あなたもここで退場してもらった方がいいわね」




 神経銃を飛ばす。


 《翔身》は避けるが、足首に神経が当たってしまう。







「はい、あんたもこれでおしまい」

「おうおうおう!やっぱすごいなぁ!女傑!だ・け・ど……」



 彼が自分の右手で左手首を掴む。




「実験、開始だね!!」



 彼は、《パラドックス》を使用した。



 右手が左手首に吸い込まれ、背中から飛び出ている。





 そして、そのままズブズブと右手から右腕、肩と入っていき………。




 そして、『出口』であった背中から、《翔身》はパックリと割れた。





 そこには、分裂した2人の《翔身》がいて。





「なるほど、神経は左右どちらかの方しか継承せず、また新しく作られているのか。つまり、さっき神経銃が当たったのは左足だから、左の僕が神経を乗っ取られていっている」


「なぁ、これ、頭は共用なんだろ?脳にたどり着いたら、俺たち終わりじゃないか?」



「そうか。じゃあ、すまんな。左側の僕。頭を狩らせてもらう」


「まぁ、いいってことy“ズパン!!”………」






 片方の《翔身》が、もう片方の《翔身》を殺すという、異様な光景が完成した。






「!?え、ええぇ!?ど、どういうこと?2人に増えて、片方がもう1人を殺して……?」




 さすがに、これには《女傑》も《スナイパー》も驚きを隠せなかった。





「あ、説明せずに今のはかなり衝撃が強かったかな?まぁ、今のが、僕が《食龍》に喰われても生きている理由ね」




 淡々と説明しやがる。



 もはや人ならざる身でありながらも、飄々とこれが全人類の常識、と言ったように嘯いている。




「《女傑》!驚いてる、場合じゃ、ない!!」





 やはり、数多の死線を潜り抜けてきた歴戦の猛者というべきか、世界ランカーよりも早く、異変に気がついた。






 そう、先ほど《翔身》たちの会話ででた、『神経銃の神経は両方に継承されない』。




 つまり、今。


 彼は《神経階位》の障害を受けない。






「!!まずい!!!!」




 呆気に取られていた《女傑》は反応が遅れてしまった。






「いやぁ、じゃあ。またお会いすることを楽しみにしておりますよ。皆々様。それでは、ご機嫌麗しゅうことで」









 彼らは、《翔身》を中心にして、全員が『裏返って』消えた。





 そして、そこに残った《翔身》の残り。



 そいつは、私たちが何かをする前に自害した。










「……おわっ……た?」



「ええ。史上、最悪な、捨て台詞を、残して、ね。」










 《引力核(コア)》VS《スナイパー》の戦いは、これにて終幕となったのだ。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ