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記録28_ワープマン





「おい、どうなってやがるんだ」



 《集眼》こと、翔はそう叫ぶ。








「どうなってやがるんだよ!どうしてここにいる!!『ワープマン』!!!」


「『ワープマン』て、どこのスーパーヒーローだよ。ネーミングセンス無さすぎだろ」






 そこには、あの白龍上の戦いの時に何度もワープのようなものを行使してきた、()だった。






「僕は言ったじゃないか。また会うことになるだろう、的なこと。よく覚えてないけどね!」



 彼の言っていることは正しい。







 銃の引き金を引いた後、後ミリで当たるところまで弾は近づいた。



 だが、彼によるワープにより緊急避難されてしまった。





 しかも、今回はすぐに帰ってこない。


 撤退したのか?






「彼はもうそろそろ時間だったから退場してもらったよ。何より全く命令聞かないんだもん」

「俺のイメージだとどっちも同じようなものだと思ってるんだが」

「それは解せない!」



 軽口を叩き合っているが、それは言葉のみ。



 両者、相手に攻撃の隙は絶対に与えなずに相手の隙を窺う構えで睨み合っている。



 ただし、その場にはこの2人しかいないわけではない。






「おらそこおぉ!!」


 《食龍》の《顎門(アギト)》によって『ワープマン』が後退する。




「すまねぇ《集眼》。()()()()()()()()()()気づくのが遅くなった!」




 やはり。



 《隠者》という《能力(アビリティ)》によって自分がどういう状態にあったかさえ覚えてないようだ。




 言ってしまえば、催眠。


 最初の時も、『居ても当たり前のように認識していたのだから、そいつに言われたことも反強制的に当たり前になる』という方法で、《隠者》は《スナイパー》への援護を邪魔していた。




 やはり、裏切り者で《能力(アビリティ)》の厄介な《スナイパー》を潰したがっていたか。





 そんなことは置いといて、だよ。




「おいおい。この野郎、さっき俺の《顎門(アギト)》に飲み込まれただろ!?なんで生きてやがる」



「まったく。みんな察し悪すぎね?俺ちゃんと話した気がするんだけど、あの体は使()()()()だって」





「答えろ」



 《食龍》が真剣な顔で聞く。





「お前の《能力(アビリティ)》は、なんだ?」




「あぁ、自己紹介がまだだったか。名乗らせてもらうよ」




 『ワープマン』……彼が仰々しく一礼する。





「ここに在りしは天下無敵の我らが主の下に集いし一介の小悪党。主の命により我が身に宿されるわ『裏』のチカラ!言うなれば《隠し能力(チートアビリティ)》!」



 一礼から顔を上げ、不敵に笑って見せる。



「不肖ながらこの私、《翔身(とびみ)》が使う《隠し能力(チートアビリティ)》は《通身》。我が皮膚に触れたものを自身の中に移し、別の皮膚から排出するものです」






「………つまり、どういうことだ?」





 《食龍》はあまりわからないらしい。

 うん、俺もわからない。





「つまり、今あなた方が僕の心臓を殴ったとしても、その殴った拳が僕の体の中に入り、僕の頭から出るようになるということです」





「なるほど、だから『物理攻撃無効』か」

「はい、衝撃は全て僕の外側に排出されますから。わかってるじゃないですか、流石は『世界トップランカー』」



 真後ろから声がして振り返る。

 そこには、正気に戻った真人がいた。



「おい真人。今までどこ行ってた」


「そう怒るな。現状把握に努めただけだ」




 なんかわかりやすく嘘とわかるような言い訳だが、他にもやることなくが無さそうだったので不問としておいた。





「で、だ。なんでお前が、ワープなんてもの使えるんだ」


「この《隠し能力(チートアビリティ)》はね、かなり矛盾が起きることが多いんだ」




「?どういうことだ?」




 矛盾?

 何かおかしいところ………あ。




「やめろ、その事実は、聞きたくない」



 真人が割って入るが、もう《翔身》は喋り始める。






「これね、自分で自分を触った時にも発動するからさ、自分が自分から出てくることになるんだけど、どこからどう出てくるのか、なんてできないわけよ、自分の体を移動させるんだから」


 淡々と説明を続ける。


「そこでパラドックス?が起きて、そこで世界がこう判断する。『そうだ、二つに分けて通る方と出口になる方を作ろう』ってね」



 それは、あまりに残酷だがな答えであった。





「じゃあ、お前は、()()()は……………」





「いやはや、自分の思考が二つになった感覚がしたと思えば、次は4つ、6つと変化していく。もう僕は現実(リアル)でも、人間じゃなくなった」


 絶句するしかない。


 そんな、いとも簡単に人の改造のような行為を行う、





 もはやこのゲームは、人の生死さえも手玉に抑えているのではないかと。



「僕はこのゲームで、一軍隊相当の戦力として機能するし、どんな奴らも瞬間移動させる移動手段も持つ。まさに、最強のチーターに近づいたんだ」












 そこにいた男は、さっき相対した男とは、別人のように見えた。














 違う。

 別人だと信じたかった。





 だって、そんなことがありながら、ケラケラと笑いながらこんなゲームができる思考が、恐ろしかったのだ。








ナニコレ、ホラー展開?

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